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株ニュースの新解釈
【第96回】 2013年4月26日
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株ニュースの新解釈

保田隆明 ほうだ・たかあき
小樽商科大学ビジネススクール准教授。早稲田大学商学部卒業後、リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。10年より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。

保田 隆明

なぜ北海道の歌登に
タイ人観光客が大挙しているのか?

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浴衣とマイナス10度の両方を楽しめる

 さて、そうやって、夕食会場で存分に楽しんだタイ人ご一行は、次に外に出る。3月の歌登、気温は当然氷点下だ。夜ならマイナス10度、20度にもなる。浴衣から完全防寒の服に着替えて彼らは雪像作りを体験する。巨大な雪のかたまりにノコギリを入れてギコギコと刻んでいく。また、雪で作ったかまくらの中に入り、そこで一杯のお酒を楽しみつつ、かまくらの天井で北海道の夜の星座を楽しんだりする。

夕食後、外へ出て雪像を作るタイ人観光客。雪も人気の理由のひとつ。(c)TVh

 存分に日本と北海道を味わい尽くした観光客にインタビューをすると「楽しいおもてなしがあっていいホテルだ」というコメントが帰ってきた。和太鼓も最後はタイ人が一緒になって叩いていた。

 3月の歌登は単なる雪深い田舎でしかない。大仏も五重の塔もお城も新幹線も富士山もスカイツリーもなんにもない。しかし、上手に日本らしさと北海道の特徴を織り交ぜている。しかもコストはあまりかけず、手作り感満載だ。

 今回はタイ人観光客にウケたわけだが、この事例は相手がほかの国からの観光客であっても喜んでもらえるであろうし、日本の他の地域にとっても参考になる事例ではなかろうか。

 また、海外から日本にやってくる観光客が喜ぶものとしてわれわれが普段思い浮かべるのは、上にあげた大仏など観るものが多く、体験してもらうものは実は少ない。しかし、われわれが海外に行くと海外を体験したいのと同じように、海外からの観光客も日本を体験したいのだ。そんな簡単なことにも気づかせてくれた今回の特集であった。

お仕着せ観光はそろそろ曲がり角

 なお、翌週の番組では、北海道の水族館ブーム到来というのを特集したが、その中で登別のマリンパークニクスという水族館に台湾人観光客が大挙しているという事例を取り上げた。

 観光客の目の前をペンギンたちがよちよちと歩くペンギンパレードが人気なのだが、そこで台湾人観光客に提供しているランチが目を引いた。中国風のお粥を提供しているのだ。これも台湾人がこの水族館を途中のお立ち寄りスポットとして気に入っている理由の一つらしい。

 北海道なら海鮮をふるまうべき、という固定概念を強く持っているとこうはならない。海鮮に比べるとコストも安く、施設側にとっては一石二鳥だ。

 顧客のニーズをつかむというのはわれわれビジネスの世界にいる人間は日常茶飯事的に行っていることではあるが、日本を観光地として売る、アピールするという意味では従来の固定概念の払しょくも含め、まだまだ余地がありそうである。

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