これと後一回で連続投稿はストップです。多分。
章の管理で番外編やextraを別章に分けたほうが良いと思ったのですが方法が今一つわからない。
もしかして次話投稿しちゃうと詰んでしまうのだろうか。むむむ。
と悩みながらの投稿です。どうぞ^^
「どう考えてもお前は悪代官がハマリ役だな」
思いっきり深いため息で僕は目の前で小さくなっている巴と意識を取り戻していない黒装束?さんを交互に見て言った。
澪は巴がやらかした二人の「処理」で馬車に行ってくれている。
罰ゲームでトラブル起こすんじゃないよ、こいつはもう。
腕組みして巴を見下ろす僕の後方でスツールに腰掛けている人物が一人。
澪とのお散歩中に拾った子だ。
言っときますけど街娼に手を出したとかじゃないですよ?
一応体面的には僕女連れでしたしね。
何ていうか、もう見事に一時間ドラマ路線です。
多分今回の「困っている村人A」役なんでしょうなあ、この娘。
詳しい事情を聞くか、と半ば投げやりに宿までつれて戻ってきた僕らなんですが。
そこにはほくほくした顔の巴がいて。
全部は殺しませんでしたぞ!若!
とか言ってたんですね。
当然、怯える村人。
頑張って宥めて部屋に彼女を連れて行き落ち着かせ。
巴から詳しく事情を聞くと。
六人中三人は逃したとのこと。
それはまあいい。
じゃあ三人捕らえたんだなと確認すると
「二人は殺りました。一人捕らえてあります、そこに!」
とあっけらかんに答えた。
僕は巴に「頼むから、全員、殺すとかそういうの勘弁してくれよ?逃がすか捕まえろよ?」
そういったんですよい!
でも巴はね!?その「、」をね!全員と殺すの間にあった大事な大事な句読点をね!理解してくれてなかったわけですYO!
一人は事故でもう一人は死んだとはまったく思わなかったとか何とかブツブツいってるけどまったくもって論外!
短剣を払おうと蹴りを出したら宙を舞って動かなくなった。多分、ショック死とかいう奴かも。
これまた武器を狙って薙いだら身体も一緒に斬っちゃったとか。
とてもじゃないけど「てへっ」とか無理だろ、その説明は!
どんな惨殺現場だ!
澪の悪食、いや、跡形もなく処理できる能力を見込んで何とか隠蔽出来ないか頼んでみると「出来る」とのこと。
即座にお願いして現場に向かってもらった。
次に僕は村人を爛々とみつめている巴に彼女のことを説明する前に、とりあえず捕虜であろう人物の無力化が出来ているのか確認しようとベッドへ。
華奢な身体つきだ。もうこっちの基準がわからないからこれでマッチョとか言われたらお手上げだけどね。
「巴よう、お前まさか女の人さらったわけ?」
「ふ、くくく!」
なんだ?何を笑い出すわけだ、巴さんは?
「そうくると思いましたぞ!若!」
だから何がだよ!?
「そしてこう続けたいのでしょう!巴、お前は本当に悪代官だよなあ、と!」
なにを自信たっぷりに言い放つのか。もっとも、言いたい事はほぼ代弁してくれたけど。わざわざ女選ぶなんて悪代官向きだねってさ。
「そいつは男です!」
ビシィ!とか効果音つきそうな御姿。
……。
いや
仮に
そうだとしてもさ
だからなんだよ!?
大体性別以前に武器を取り上げるとかボディチェックとか最低限のことはしてんだろうな?
流石にしてるか。男って断言してるんだし。
「はぁ。別にそこはもういいけどさあ。武器とか持ってないだろうなこいつ。ボディチェックは……」
ベッドといっても毛布などがかけてあるわけじゃない。全身が見れるわけなんですけど。
本当にこれ男か?
妙に、その、女っぽいような気がするんだが。特に腰の辺り。
っと。おいおいおい。
巴~お前しっかりしてくださいよ。
腰のホルダーに刃物らしきものが見える。
「してないのかよ。ったく。部屋に寝かすんなら危険物の所持くらいは調べてくれよ、無用心な」
ホルダーからナイフを抜いて押収。投擲用だろうか。持って振り回す感じの作りではなかった。近づいて油断を誘ってスパッて用途なら印象の限りでは無いのだけれど。
「い、一般人を連れて見えるとは思いませんでしたので、その。若と我々だけなら暴れられるのも一興かな~と」
あはは、と苦笑する巴。恐ろしいアトラクション考えるね、お前は。
「んっ、はぁ」
おっと。寝返りか。この人も大概神経は太いなあ。
ぶちっ。
「は?」
布が裂ける音が聞こえて。
捕虜さんの胸元が膨らみを主張しました。
沈黙。
あまりにも沈黙。
そして、冒頭の言葉です。
巴さんは唖然として捕虜と僕を交互にみてどんどん小さくなって正座。
晒し者ってやつでしょうかね。そしてこの人はサラシをしてた、と。上手くない。
だいぶ締め付けて目立たないようにしていたようです。
そうでないと「ぶちっ」はないだろうからね。
「こ、これは何者かの陰謀というやつですぞ!そうじゃ、こんな八方ふさがりあるわけない!」
力説が虚しい。
「お前よ~もう少し主に気を使ってくれよぅ…。僕がどっちに尋問しやすいかお前わかるよね、ね?」
「いや、ですから胸は避けてですな。今回は完全に男だったはずなのですが」
胸は避けてって何それ意味不明。
「とにかく連れて来たらまず剥いておきなさいってんだよ。服剥げば武器の所持も性別も一発でしょうが」
「やー脱がすというのも変態扱いされやしないか、不安で不安で」
「安・全・第・一なんだよ!!ドラマじゃあるまいし倫理もクソもあるか!馬鹿と変態なら変態のがよっぽど救い甲斐があるわ!」
持論だけど。
「うー、むー」
唸るな!
「大体巴は」
「あ、あのぅ」
ん?
なんですか、この所在の無さが限りない語尾が消えそうな声。澪でも巴でも絶対に無さそうな感じだな。部屋には人は他に…
おお!
村人Aだ!美少女A。
見ればそこには確かに不安な顔をした子供が。
理解できない(であろう)言葉でがなりあうほぼ見知らぬ他人。
ふむ、こりゃあ不安になるわなあ。特に僕は話せないからと筆談をしていると説明済みだった。不審に思われても仕方ないな。
「まあ、許す。次からは気をつけるようにな」
「おお、感謝するぞ見知らぬ子!」
そこはまず僕にだろうよ!?一足飛びでそっちに礼かい!?
しかもそこはしっかり共通語ときた。
どこまで確信犯だよう。
その頭の回転を僕のためにも少しは使ってくれ!泣くぞ?
「お兄さん、話せないって聞いてたんですけど…」
「話せますよ」
共通語ってやつで丁寧に話してみる。もしかしたらって気持ちもあるが。
「??」
首を傾げる仕草で答えはわかった。巴を見る。頷くと少女を向いた。まったく気が利くことだねえ。
「若は今、共通語で『話せる』、と発音したつもりなのじゃ。わからんかったろ?」
「えええ!?だって『はもはにゃむに~』とか言ってたよ!?」
そ、そんな風にか…。シ、ショックすぎるかも。
話せますよ、の一言で「は」しか認識してもらえないとは。僕に言わせればこの世界の共通語が『はもはにゃむに~』って聞こえるんですがね!
「ああ、その辺が呪いの凄い所でな。若は元々様々な言葉を操れるゆえそのうちの一つをもって私たちと意思を交わしておる」
「え、え?ご病気じゃないの?」
「ん、そうじゃ本当のところは呪いなのじゃよ。じゃがそう言うと感染るものでもないのに差別で扱う人が出てくる。差別は嫌じゃからの」
お~。茶目っ気織り交ぜて病気と呪いの違いを捻じ伏せたよ。
女の子も綺麗に納得してるし。うんうん、これからは僕の利益に還元してねその話術。
「たくさんの言葉を話せるのに共通語を封じられちゃうなんて…きっと魔族の仕業ね!酷い!」
待て、なんで魔族?
呪いは魔族の専売特許だったか?なら、理由は次回から変えないとな。
ただのこじつけの為に特定種族を嫌わせるのは良くないよね。
「まったくじゃな、本当に困った奴らじゃのう。それで娘よ、そなたはなぜ若とここへ…」
[こら待て]
今度は筆談に切り替えて巴の肩を叩いてから始める。
な~んでこいつは今の会話を普通に受け止める?何か話してないことあるね!?
「お~う若、どうされました?」
あ、確信。何かある。
[僕の呪いは魔族の仕業となぜ決めるのかな?]
少女に聞く。彼女が文字が読めて本当に良かった。
もっとも、これは後に幸運だと気づいた。この世界の識字率がそんなに高くなかったから。
「だって共通語は生まれて少しすると女神さまの祝福を受けてこの世界のみいーんなが話せる言葉だもの!」
「……」
「あ、でも魔族とか亜人は駄目よ?あの人たちは女神様から認められているわけじゃないから勉強しないと話せないのよ」
「……」
「魔族の中にはテイマーっていって共通語の習得ができない化け物と言葉を交わして使役する人もいるけど」
忌み嫌ってテイマーを語る。
少女の口にする「みいーんな」にヒューマンしか含まれていない事に若干の悲しさを覚える。が、それ以上に。
分類、化け物ですか。僕は。
つうか、祝福、ね。聞けば生まれてから毎年女神様の神殿とやらに参拝に通ううちに徐々に言葉を理解し、話せるようになるんだそうな。
話し出す時期は多少の個人差もあるが3歳くらいには言葉を理解するらしい。少女は4歳の時だったと話していた。
そりゃあ、話せませんわ。むしろ一から共通語を勉強して習得できた魔族と亜人の諸氏を尊敬するよ。
だって、語学じゃないじゃん。「あーうーえー」とか唸ってるのが繰り返しの祝福で言葉になる。
これが皆使えるグローバル、共通語さ!さあ、ヒューマンじゃないみんな!この唸り声を分析して勉強しよう!ってこと?
へぇ。ふーん。
そう、そんな仕組み。
……。
ああああああのおおおおおおおおおお!!!!!
くうううううううそおおおおおおおおむううううしいいいいいいがあああああ!!!!!!!
徹底抗戦が望みか!
良いだろう。こうなりゃ、とことんやってやろうじゃありませんか!
両親の軌跡が優先だけどな。だけど!
その後、絶対にあの女神に一発くれてやる。女でも容赦はせん!これは!僕の人生で最初の!女性への暴力の誓いである!
再会を楽しみにしとけ女神という名の……(以降は聞くに絶えず、また長くなりましたので割愛します。ご容赦くださいby月読)
「そうか。魔族の呪いかもしれないね。ありがとう心配してくれて。続けて」
そうして。
彼女は事件の仔細を巴に話し始めるのだった。
大体さ、その祝福とやらだけど。
本当にあの女神とやらが直接やってるか甚だ疑問だ、あの時命令してたニンフとかにやらせてんじゃね?
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