これで序章終了です。
一章の投稿開始までは間が開いてしまうと思います。
ここまでお付き合いくださってありがとうございます。
桜が咲く頃までには再開できると良いのですが……。
居住地が北海道にならないように投稿できたらと。
それではどうぞ^^
3/3 前話「馬車降りて~」の頭に戦闘シーン追加しました。
[こ、これは……]
僕の手が感動に打ち震える。
時刻は夜の、感覚的には19時前後。良い具合に空腹な時間帯。
分配を滞りなく終えて(瞳の争奪はなく僕の杞憂だった)宿を決めて街をぶらぶら。
澪と色々とお店を見て回った後で宿に帰ったところ、預かっていたトアさんのギルドカードに連絡が入った。
明滅するカードの一部に意思を込めて触れるとメッセージが宙に書かれる。
僕の吹き出しで話す作戦も意外と世に適った遣り様だったんだな。偶然とは恐ろしいね。
つくづく、ファンタジーってのは局地的にハイテク仕様だ。
巴はまだ戻っていない。
今夜の打ち上げには彼女は居ないほうがいいのでこれは好都合。
早速店の位置を確認すると二人で宿をでた。
しかし、ギルドカード、侮れない子。
これ、ギルドに関係した様々な機能を搭載していた。
例えば、ギルドに預けたお金を加盟店であれば下ろさなくてもカードで買い物ができる。これなんてデビットカード。
例えば、ギルドのある街中やある程度の距離にいる相手には伝言を送れる。通信端末ですよ、剣と魔法の世界で!
声でも文字でも送れるのが何気にスゴイ。
あとびっくりしたのが図鑑機能。
魔物や素材各種、それこそ鉱石から薬草まで結構な数の登録がなされていて検索して情報を閲覧できる。
これが微々たる登録料金で受けられる恩恵なのですよ皆さん!バンバン!見習え携帯会社!
定額料金なくこのサービスとは…、年会費みたいなものはあるが安いので無いようものである。素敵過ぎる。
次にギルドに行ったら詳しく機能を調べておかなければ。
トアさんから連絡用にと預かったときに軽く聞いただけだが、話によると料金のかかるプレミアムなサービスがあるらしい。
しかもランクによっても色々と追加されていくものまで!
これは断然ランクを上げたく……!!
いかんいかん、つい妄想にのめり込んでしまった。
結構拘りたいものの中に携帯電話があった僕には嬉しいことだったんで。
まあ、そんなこんなでトアさんが自分のギルドカードを惜しげも無く貸してくれたので僕らは迷うこともなく待ち合わせに行けた。
貴重品だもんな、感謝せねば。
幾分か無用心な気もしたけど。
僕は多分他人に携帯電話は預けられないと思う。
澪を連れ立って歩く通りの両側から特徴ある良い匂いがしてくる。
食べ物の匂い、というか料理の匂いだな。
横の彼女は好奇心丸出しで次々に目に付く食べ物に目移りしながら楽しそうに付いて来ていた。
そこかしこから香り漂う中で、獣の骨を模った文字で肉屋と書かれた看板を見つけた。ここが待ち合わせだ。
潔いまでの名前に好印象の僕。
そして入った店内で連中の顔を見つける。
風呂にでも入って身だしなみを整えたのだろうか。
皆一様にさっぱりとして服装も冒険の装備ではない。
……くっ、どいつもこいつもセンスもあるのか!?
それともあれか?美形はなにを着ても美形か?不平等極まりないな!
僕も着替えりゃ良かったな。考えてみれば狩用の装備とか街服とか区別が無いや。
この街で分けて持とうかな。これから先、もしかすると夜会用とかパーティ用で色々分けないといけないかもしれない。
せめて馬子にも衣装くらいの評価は欲しいとこだね。
最終奥義があるから選ぶのに苦心はないだろう。名づけて店員さんお任せ。
大体この世界のセンスなんてまだわかんないしな!何気なく着用する服が既に僕にとって格好よく映るのは美人補正かもしれないから。
既に並べられた飲み物と食べ物を見て僕はふらふらと一点に吸い寄せられる。
そこには、夢にまで見たアレがあったのだ。店の名前で淡い期待はあったけど…まさか本物があるとは…!
冒頭に戻る。
手に握られたモノ。
それは!
漫画肉!
男の憧れ!
いや全人類の憧れ!
「おおおおおお、グローーーリアーーー!」
叫ばずにはいられなかった。何という奇跡。この世界にきて良かった!
「ライドウさん、これそんなにお好きでした?」
言葉の意味は知れずとも、僕が喜んでいることは察したらしい。
比較的好意的かつ積極的なトアさんが僕の余りの喜びように引いている。だがこの感動は最早抑えられなかったのだ。
[これは、僕の国では、それはもう憧れの食べ物なのです……]
搾り出すように書き出す。
[そうだ、ギルドカードありがとうございました]
「あ、どうも。へぇ、これがですか。こちらでは地方を問わずに結構普通にありますけど」
不思議そうにしている。他の連中も同様だ。
というかエルフってあんまし肉を食う印象は無いんだけど。ドワ娘も信仰の問題とかないんかね?
しかし。普通に食べられているだと。すなわちここでは漫画肉を日常的に食えるのか!
すばらしい。いや、まだ食べてないけど。これで青汁味とかだったら暴れるけども。
[いや、これは嬉しい。今夜は楽しくなりそうですよ]
肉を一度置くと空けてくれている席を見つけてそこへ。
2つ空席が並んでいる。外側はリノンとエルフ娘か。ならリノンのが楽そうだな。
……いつかは楽そう、じゃなく楽「し」そうなと思える友人をこっちでも見つけたい。
僕はそちらに座る。
「ではお2人が見えた所で始めましょうか!」
「おお!」
「そうですね」
「……賛成、お腹すいた」
「リノン、もうお腹ぺっこぺこだよ」
リノン、その台詞はどっかのちっこいエルフを思い出すよ。
「じゃ、ツィーゲへの帰還とライドウさん、澪様との出会いに、乾杯!」
『乾杯!』
そして宴が始まった。
当然僕は肉である。乾杯の飲み物はビールみたいな感じのお酒だった。エール、っていうのか?
まあ、かるく喉を濡らすには問題ないアルコールだ。
この世界の飲酒は何歳からなんだろ?国で違うし種族で違うだろうからどこを参考にしていいか迷うな。
つまりご自由にどうぞってことか。うん、そう解釈した。
感動の肉を口に持っていく。
バクリ。
これは……うまい!うまい!うまいぞーーー!!
なんと、見た目も味もレジェンドクラスとは。これに比べたらナイフとフォークなんてノーサンキューだ。今後一切!
いかん、感動で涙が…
「ライドウさん、泣いてます!?」
錬金青年よ、この感動は、きっとこの世界の者には一生わかることはないのだよ。
この涙は、そう僕にしかわからないものなんだよ。
[この料理はさっきもいったが僕の国では夢そのもの。ちなみに僕は生まれて初めて食べたんです。感動で、つい。申し訳ない]
ビールらしき酒を喉に流し込む。おおう、染み渡る!
そしてさらに両手に肉を装備。食らう!
[澪、これ追加で注文して]
そう書いて澪に指示を出すとさらに食べる。食べる。
「すごい食べっぷり」
「泣くほど好きなんだな」
「…安上がり」
「追加はわかりましたけど、私もそれ食べますから残してくださいまし!?」
馬鹿め、追加で頼むから問題はあるまい。それに他にも大皿でサラダから肉から魚介からたくさんあるじゃないか。
その中には漫画やアニメで見たような「これ食ってみてーー!」ってヤツがいくつもある!
ああ、僕は今幸せだ。
「はっはっは!ドワーフでも滅多に無いほどの食べっぷり、感服しました!今日は私も食べますぞ!ここは私にご馳走させてもらいましょうか!」
ドワ娘、会計を一人で持つつもりなのか?や、ここは僕が払うつもりだったんだがな。
「そこは譲れないわね、ここは、そうね、4人で割り勘にしない?澪様たちへの感謝を込めて」
「そうだな、それがいいか!よし、飲もう、食おう!」
豪快だな、ドワ娘。
むむ、視線を感じるぞ?
澪、いやこれはエルフ娘か。
澪は僕の食べた肉を頬張って幸せな顔をしている。酒も既に3杯目である。他にも色々皿に取り分けている辺り、気に入ったのだろう。良いことである。
にしてもエルフ娘からすると行儀が悪かったか?しかし漫画肉をナイフとフォークで食べるのは冒涜といっても過言ではないよ?
[なにか?]
食べることに一切の減速を見せることなく僕はエルフ娘に問いかける。
これは以前も思ったが意外と便利だな!文字さえ読める相手ならこれは良い!
この薄切り肉の乗ったサラダもうめー!粗挽きのハンバーグみたいなのもうめー。口直しの野菜スティックもうめー。これレモン味の白菜みたい、僕的にクリティカル!甘味と酸味のバランスパネエ!
揚げ物が何でか見当たらないけどそんなの関係ねえ、うめーよー、幸せだよう。
「……貴方は不思議な人」
[はあ]
「商人だというのに冒険者みたいなことして、なのにお金に対して執着がない。レベル1なのに私たちよりも強い、かも」
「変わったところで育ったもので」
重力十倍どころじゃないらしいからね。自覚無いけど!
「力もお金もあるのに欲や執着を感じない。すごくふわふわしてる、雲みたいな……モノ?」
[モノはひどくないですかね]
褒められて、るか?でも人扱いされてなかった!最後モノとか言われた!
「ごめん。モノじゃなくって、ヒューマンらしくない感じ。ついでに生き物っぽくも無い」
謝られて言い直されて表現が酷くなりました。結果の読めない世界だな、おい。
見ればドワ娘は錬金青年に絡んで酒を飲ませている。トアはとりあえずリノンに食べ物を取り分けながら食事重視。リノンはそれにならっている。彼女は酒でなくジュースだった。
見たところ10歳くらいだし、流石に酒はまずいか。幼い時からこの環境なら、好むかどうかは別にして遠からずお酒を飲む機会は来るだろうが。
「なにより、あの弓。あれは、なに?」
[なに、とは?]
「見たこと無い流派だった。特に最初に構えた時の動作と、その後の静止状態が不自然すぎる」
あーあれは僕なりの準備動作というか弓道的というか。実践重視の武術ではありえないな。
[あれは僕なりの集中する作業なのです]
「集中?あんなことしていたらその前に攻撃を受ける」
なんといえば、いいのか。武道の考え方がこの人に理解できるのかな。森の民だろ、エルフって。立ち位置違う気もするけど。
でもこの時の僕は料理と酒で大分、口が軽くなっていた。
[僕が最初に習っていたのは弓道といって、弓の扱いから精神を高めるという特殊なものでした]
「キュウドウ?」
[そうです。実戦的というよりは習い事のひとつ。弓を構えて的に当てる。そこに礼法を組み合わせたものというか]
「意味がわからない」
[でしょうね。特殊なものです。突き詰めると弓の技術よりも精神性の向上の方が目的だといえるものです。僕の最初の動作はその名残です]
「それがあの威力と命中力を生むの?」
[全てではありませんが、そうですね]
「キュウドウ…未知のもの。でも凄かった」
エルフ娘はサラダ中心に、それでもちゃんと肉も食っていた。雑食性なようで安心した。
弓の一件から結構興味もたれていたんだな。それまでの関係が希薄すぎて全然気づかなかった。
考え込むように酒を飲む。何杯目なのか仰いでいる酒は深い赤色をしていた。乾杯は他の人に合わせてあのビールだったのだろうか?
今飲んでるのはワインみたいなものだろう。多分。あとでお酒も色々頼んでみるか。潰れない程度に色々試したい!
「ライドウさん」
っと。
呼ばれたほうを見ると錬金青年が席を立って隣にきていた。円卓なんだから別に隣に来なくても良いだろうに。
[どうしました?]
「ライドウさんはルビーアイの瞳をどうするのです!?やはり付与ですか!?それとも薬の原料ですか!?」
大分出来上がってるな。ドワ娘、相当飲ませたと見た。ドワーフってイメージ通り大酒飲みなのか?
[いや、今回はギルドの依頼があったのでそれに使おうかと]
「なんと!勿体無いですぞ!」
[いやいや、それが依頼主が商会の人でして。僕としては人脈作りになるかと思いましてね。お譲り頂いたんです]
「ほほーう、人脈ですか!確かに、商売には必要ですな。紹介がないだけで薬の効能も見ないで足元みてくる輩もおりますから!」
あーそうか。この人錬金術師っていってた。薬を作ったりもするんだな。そしてそれで収入を得たりもするんだ。
魔法使い、とは少しイメージ違ってみえるな。森の魔女みたいな?
[すみませんね、貴重なものを頂いてしまって]
「いやいやいや!!むしろ、我々貰いすぎなくらい素材を分配していただいたのです!当然です!」
他のものは別に一種類ずつ、少数だけもらってあとは皆に渡したからな。むしろ少しでも多く貰おうと思っていたのだろう彼らの反応は面白かった。
除けられた物以外全部を、どうぞって渡された時の表情は記録しときたい愉快なものだった。全員ポカンと口を開けて目が点状態。
[再出発には色々と入用でしょうから、それでも足りないかもしれないですが]
「十分です!もう信じられない幸運に僕は空が飛べるかと思いました!宿だっていつもよりランクがいくつか上なんです!」
大袈裟な人だな。草食系かと思えば酔うと性格変わるのか。宿のランクがどうとかって辺りは庶民的で微笑ましい。
[良かった、気に病んでいたんです]
「全くお気になさらないでください!ははははは、明日はギルドにいますから。一緒に皆を驚かせましょーー!」
青年は戻っていく。座った先で一人で何かに乾杯して楽しそうにまた飲んでいる。愉快な人だな。
「おー!飲んでますか!飲んでますな!ささささ、もっと飲みましょう!食べましょう!」
今度はドワ娘さんか。
この人は明るくなるなー。おっさんぽくなるともいえるが。健康ってのを全面に出した明るくて楽しい酒のみだ。
モテる飲み方では無いと思うけど楽しい。僕はこっちのが好感が持てる。
しかもこの人はビール派のようだ。最初から今まで全部ジョッキに黄金色の液体と泡の組み合わせが尽きない。
今も右手で酒を呷りながら、左手はジョッキを2つ持ってるし。
飲む用なのか飲ませる用なのか。
どっちでも納得できる雰囲気が怖い。
[もちろん、楽しくやってますよ]
「それはいい!酒は人生の報酬、これを楽しまないのは生まれた事への冒涜ですからな!」
そこまで言いますか?下戸全否定。だけど、この人がそういうと何だか、そうかもな~って思えてきそうで困る。
「ところで」
いきなり好戦的な目で僕を見つめるドワ娘さん。近い、顔近い。
しかも酒くせえ!どんだけ飲んでるかね!?
ったくドワーフって言っても髭も無いし、十二分に可愛いんだから自重してくれって!むしろ豪快なロリっ子なんだからさ!
[なにか?]
「昼の戦闘、鮮やかな弓捌きでした!」
[どうも]
「しかし、あの威力。あれはただ技術のみで出るものでも武器の出来だけで出るものでもない」
[というと?]
「ライドウ殿、実は膂力も相当なものですな!?」
挑みかかるように。ドワ娘さんは楽しげにそう言った。
間違いは無い。その通りだ。この世界に来てから素殴りが通用しなかった相手はいない。
[あの程度には]
「あの程度、あれをそうおっしゃるか!はははははは、うん、気に入りました!私と勝負してください!」
言うが早いか僕らの前の酒と食い物を腕でざざーっと片付けた。
なにをしようと?
僕が考えるよりも早く彼女は卓に肘をつき、利き腕の右腕を僕に突き出した。
これは、腕相撲か?そうなのか?
「さあ!」
まあ、これは間違いないだろうな。付き合うか、楽しいし!
[乗った!]
書くが早いか僕も立ち上がり彼女と手を握り合う。
リノンはいつの間にやらトアさんの膝の上に避難していた。聡い子だ。
「嬉しいですな我がドワーフ伝統の力比べを知っておられようとは」
そ、そんなに伝統的なのか腕相撲!?不適に笑うドワ娘は本当に楽しそうだ。
「ではリノン殿、はじめ、と声をかけてもらえるか?」
「いいよ!じゃあ、いくよ~はじめ!!」
瞬間、ドワ娘が一気に力をかけて僕の腕を持っていこうと倒しにかかる。
だが、僕はまったく動じない、そして動かない。だって非力なんだもん。
つくづく凄い身体能力だな。筋肉に血管浮き出てるし相手が必死なのがわかるだけにチートぶりがわかる。
「ぬおおおおお!なんとおおお!」
[ふんっ!]
軽く左に力を入れる。
「ふおっ!?のわっ!」
肘を支点にしてドワ娘がひっくり返った。
「お兄ちゃんの勝ち!すごーーい!」
パチパチと拍手がもらえた。リノンの目をまん丸にした驚きはちょっと嬉しい。
「なんとまあ、こんな負け方をしたのは生まれて初めてです。参りましたなあ世の中は広い!」
ドワ娘は立ち上がると右手をさすりながら、それでも豪快に笑ってまた飲みだした。今度は錬金青年ではなくエルフ娘に絡んでいる。
澪の食べた皿を給仕が片付けるのが追いつかないのか僕の領域まで空の皿が積み上げられ始めた。
もっとも、僕も結構な量を食べまくっているのであんまし人のことはいえない。
仕方なく僕はリノンの座っていた席に移動して腰かけることにする。
この席の前には幾つかに切られたステーキ状の肉。それに甲殻類の何かを茹でたもの。
どっちも結構いける。ステーキって形状の割りにあっさりとしていて肉汁が美味い。
甲殻類のほうは甘味の強いカニのようだった。触感はふわっとしていてプリプリじゃないがこれはこれでいける。
「楽しんでもらえてるみたいで嬉しいです。どんなものが好きか聞いてなかったので少し不安だったんですよ」
「全部おいしいよね、お兄ちゃん!」
リノンの言うとおりだ、ここまで出てきた料理でまずいのはひとつもなかった。奇跡かと思う。多少味は薄い気がするけどそんなの気にならないくらい美味しい。
その分塩やハーブ類をうまく使って調理されているのだろう。
[美味しいです、すごく。澪も僕も感激してますよ]
心のままに感想を言った。彼女たちの選択は最高だと素直に思った。
「ライドウさんの故郷はここと大分食習慣が違うんですね」
[そのようです。味付けはこちらの方が全体的に薄味かと思いますがどれもとても美味しい]
「薄いですか、ここは濃い味付けで酒を飲ませるのがウリのお店なんですが」
[おや、そうですか。では味付けは僕の故郷が濃いだけかもしれませんね。じつに美味しいです]
「ライドウさん、さっきから美味しいばかり。明日は朝からすぐにギルドですか?」
トアさんは楽しそうだけど、どこか他に目的のありそうな表情で僕と会話している。
ひょっとして、未練に関係あるのかな?
[明日は巴と合流でき次第、ギルドで登録して、それから商人ギルドに顔をだして、観光ですかね]
「あら、観光なさるんですか」
[ええ、この町は初めてなもので。旅行、好きなんです]
「うふふ、何だかライドウさんって本当に貴族みたいなこと言いますね。どれだけ大きな商会の跡継ぎ様なのか」
[世間知らずですみません]
旅行ってこの世界だと結構すごい趣味になるのか?
「いえいえ~、それでは明日の夜にでも一度、宿にお邪魔してもよろしいですか?澪様の連絡先を伺うのも兼ねて」
そういえば、ルビーアイの瞳をもらうときに四人に澪の連絡先を教えて欲しいといわれたっけ。
何のことかわからなかったけど、詳しく聞いてギルドカードの連絡に使う際のアドレスみたいなものだと知った。
要するに、「メアド交換してください」ってことだね。
別に構わないからOKだしたんだったな。明日の夜か。そうしたら巴と澪と僕と3人分渡しておきますか。
[ええ、構いませんよ。明日の夜ですね]
明日は予定がみっちりだなあ。
巴と澪連れて冒険者ギルドいって、それから商人ギルド行って僕の商会の立ち上げして、大雑把でもいいから世界地図と、それから周辺の地図も買って。
それにしても。
今日は本当に楽しい夜だなあ。
僕の心からの感慨を祝うように。
その日の宴は夜遅くまで続いた。
料金は金貨1枚。
あれだけ食って飲んでその程度。実に安い。最高だ!
ツィーゲ。
世界の果てと呼ばれる場所で最も栄えている場所。
言いかえれば、ようやくヒューマンの領域の入り口。
僕の荒野横断もここで終了、異世界放浪もようやく一息だ。
やー長かった。
そして美味かった!楽しかった!
最後くらいは真君も楽しく過ごしてもらいましょう。とサービスしました。
ほとんどまったく全然に恋愛やハーレムの要素の無いお話でしたがどうでしたでしょうか?
ご意見ご感想、一言に評価をお待ちしております。
投稿は出来ませんが感想にお返しはさせて頂きますので^^
失礼します。
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