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2013年4月28日(日) 東奥日報 ニュース



■ IAEA事務次長、高レベル廃棄物の国外処分で見解

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高レベル放射性廃棄物の最終処分問題などについて見解を述べるフローリー氏=25日午後、都内
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 国際原子力機関(IAEA)のデニス・フローリー事務次長(原子力安全・セキュリティー局長)は25日、東京都内で東奥日報社のインタビューに応じた。高レベル放射性廃棄物の国境を越えた最終処分に関して「将来的には解決策になるかもしれない」と言及。受け入れ側が原子力関連の技術や知識を十分に持っている場合、国外の廃棄物受け入れも将来議論される可能性を示した。

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 日本では2011年、原子力の技術支援と引き換えに、モンゴルに高レベル廃棄物の処分場を造る構想が浮上した。日本国内で選定が進まない処分場を海外に求めた形だが、廃棄物を途上国に送る方法は道義的な問題も絡み、現時点で課題は整理されていない。

 フローリー氏は、高レベル廃棄物を取り扱う技術や知識を持たない国には、廃棄物を輸出してはならない−と国際条約で定められていると説明。受け入れ側の国に知識や技術があれば、国境を越えた処分も「将来的なソリューション(解決策)にはなるかもしれない」として、可能性を否定しなかった。

 ただ、「現時点で国外の高レベル廃棄物を受け入れる心づもりをしている国はなく、そういった方法も開発されていない」とも話し、現状では国内処分が現実的だとの認識も示した。

 日本での処分地選定は、02年から「原子力発電環境整備機構(NUMO)」が全国市町村を対象に公募を始めたが、入り口の文献調査もできていない。経済産業省はこうした状況を受け、選定手続きを見直し、国の関与を強める方針を打ち出した。

 処分地選定に関してフローリー氏は「国によってさまざまなアプローチがあり得るが、いずれにしても透明性が重要だ」と強調。「どういう課題があるか、それに対してどのような解決策があるか、一般市民に常に情報提供するべきだ」と求めた。

 処分地選定は日本以外でも難航している。米国ではネバダ州に決まっていた最終処分地を、オバマ政権が地元の反対を理由に白紙撤回した。現時点で処分地が決まっているのはフィンランド、スウェーデンなど一部の国にとどまる。

 フローリー氏は「IAEAは原発に新規参入する国に対し、高レベル廃棄物の処分地を早期に探すよう勧告している」とも説明。「処分地を選定するまでには交渉や説得に長い時間がかかり、大変な労力を要する。原発の建設を始める前から処分地は選定するべきだ」と訴えた。

 フローリー氏は23〜25日に都内で開かれた日本原子力産業協会の年次大会で講演し、同大会の会場で本紙取材に応じた。

 ◇

余剰プルトニウムに懸念

 IAEAのデニス・フローリー事務次長はまた、完工に向けた試験が最終段階にある日本原燃六ケ所再処理工場について、「再処理は、MOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料に必要な分だけにした方がいい」と本紙インタビューに答えた。利用計画が明確ではない余剰プルトニウムの保有に対し、核セキュリティーの観点から懸念を示した。

 フローリー氏は、核兵器の材料になるプルトニウムや、プルトニウムを含むMOX燃料について「しっかりした防護が必要。日本当局は、防護のリスクを考慮するべきだ」と指摘した。さらに「(原発で使う見通しのない)MOX燃料を大量に保有するのは問題で、最適な方法ではない」と明言した。

 日本の電力業界は、使用済み核燃料の再処理で取り出すプルトニウムの使い道として、MOX燃料にして再度原発で利用する「プルサーマル」を掲げている。

 プルサーマルは16〜18基で実施する目標があるが、福島第1原発事故以降、一般の燃料を使う原発の再稼働も不透明に。現時点で達成の見通しは立っていない。

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