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新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く
【第29回】 2013年4月26日
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降旗 学 [ノンフィクションライター]

週刊文春がキャンペーン・中国産食材は大丈夫か!?
そして、日本の外食産業は……?

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 かっぱ寿司のHPを見て、中国産の食材を数えたら六〇品目以上もあったのだが、ほとんどに中国産が使われているからHPを見てくれと答えたのかも……、などと私なんぞは勘ぐってしまう。

 二〇〇七年、中国産の冷凍餃子を食べた三家族が下痢や吐き気などの中毒症状を起こし、小さな女の子は意識不明の重体に陥るという事件はまだ記憶に新しい。その餃子からは、殺虫剤の成分が検出された。段ボール入りの肉まん事件なんてのもあった。

 四割を割り込んだ日本の食料自給率と中国から輸入される食品の割合を考えれば、中国産を食せずに暮らすほうが難しく、私たちは、どこかで、必ず中国産を口に入れている。それがどのような影響を及ぼすのかは、まだ誰にもわからない。

 であるならば、不安を抱きつつ、大丈夫だろうかと恐るおそる食べるよりは、中国産を使用していても、安全管理を徹底し、情報公開を怠らない店で食べたい。

 と私なら思う。食べるなではなく、食べざるを得ないのであれば。

 「輸入された商品は、検品と、実際に食べることによる官能検査を行ない、異常がないことを確認後、店舗に出荷されています。製造を委託している協力工場については、自社工場なみの厳しい管理体制で臨んでいます。衛生と品質の確認記録は、その都度私どもの本社に送付され、リアルタイムでその状況がわかる体制になっています」(松屋の回答より)

 「当社は基本的に一〇年ほど前から、国内産食材へシフトしています。加工食品以外の生鮮品では、中国産は使用していません。各取引先から品質検査の結果を提出させ、自社でも無作為抽出による食材検査を実施するなど、品質管理を徹底しています。また、食材を導入する前に、工場視察を行ない、安全の確認をした上で導入しています」(魚民、笑笑、白木屋などを展開するモンテローザの回答より)

 企業や広報部からすれば、どーせ叩かれるんだろうな、との思いで回答を寄せているに違いないのだが、それでも、問いあわせにはしっかり応えようとする姿勢は評価に値する。しらばっくれる企業より、はるかに信用できる。

 週刊文春はさらに告発キャンペーンを継続し、今週発売号ではさらに切り込む。

 『あなたはそれでもチキンナゲットを食べますか? マクドナルド日本法人の中国産鶏肉が危ない! 中国契約養鶏場で“抗生物質漬け”の鶏が大量死』

 が、最新号のタイトルだ。

 この原稿を書いている時点ではまだ記事を目にしてないから、私も早く読まなければ。みんなも読んだほうがいいぞ。食の安全性に無防備でいるよりは、意識を持ったほうがいいのだ。でも、背筋が寒くなるかも。

 書店に急げ。他社の宣伝をしてどーする、とツッコまれそうだが。

参考記事『週刊文春』3月28日号、4月4日、11日、18日、25日号

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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