ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
少し時間がかかりましたがようやく4話目になります。

書き溜めてから投稿していくのを目標に貯金を作りながら製作中です。

計画は立てるより守るほうが数倍難しいですねー。当たり前ですが。

でわ、オリジナルで異世界モノの作品。かつ拙作でよろしければお読みください^^

どうぞ~
序章 世界の果て放浪編
憧れのアレ
『ではやってみてください』

エマに言われるままに精神を集中して呪文を詠唱する。

呪文に使われている言葉はオークの皆様の使っている言語とは違うものだったけど、僕には普通の言葉に聞こえた。というか使おうと意識すると、自然に使えて話せた。感覚で、自分がその言葉を扱っているのだとわかった。

呪文とは特殊なものらしいので話し言葉とかにはならないとの事だったので、調子に乗って披露するのは自重したけれど。

全身からありったけの力を集める感じでと言われたけど、そこは敢えて止めておく事にした。

月様に体力と魔力の向上を教えられた手前、本気でやってしまうとまずいかもしれないと思ったからだ。

これから僕が使うのは火弾ブリッドの魔法。火でなくても同種の違う属性魔法もブリッドと呼び、攻撃魔法の基礎なのだそうだ。

発火にも使える低位の魔法、とのことだったがここは広いとはいえ洞窟。

業火など出ようものなら酸欠か熱で死ねる。魔法の仕組みがわからないから定かでは無いけど、試す気にはならない。

出るかどうかも半信半疑ではあったけど、念には念を入れてね。

「『ブリッド』!」

瞬間。

周囲から何か、形容しがたい『感覚』が体に流れてくる感触があり。

突き出した右手から少し離れた場所で、綿に火を付けたときの発火に似た炎が生まれた。

少しだけその炎は留まり、そして揺らいで消えた。

「お、おおおお!これ、これが魔法ですか!?」

声が上ずる。

言われたように詠唱して、火を意識して、発動の呪文を口にした瞬間。手から火が出た。

凄い! これが、魔法か!

『え、ええ。それが火のブリッドの初期発動です。まさか一度目で出来るだなんて。』

教授してくれたエマが驚きながらも認めてくれた。呪文語(仮)が理解できるのも大きいのかもしれないなあ。

そうか~これが魔法ってやつなのか~♪

こうなるのが見本です、と誰かが僕の手から出してくれた説も捨て切れなかったからなあ。これで証明されたってワケだ。

僕が魔法を使う日がくるとは!!

ゲームでは定番だけど、まさか本当に、ねえ?

うふっ、うふふふふふ、ふふふふふふ。

自然と笑いがこみ上げてくる。

『その火を弾にするイメージを固めて存在を維持、目標にぶつけるようにイメージして火弾を飛ばせればブリッドの完成です』

続けるエマの言葉でトリップから覚める僕。

そうか火弾といわれるからには火の玉を飛ばして始めて完成だよね。火を球状にして目標に飛ばすのはイメージで行うというなら、ブリッドとは火を召喚する魔法のことなんだろうか?

まあ、今は良いか。

「なるほど~。それではそれでは」

上機嫌のまま、短い詠唱を終えてブリッドとつぶやく。

流れ込むナニカ。多分これが魔力なんだろう。確かに、エマから理解より使ってみたほうが早い、といわれた意味が良くわかる。

説明を受けてもさっぱりだった、世界に満ちる魔力というものがもう何となくわかったからだ。

再び現れる火。

これを維持して。

玉の形に、と。

炎が消えることなく揺らめき続ける。野球のボールくらいの大きさでイメージすると、一瞬火の揺らめきが大きくなり、そして徐々に球形になっていった。

『すごい、言っただけでここまで』

エマの放つ驚愕も心地いい。

で彼女の目配せでオークの人が洞窟の壁際に岩の塊を一つ置いてくれた。結構な大きさだがオークは筋力の強い種らしい。

距離は5~6Mといったところだろうか。

彼女が僕を見て頷いたので火の玉を岩に向ける。

そして『中てる』イメージを強く持って飛べと念じる。

人が投げるのと同じくらいの速度でまっすぐ岩に向かって飛んでいき、そして当たった。

洞窟内に衝撃と熱風が起きる。もっとも、それほど大した代物ではなかったけれど。熱風は言い過ぎだった。温風くらいだ。

岩は飛散して形を無くしている。威力もあるようだ。身かけ倒しでなくて一安心ってとこだな。

「これでブリッドは習得、なのエマ?」

『ソ、ソウデス』

彼女の口調ガカタコトに戻っている。どうやら僕は結構凄い事をしたらしい。

『本当なら、あの後光を生むライトの魔法を試してもらってそれから術のイメージとか色々教えようかと思っていたのですが…』

どうやらかなり順番を飛ばしてしまったようだ。ってことはもうライトって魔法も使える感じなわけ!?

おー魔法楽しい、楽しいぞ。

好きな教科が一つ増えたな、これは。

しかも、習いたてのせいか今一番楽しいぞ、これは♪

「おー教えて教えて。呪文だけでもいいから色々教えてよ」

イケイケです。

『あ、はい。それは、では後でまとめておきますね。ところで真様、もう魔力の感知は問題ないですか?』

「あ、それ何となくわかる。魔法出すときの流れ込んでくるモノのことでしょ?」

『ええ、その通りです。流石ですね、天才的な習得速度です』

「やー僕は頭で考えてから理解するタイプなんだけどエマの言う通りだったよ。使ってみたらすごい良くわかった」

まさにそうだった。エマって良い先生になれるんじゃかないかなあ。

『ではそれが自分の体の中にもあるのはお分かりですか?』

「ん?」

言われて意識を自分に集めてみる。

相変わらず使い道のわからない月様からもらった力の存在が圧倒的だった。

でも、確かに。

魔法を使った影響だろうか。それとは違う力が細く続いているのが知覚できる。

外に満ちているものと同じ匂いがするものだ。

これが、自分の魔力、か。

結構あいまいな感覚だ。水辺で手を水につけているような。

全体像はよくわからない。

「ああ、あるな。これが僕の魔力、かあ」

『あれだけの身体能力に、魔力をこんなにも早く自分のモノにされるだなんて。真様は魔法剣士系の職業なのかも知れないですね』

「職業?」

おいおい、この世界って思っていたよりもかなりゲームチック?

ジョブ補正とか特殊能力とかもあるのか?

『ええ、そしてきっとレベルもかなり高いはずです』

レベルとな。

うーん?

これは、この世界の認識をかなり変えなきゃいけないかもなあ。

RPGみたいなものか? ならリズーとかいう犬は経験値をくれたんだろうか。お金は落としてないっぽいんだけど……。

「う、ん。どうだろう、よくわからないな」

エマにはここに来るまでに、自己紹介を兼ねたそこそこの説明をお互いにしている。

正直自分についてはかなり偽りを言いました。

真実を全部話すと、エマはきっと僕を頭の残念な人だと思ってしまうに違いなかったから。

目が覚めたらここにいた。

そしてどうも記憶がはっきりしない、と。まあ、この世界での記憶は確かに無いも同然ですから嘘ではありませんよね?

良いオークだけに騙すのは気が引けるけども。おもわず弁解が丁寧になっちゃったよ。

『レベルだけでよければこちらで大体わかりますよ』

差し出された一枚の紙。

「なにこれ」

『強さを測る紙、とでもいいましょうか。まあ、大体なんですけれど。昔ヒューマンが落として行ったものなのです』

ヒューマン。え、それって人のことか!?

そういえば、人間じゃなくてヒューマンって単語は何度か聞いたな。

「へー。どうするのこれ」

とりあえず、いいや。先にレベルっての測ろう。

『掴んでください』

「ほい」

いわれるままに紙を掴む。白色だったソレは僕が掴むと青にかわった。水色っていった方がいい薄さだ。

『あら、そんなはずは』

エマは不思議がっている。変な色なんだろうか。

僕のことをリズーを倒してエマをここに連れてきたと紹介されている他の皆様も怪訝な表情だ。

「何? おかしな値なの?」

『ええっと』

「うむ、言ってくれたまえ」

覚悟完了。どうせ数字を言われる程度のこと。現状が変わるでも無いしな~。

『レベル1です』

……。

そうだヒューマンのこと、聞かなきゃ♪
真君は魔物の言葉がわかります。
それは女神の与えた理解、というものの一環です。

その副次的な効果で呪文の意味も理解できます。
「asdfghjkl…」と暗記科目な呪文ですが真君には「光よ生まれよ」くらいな聞こえ方をし、また発声できてしまいます。
女神も思い至らなかった効果という、ちょっとした設定でした。
小説家になろう 勝手にランキング


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。