ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
はじめまして、あずと申します。

こちらのサイトでの初投稿作品になります。

異世界召喚、主人公強し、剣と魔法です。お約束の展開も多いと思いますが、あまりハーレム要素は含まない(予定)です。

精神的な超人ではないので状況や知り合っていく人たちにひっかきまわされながらの異世界道中。

姉妹の代わりに異世界に行くことを決意する、一部を除き普通の少年が変えていくとある女神の治める世界。

生温く見守ってくださると幸いです^^;
序章 世界の果て放浪編
これが始まり、秋の空
いつも通りの一日だった。

起床し朝食を作る。ついでに弁当も。

部活動の朝練を済まし一日授業を受けた後はまた部活。

部活仲間と遊びながら家に帰宅。風呂をすませて着替える。

家族と団欒しながら夕食をすませてひと休み。

秋の夜長を、読書と程々のネットで過ごす。

で、就寝。

それだけだった。本当に日常としか言い様の無い一日。

もちろん、多少違う出来事もあったかもしれないけど覚えている程の事は無い。

「だから僕は家で寝てなきゃおかしい」

そうだ。間違いなく。

なのに自分は『ここ』にいる。

一面に星空をプリントしたような四角い部屋。手探りで床や壁を調べてまわった結果、部屋だとわかった。

部屋とは言ったものの、何処にも出入り口が無いのが気になるけど。

そして部屋中を調べ終えるまで、誰も干渉してこなかった。

今は部屋の隅に背を預けて思案中。

”随分と落ち着いているな”

「!?」

声がした。だが辺りを見渡しても、何も変化はなかった。

”叫んだり喚いたりする事も無く、周囲を探った後は現状の説明をつけようと部屋の隅で警戒しながら状況整理か”

声は続ける。自分のことを語る気は無いようだ。もう、正体を会話で探ったほうが早いか。

「誰?」

”神、といったら信じるかね?”

「無理」

頭わいてんのか、この声。

”それは残念。では君には、これから所謂異世界にいってもらう。ちなみに一方通行でもうこのセカイには帰ってこられない”

「おいおいおいおいおいおいおいおい!!」

なに人の言葉スルーしてんだ! しかもアホなことすらすらと……

”向こうでやるべきことは担当者に聞いてくれるといい。ではすまんが最後にこの状況を理解して了承する旨のサインをだな”

「できるかああ!!」

僕は流石に声を荒げる。当たり前だ、当然だ、誰に聞いても納得するだろ!?

”おや、嫌かね? おかしいな……話が通っていると聞いているんだが”

声はちょっと困った風に語尾を弱めた。冗談にも程がある。断じてそんなこと事前に聞かされてなどいない!!

「そんな話は聞いてないぞ、嘘じゃない! 良いか大体だな、異世界とか聞かされてどこに信じる馬鹿がいる! 話が通ってる方がおかしいわ!」

力の限り叫ぶ。

”ふむ、どうやら君は本当に違うようだな。これは失礼した、申し訳ない”

「あのな、謝ってもらえるのはそりゃあ嬉しいけど。ここから家に戻してもらえるんだろうな!?」

”もちろんだ”

声はそう言った。

よかった。話がわかる声だ。ここで悪い、無理だ、まあ頑張れとかいわれて放り出されたとしても僕に抗う術は無い。

もしくはもう死んでるんだよね~君、って言われて問答無用な展開で異世界とやらにポイッされちゃう気がしたのだ。いや、僕に就寝までの記憶がある以上、突然死以外にそのパターンは無いか。

助かった~。

”いや本当に済まなかった。・・・・・・しかし、となると姉か妹のほうだったか”

前言撤回。こいつ洒落にならないこと言いやがった。ぼそっとしか言わなかったが、確かに僕の耳に聞こえた。聞き捨てることの出来ない一言だった。

「おい、いまなんつった?」

”ん? 君に話が通っていないとなると、おそらく君の姉妹が話を聞いて――”

「んなわけないだろ! 姉さんや真理に手を出したら容赦しねえぞ!」

確かに僕には姉と妹がいる。三つ上の雪子姉と二つ下の真理。

だけど、二人とも今日は何も変わった様子が無かった。こんな異常な事態など、予め受け入れているわけがない。それにも関わらず、こいつが僕の代わりにどちらかを連れ去ろうなど冗談じゃない。

”しかしな。君は深澄家の長男、深澄真君だろう?”

なんで名前知っているんだよ?

”深澄家の子供なら話は通っているから、と私は頼まれているのだが?”

声はさっきよりもさらに困っているようだ。僕は少し感心した。こんなトコに問答無用に拉致したくせに、こちらの意思を尊重してくれている。

これなら……。

「あのさ。とりあえずそっちの名前とか教えてくれる?」

そうだ、今のところパニックになっちゃいないがこっちだって完全に冷静でいるわけじゃない。

ここは落ち着かないと。

僕はまだ相手の名すら知らないんだから。

”……ふむ、確かに。名乗らずに済まない。私はツクヨミという”

「ツクヨミね。ツクヨミ、月読!?」

”おや知っているのか、これは博識なこと”

「三貴子の一人に数えられる”あの”月読命?」

”おお、おお。その通り。他の二人に比べると私はどうにも、その、まいなーでなあ”

いや確かにそうだが。それにしてもビッグネーム。

僕は神話や歴史(どっちもごく一部に限りだが)が大好きだから、声の主が本物なら大層な存在だってわかる。

「その月読さまがどうしてうちのことを知ってるんですか?」

これがまずわからない。ある意味、異世界云々より意味不明だ。

”……そうか、本当に何も知らないのだな。よかろう、順に話そう”

そうして語られて始めた内容は、正直僕にとって晴天の霹靂。

僕は、異世界にばれたり迷い込んだり転生したりする人たちの中では、結構幸運な方の入り口に立っていると、そう思った。
小説家になろう 勝手にランキング


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。