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新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く
【第29回】 2013年4月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
降旗 学 [ノンフィクションライター]

週刊文春がキャンペーン・中国産食材は大丈夫か!?
そして、日本の外食産業は……?

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 週刊文春が、いま、すさまじい告発キャンペーンを張っている。

 キャンペーンは三月末号から始まり、今週発売号(5月2・9日ゴールデンウィーク合併号)で早くも第六弾になるのだが、中国産食材の“安全性”についてである。この一ヵ月というもの、うむむむ……、と唸りながら読んだ記事でもある。すごい。

 というか、背筋が寒くなる思いがした。流れる石で、さすが文春といった感じだ。

 こういったテーマにご興味のある方、自分が何を食べているか、食べさせられているかが気になる方は、バックナンバーを揃えてでもお読みになったほうがいいかもしれない。

 中国から輸入される食糧は、年間でおよそ四〇〇万トンにもおよぶらしい。

 水産物において、日本は全輸入量の一八・二%を中国に頼り、農産物はアメリカに次いで二位。全輸入量の一〇・五%が中国からだ。もはや中国抜きに日本の食糧事情は語れないのである。

 が、それらのことごとくが日本の食品衛生法を犯している――、がキャンペーンの骨子のようだ。厚生労働省が摘発した中国産食品の最新リストをもとに、編集部が作成した一覧に私たちはまず驚かされる。それらは、こんな感じで記載されている。

 「品名」活あさり・冷蔵あさり・殻付きあさり・レトルト殺菌あさり
 「検出される毒性物質」プロメトリン(除草剤)

 「備考」平成二四年度厚労省発表の輸入違反事例によれば、水産物の中でもっとも違反が多かった。中国の海や河川は工場の排水による重金属類や畑から流れた農薬、糞尿などで汚染が深刻となっている。川から海へ流れた汚染物質を貝が食べてしまい、有毒物質を体内に溜め込む結果に。

 といった感じで六〇品目が挙げられている(それぞれに身も凍るような備考付)。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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