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序章終了、荒野編終了間近!

久々にやる気になった真君。もう少し無双なシーンを出した方が良いかな。
一応タグにチートってつけてあるし。
このお話にこんなタグつけたらどう?って考えてくれたら是非一言下さいませ。
タグとあらすじは本当に苦手です。
ではどうぞ~^^
序章 世界の果て放浪編
一応僕もやるんですよ?
あぁ、と。

深い安堵の息がもれた。

馬車の荷台からだ。

ちらりと視線を送ると頭が四つ前方の高い石壁に向いて出ている。

まだ距離は少しあるが、ここからでも存在感があるところをみるとかなり高いな。大きな街というのは本当のようだ。

結局、あの最後の町「だった」所から同行した5名はこのツィーゲという街まで一緒に来ることを望んだ。

断る理由がないっていうか断れないっていうか。

僕は連れがベース一個ぶっ壊したって後ろめたさから、そのお願いを聞き入れたわけで。

約二週間ほどの道程を、人数ぎりぎりの馬車で無理をすることなく三週間かけてのんびりと進んだ。

今、僕の隣には着物を着た澪と高い壁を見て圧倒されているリノン。

両手に華の御者台であります。かたや変態従者、かたやお子様ですけどね?

着物といっても、見よう見まねで巴がドワーフに作らせたもの。

なので分類はないけど、普段着に使えそうな無難なものだ。紬というやつかな。

流石に振袖は止めたいところだったしね。歩くのに不便だろう。

巴は修行という名目で別行動させている。……計算通り、ご馳走様です。

もう同行者の人らから物凄い目で見られた。

ここで単独行動とりたいっていう奴とOKっていう奴をみて。

やってもらいたいこともあったし巴なら全然一人で大丈夫だろうしってことでOKだしたんだけどね。

澪と二人でいかせるとそれはもう僕が大変なことになる気がしたので澪は側においておくことに。

……正直なところ、まだ澪の方が無茶しないしなあ。僕が見ている範囲内で、だけど。

やたらと澪と僕に懐いているリノンと、その姉のトアさんを除いて僕らと同行者さんたちの間に会話はあまりない。

残念なことだと思うが、同行のきっかけを思うとこれはもうどうしようもないので関係の改善は途中で放棄しました。

一人懐いているだけでも、まあよしとしよう。

大体、山師みたいな冒険者連中とあんまし親しくしてもメリットあるかわからん。

適当に恩を売ってツィーゲにいる間で顔見知り程度になっておけばいいだろ。

「実験」はうまくいってるし。

巴の霧と澪の闇と知識。

それを利用して、あの町での出来事を少し忘れてもらおうかと画策して試してみてるのですが、これが意外と大成功気味。

時間はかかるみたいだけど2週間くらいで認識をずらせることができているようだった。

そこをつつかないためにも。

無難にやりすごさないといけないね。

問題は”処理”をしていないトアさんとリノンだけど…。

ま、それはおいおい考えようか。しばらくはツィーゲに滞在するつもりだし。

「すっっっっごーーーーい!!大きな壁ーー!」

リノンはとうとう声を上げてはしゃいでいる。

確かに、でかい。

でも彼女はもっと奥にいたんだから、ここは一度通っているだろうに?

[リノンは一度ここを通っているんじゃないの?]

「え、あ、お兄ちゃん。私、行ったときは転移魔方陣の乗り継ぎだったから、実は外の移動はほとんどしてないんだぁ」

リノンにはすっかりお兄ちゃんといわれてます。しかし、魔方陣とな。便利システムあるんだねえ。

「あら、転移魔法ですか。それならみなさん、それで転移してもらったほうが早くて安全だったかしら」

澪さんである。これで意外と世間の勉強を欠かしていないのか、日々変態を隠すのが上手になりつつあります。ありがたやありがたや。変態を根本的に治す日が来ることを祈る。

「あのう、転移は費用がすごいので流石にお願いできないですよ……」

うお。

後ろを振り向くといつの間にか馬車から頭をこっちに出したトアさん。

もうすっかり澪を澪様と呼び、弟子入りを希望してさえいる。とりあえずさせてないけど。

従者の弟子なんてまた微妙かつ複雑な人間関係は遠慮したいですから!

[高いってどれくらい?]

「ツィーゲまでとなると一人あたり金貨20枚くらいかかります。荷物は別料金で順番待ちもあります」

うえー。セレブだなー。

とはいえタダで手に入る亜空の生産物や採取品がえらいお金になったので正直そのくらい出してあげても痛くはない。一緒に行動することにデメリットもあるこちらとしてはね。

修行や一攫千金を目指している奴が儲けや修行の機会を捨ててまで転移なんて使うとも思えないから、商人やら貴族やらのためのモノだと思ったほうがいいか。

[高いね。まあ、もう半日もかからずに到着だし、今さら転移もないか~]

「あはは、ですね。というか、ここまで快適・安全だと、この輸送を商売にしても十分以上に食べていけますよ」

トアさんの感嘆を含んだ言葉。

澪は扇で口元を隠して笑顔を隠している。相変わらずおだてに弱い・・。

扇は鉄扇だし可愛く無いぞ。澪はどうして武具のデザインを扇にしたんだろうな。攻撃力はそこまで無いだろうに。ミスリルとかファンタジー金属で作っても鉄扇なんだろうか。ま、通称みたいな感じで使ってる名だからそうなるだろうな。ミスリル扇とか言われてもピンと来ません。

事実、この道程はすっごく安全だった。

澪の力量がわかるやつは仕掛けてこないし、わからない奴は瞬殺である。1ターンキルよりも早い。エンカウント、画面暗転、フィールドマップみたいな。

ターン制にすら進行しなかった。

むしろ採集というか剥ぎ取りというか、そういう時間のほうが長かった。

僕らは放っていこうと思っていたんだがトアさんはじめ、他の冒険者の方々があまりに勿体無いお顔をするので「素材欲しい?」って聞いたら即答だった。

だって泣きそうな顔で獣や虫の死骸を見つめてるんだもんなあ。

特にトアさんなんて見た目は僕の後輩にそっくりなのだ。交通事故で轢かれた動物や潰れた昆虫を見て宝石でも見るかのような目をするのは正味結構ひく。

おかげで部位の取り方とか基本的なことを僕も勉強させてもらった。

当然採集したものは馬車の荷台におくわけで。

そうなると寝泊りしている冒険者の人たちが寝るスペースはどんどん無くなっていくわけなんですが。

それでもホクホクした顔をして、体を折り曲げて眠っているのだから、どんだけ嬉しいのか。

とりあえず僕もそれぞれ一種類ずつは別の箱に詰めてもらって分けている。

あとあとの勉強用に。

他はまあ、街についたら皆と別れるときに現物で分配しちゃえばいいだろ。邪魔だし。

[果てで生活するつもりはないなあ。僕は商売人だが、諸国を回ってみたいと思っているし]

「そうなんですか、勿体無い。それだけの力がおありなのに」

トアさんからすると、そうなんだろうな。冒険者としては収入は大事だよね。それだけの力って部分が下僕にしかかかってないことが微妙に悲しいが。

まあ、これであと少しで街につけばのんびり考える時間もあるだろうし。

「お兄ちゃん、なにかいる!!」

「若様、あそこです」

御者台の二人の声に今度は前を見る。虫、だな。

四足歩行で前足がカマキリみたくなった蟻と全身真っ赤な蜂。どちらも大きさは大型犬くらいで数は、ひーふーみ・・10匹くらいか。

サイズアントとレッドビーとか言ったかな?

ま、たいしたことはない。結構取る部位が多い連中だった気が・・

「あーーーー!!??」

なんだなんだ!?

見れば同行者が馬車内を覆う布から全員頭をこっちにだしている。いい加減、おのれら亀かとつっこみたい。

だけど、なんで大声だよ?

「ら、ら、ら、ら、ライドウさん!あれ、あれ!」

[サイズアントとレッドビーとかってのですよね?どうしたんです?]

「違います!あの蜂のほう!」

「あれ、本物だぜ・・・」

「信じられないルビーアイ・・・」

おや、モンスター違いか。この反応、レアモンスターか?

[珍しいんですか?]

みたところ6匹いるが。こっちには気づいているようだが接敵まではしばらくかかるな。

「ものすっごく!珍しいです!街の近くにいるなんてありえないくらい!」

「そんでめちゃくちゃ強いんです!魔法が効かなくて素早くて毒性も強い!」

すごい興奮してるな、強いならやばいんじゃないか?

[それで、皆さんで倒せそうなんです?それなら別にお任せしますけど]

やれるなら任せてるのもあるしな。ただ乗ってるだけってのも腕が訛るだろうし。

「絶対無理です!私たちでは皆殺しです!!」

おいおい。

「あれと出会って何とかするには連携とバランスが取れていたとしても、レベル130以上のPTでないと」

となると、ぎりぎり及第に届いているのはトアさんと神官戦士のドワーフ娘くらいか。名前忘れた。

でもオープンカーでナイトサファリに行って浮かれてるくらい、この人たちがお馬鹿なことはわかった。

[澪、頼む]

「もう、あの蟻、この前わたしの服溶かしたんですよ?」

そういって見せるのは袖の端っこの欠けた部分。・・ほんの数cm。そのくらい気にしなくてもいいじゃない?

[街についたら直せるよ、とりあえず今はな?]

「しかたありません……」

折れてくれそうだな、助かる。

「澪様!サイズアントは鎌残してください!」

「ルビーアイは頭は絶対つぶさないで!」

「後ルビーアイは羽根も……」

応援より先に要望が飛ぶ。実に現金な人たちだ。

「……若様」

嫌な予感。

[なんだい?]

「私、嫌です。若様にお願い申し上げます」

『ちょ!』

わお、全員の驚きがはもった。ちなみに僕のもね?

[ぼ、僕にやれと?]

「もう、毎回毎回毎回毎回……面倒くさいんですの!あそこを残せ、そこを狙えと。これまで何とか我慢してきましたけどもう限界です!」

[で、でもな澪。一応貴重な素材でもあるんだろうし、お前の修行にもなるだろう?]

「もう手加減の勉強なら十分いたしました!若様こそ良いご修行になりますわ?どうぞお譲りいたします!」

ぷんと首を振って拒絶しやがった。

はぁーーーー。


気持ちはわからないでもないか。闇魔法がまったく利かないの以外は強引に闇で潰してたのが素材採集が始まってからは確かにストレスフルだったろうし。

この距離なら。

仕方ない。このまま見せずにいければとは思いもしたが。

無能と思われるのも少し癪だ。

僕がやりますか。
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