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 ┃ 「青春を返せ裁判」を支援する会  会  報  1 9 9 2 年 1 2 月 . 第 1 号   ┃
 ┃                             「青春を返せ裁判」を支援する会事務局発行  ┃
 ┃                             〒700 岡山市春日町4-26 地方自治会館1階   ┃
 ┃                         086-233-7543(国民救援会) FAX.086-232-0378   ┃
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  会  報  を  発  行  す  る  に  あ  た  っ  て
  会員の皆様方におかれましては、日頃より「青春を返せ裁判」を支援する会をご
理解下さり、深く感謝申し上げます。
  さて、今まで、裁判の内容についてお知らせするのが殆どでございましたが、も
っと皆様方のご意見もお知らせ頂きたい、そんな強い願いをもって、ここに会報第
1号を発行させて頂くことになりました。皆様方の御理解をますます深めて頂いて、
この大きな社会悪の「統一協会」の被害を広めないために、今後も力強いご協力を
賜りますよう、よろしくお願い致します。
  又、皆様方のご意見及び情報を事務局までどんどんお寄せ下さいますよう、お願
い申し上げます。                                                    (M)  
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 │ (もくじ)                      │
 │ 会報を発行するにあたって………1 │
 │ 新段階を迎えた青春を返せ裁判…2 │
 │ 「大岩徳二」という人のこと……3 │
 │ 幹事会の報告………………………4 │
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                                  −1−
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  新  段  階  を  迎  え  た  青  春  を  返  せ  裁  判
                                                          河  田  英  正
  「青春を返せ裁判」は、東京・新潟・札幌・福岡・岡山・神戸等で既に100名
を超える人が提起し、各地方裁判所で審理されています。いずれも統一協会によっ
て人格破壊がなされ、統一協会の社会的に許容されない霊感商法等の役割を果させ
られたことによる精神的損害の賠償を求める悲痛な訴えです。
  “単なる文化サークル"であり、“宗教団体ではない"と偽って、まじめに人生の
あり方を考えている青年に近づき、巧妙に企画されたマインドコントロールの手法
をつかって知らぬうちに統一協会員にならされ、合同結婚をするために、難民募金
などと偽るニセ募金・心身ともにボロボロになるまでなされる珍味売り等を行って
金を文鮮明に届けるようになるのです。もうその時点では、上司(アベル)からの
指示を絶対とするようになり、それ以外の意見は“サタン側の働きかけ"として拒
否してしまう精神構造となっています。こうなると詐欺的な霊感商法を行うことさ
え何ら違法ではないと確信するようになるのです。こうした人格破壊に至る心のメ
カニズムを社会心理学者と共同して解明しようと弁護団との共同研究がすすんでい
ます。
これらの成果を「青春を返せ裁判」の中で活かし、「宗教」がからめば全て許され
るかのごときこれまでの考え方に対し、一定の行為・一定の限度を超えた宗教活動
の違法性を科学的に明らかにして行くことができるのではないかと思います。この
ことが真の信教の自由を守ることにつながっていくと思います。
  今夏の“桜田・山崎騒動”以来、統一協会に関連する相談が殺到しています。統
一協会から購入させられた壷の返還交渉、献金の取り戻しや救出に関する問い合わ
せです。こうした交渉の中で、従来一括で返還に応じていたものが長期の分割払い
になり、あるいは訴訟手続きによらなければ返せないなどと対応が変わってきまし
た。反面、TL(担保ローン)、HG(信者の借り入れ)等の被害の発生が目立ち
はじめ、統一協会の資金の窮状がうかがわれるようになりました。金集めの団体は、
資金をしめれば消滅するしかありません。この巨大な反社会的資金集め団体は、急
速に崩壊に向かってすすみ始めたことはまちがいないと思います。
                                  −2−
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 「  大  岩  徳  二 」  と  い  う  人  の  こ  と
                                                                  M  子
  私は、信仰歴9年の協会員の母親です。毎年秋風の吹き始める此の頃になると、
いやが上にも、あの衝撃の告白を思い出します。「僕は、原理研究会へ入っていて、
将来は、統一協会へ献身します」と。これを耳にした時から私達の長く苦しい闘い
が始まりました。息子は、原研を卒業して、すぐ長崎大学原研ホーム長として赴任
しました。そこでの仕事は、主に「世界平和教授アカデミー」という言論者会議を
開き、それに出席してくれる知名度が高く名誉欲の強い教授と折衝する事でした。
  6年前ですが、その頃、息子は必死で親を復帰(入教)させようと接近して来ま
した。始めは、「協会の催し等へ何で行ってやるものか」と思っていましたが、興
味と好奇心から行って見ることにしました。会場では、その日の接待客が次々と紹
介され挨拶していました。中に大岩徳二という人がいました。この時が、私が、大
岩氏を目にした最初でした。彼は演壇で、「これからの国際社会に向けて、岡山の
青年の力が必要だ」と力説していました。2回目に彼に会ったのは、大学在学中の
次男の父母会でした。そこでは、「私は、この高齢ではあるが『毎日新聞歌壇の選
者』です」と誇らしげに言っていました。私はその時、協会と拘わった人が、その
場に居た事に大いに驚きました。早速、帰宅後に彼に電話し、協会との関係を糺し
てみました。すると彼は、「統一協会とは一体何ですか。そんな悪い団体には思え
んが、もし、そうであれは以後気をつける。私は担がれ安い人間ですからナ」と。
  それ以後、何回か息子の誘いに乗って、催しへ出る度、いつもそこには大岩氏が
いました。今考えると、彼は完全に協会の人間であり、内部の事も知り切っている
と思われます。彼は、かっては高校長であり、現在も予備校長、山陽短大名誉教授
で居ます。何も知らない若者を喰い物にする協会の人間が、若者の学舎へ入り込ん
でいるとは、何と恐ろしい事でしょう。何とか彼を目覚めさせて被害をくい止めな
ければなりません。彼に限らず、いい年をした大人が、どっぷりと協会へ入り込み、
社会悪をしているかと思うと、忿懣やるかたなく残念でなりません。聞く所による
と、アカデミー教授に頼めば子供を返してくれるとか。大岩さん、私の子供を返し
て下さい。
                                  −3−
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  幹  事  会  の  報  告
  11月12日夜、河田法律事務所で、7人の参加で第1回幹事会が開かれました。
  統一協会の動向について、次のような意見・報告がありました。
 新保幹夫(協会関係者)が「ほほえみ会」の代表を退いた。
 4年前、救出のため、父親が勤め先の学校に休職届けを出したら、そこの教頭が
統一協会に漏らし、救出に失敗した。この度、合同結婚に参加後、脱会できた。そ
のときの教頭は、現在は津山市・北陵中学の校長をしている。
 竹村会にも統一協会員が1人はいる。
 パチンコ店経営の岩本国志(李)は統一協会員で、統一協会に建物などを提供し
ている。
 脱会説得中の統一協会員がケガで国立病院に入院したが、そこの看護婦(亀石)
が統一協会員で、ケガが治ったときに逃亡させた。
 廣鶴堂(統一協会の薬屋)の女性が脱会した。
 総社に天地正教一家がいる。
 私は今回の祝福(合同結婚)を受けて、脱会した(本人が出席)。
 西山という男が岡山の統一協会のトップになった。
 ワコム(統一協会のコンピューター会社)が岡山にできている。セイロモーター
ス(統一協会の自動車会社)もできるかもしれない。
 家庭ビデオセンターが、津山(上河原352-4 繁元宅)、児島、高梁、玉野、山陽
にできている−など。
  今後について、 .裁判に傍聴者をもっと誘おう、 .会報を発行しよう、 .津
山での集会を検討しよう−などと、話し合いました。                    (K)
<事務局から>
〇第12回公判(2月10日午前10時30分から)の傍聴をお願いします。
〇岡山市田町の「岡山カルチャーセンター」(元「クリエイト」)は、10月末でどこかに
移転しました。岡山市幸町の「ライフビジョン」は、名称を「総合教育文化センター」
に変更しました。
                                  −4−




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 ┃ 「青春を返せ裁判」を支援する会 会  報  1 9 9 3 年 3 月 ・ 第 2 号     ┃
 ┃                             「青春を返せ裁判」を支援する会事務局発行  ┃
 ┃                     〒700 岡山市春日町4-26  郵便振替「岡山6-33457」   ┃
 ┃                         086-233-7543(国民救援会) FAX.086-232-0378   ┃
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 │ (もくじ)                                      │
 │ 「青春を返せ裁判」に参加して…嘉松喜佐夫…P.1  │
 │ 自分を返して………………………原告A………P.2  │
 │ 裁判を傍聴して……………………K生…………P.3  │
 │ ソロモン王であって欲しい………秋山篤子……P.4  │
 │ 「廣鶴堂」で活動して……………F子…………P.5  │
 │ 神戸集会・その他…………………事務局………P.6  │
 └─────────────────────────┘

           「  青  春  を  返  せ  裁  判 」  に  参  加  し  て
                                                  弁護団長  嘉松  喜佐夫
  1989年11月27日、元信者の原告2名が統一協会を相手に「青春を返せ裁
判」を提起して3年余が経過しました。
  岡山では初めての提訴ということで大々的にマスコミにも取り上げられました。
  また、「人権の擁護と社会正義の実現」を使命とする岡山の弁護士さん達の多く
が、この青春を返せ裁判に弁護団の一員として参加することこそ、弁護士に与えら
れた使命を全うする所以だ、と弁護団に参加されました。
  「青春を返せ裁判」は、原告の2名が「人生について考えてみませんか」などと
アンケート調査を装って誘い込まれ、数日間に亘る睡眠不足と集団心理を利用して
正常な判断力を奪って入信を決意させ、多額の献金をさせたうえ、霊感商法などの
経済活動もさせられた。この期間中の青春は全くの空白のものであったので、その
青春を返せ、というものです。
  同時に、現在なお統一協会にだまされている兄弟たちのためにもその違法性を明
らかにしよう、というものです。

  提起から3年余が経過し今年2月10日、原告の1名の証言が終わりました。
  原告の証言は、6回に亘って行われましたが、統一協会側が「人のいい、素直な
青年たち」に対してビデオを使ったり、幹部が占い師を装って講演し、あげくのは
ては「君の先祖は殿様だ。殿様だったら、人を苦しめ、殺し、女性を泣かせてきた
はずだ」「サタンの子が神の子になるには財産を投げ捨てなくてはならない」など
と脅迫した事実が生々しく証言され、傍聴した支援の人たちにどうしてもこの青春
を返せ裁判で勝利しなければならない、そのために力の限り頑張ろう、との決意を
させるものでした。
  私たち弁護団も、主任弁護人の河田弁護士を先頭にこれからも勝訴に向けて頑張
る決意を固めています。
  支援する会のみなさんの、力強いご支援を心から期待しています。
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                         自  分  を  返  し  て  
                                                                原告  A
  自分っていいな。自分の考えで自分の体を動かすことができる。3年前、統一協
会から脱会した直後に感じた素直な気持ちです。
  「自分を捨てること」=「堕落性を脱ぐ訓練」これが統一協会からたたき込まれ
た中枢の教えではないかと思います。
  全世界(統一協会)のために財産を捧げること、命を捨てること、人を騙すこと、
全てにおいて自分自身が存在していないと考えれば辛いと思わなかった。逆に喜び
と感じることができる不思議な世界。喜びと感じるから自ら脱会することができな
い。自分を捨てきっている時は恐怖心は感じないが、ひとたび自分の考えが入って
くると、条件反射のように恐怖心に捕われてしまう。悩み苦しみ倒れながら、でも、
引き返すことができない世界。初期段階は、友情、占い師の脅迫等でつながってい
たが、そんな生易しいものではなかった。
しかし、裁判において、3年間の時の経過とともに、自分を乗っ取られたことのな
い人に対して、それを言葉で言い表すことの難しさを知りました。

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                        裁  判  を  傍  聴  し  て
                                                                  K  生
「誰にお金を借りたんですか?覚えてない?」
「一緒だったっていう5人全員の名前和言って見て下さい。」
「給料日は何日?え?17日?15か16じゃないの?」
  協会側の弁護士の無意味な上げ足取りの連続。腹立たしい限りですが、かえって
協会の裁判に対する姑息かつ不誠実な姿勢が浮き彫りにされていたと思います。
  この日の裁判の中で私にとって最も印象的だったのは、原告側・河田弁護士の、
「あなたが協会に通い続けた理由は何ですか?」
という問いに対する、
「初めは友好関係でしたが、やはり植えつけられた恐怖感です。」
という、元信者である原告の方の答えでした。私は「居心地の良さ」や「友好的ム
ード」が大きいと思っていましたので、「危機感を最大限にあお」り「救われる道
」としての協会、という図式になるほどと納得致しました。非常に説得力のある場
面だと喜んでしまいました。
  そして、河田弁護士が事件における「人格破壊過程」の重要なかかわりを懸命に
訴えておられるのに、「原告は主張をもっと明確に!」という裁判長のつれない態
度。精神操作というものに対する司法の後進性を感じずにいられませんでした。
  また、協会は一切の経済行為を否定しているそうですが、昨年話し合った現信者
は、
「人参茶や壷を売ったお金は、御父様(文鮮明)の所に集められて、それから世界
の為に使われているんです。」
「と言っていました。これは一体どうなっているのでしょう・・・
  最後に、原告の方、御家族、そして弁護士の先生方の勇気と御努力に深く敬意を
表し、私はこれからも「青春を返せ裁判」を見詰めていきたいと思っています。

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               ソ  ロ  モ  ン  王  で  あ  っ  て  欲  し  い
                                                      玉野市  秋山  篤子
  2月10日第12回公判は、私にとっては3回目の傍聴体験でした。
  毎回の事乍ら、歯ぎしりし、心臓が高鳴るほどの憤りを覚えるものがあります。
今回も「エーッ、あの裁判官は今までの原告の証言を何も聴いておられなかったの
ーッ?」と思える様な発言もあったけど、「待て待て。ここで感情的になってプッ
ツンしたのでは、こちらの負けなのだ」と、いくら法律や裁判に疎い私にも理解出
来て来ました。
  それにしても夛くの犠牲を払い人生を懸けての訴えが、あの上段に座して居られ
る方々には果たして届いているのだろうか?と、首をかしげたくなりました。
  昔ソロモン王は、神に「あなたに何を与えようか。願え」と云われた時、「善悪
を判断してあなたの民を裁くために聞き分ける心をしもべに与えて下さい」と願っ
たという。神はそれを良しとされ、「あなたが正しい訴えを聞き分ける判断力を求
めたので、わたしはあなたに知恵の心と判断する心とを与える」と。その結果、彼
は名裁判官とうたわれ、又知恵の人としてもその名を残したことは知られています
が、私は傍聴し乍ら、この聖書の記事を思い起こし、この公判に臨んで下さる上座
の方々がソロモン王であって欲しいと願い祈りました。
  そして、原告の方が、私の様に感情的になって失言しない様に、とも祈りつゝ傍
聴しておりましたが、さすがに常に冷静に対応し、証言して居られるその姿勢には
覚悟の程が伺えると共に、背後で力強い弁護と支援のある事を覚えさせられ、感動
しています。
  世に夛くの犠牲者を出し、社会問題となっている由々しき力に勝利するため、私
も「傍聴」という小さな事からお手伝いさせて戴いています。更に夛くの方が支援
の輪に加わって下さる事を願うものです。

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                   「  廣  鶴  堂  」  で  活  動  し  て
                                                             岡山市  F子
  私は、1984年(18才の春)にビデオセンターに誘われ、89年10月に献身(出家)し、
91年9月から92年10月まで、岡山市撫川1320-1ハイデンス岡山7Fの配置薬「廣鶴堂
」(岡山営業所)で活動していました。廣鶴堂は、広島に本店、福山、呉、岡山に営
業所があり、最近では松山にも営業所をつくる計画がありました。岡山営業所は、
岡山市、倉敷市、玉野市をエリアに営業し、最近では笠岡市や井原市にも出かけて
います。
  廣鶴堂は、一般商品を販売して統一協会に送金するための「定着経済」活動の1
つです。岡山では、所長(堀田)、営業(10人)、会計、コンピューター、食当の15人
のスタッフ(30代の男性が多い)で、1カ月1,500万円の売上を目標としていました。
  薬は、一般のメーカー(常盤薬品、廣貫堂など)の商品で、「日本配置薬」(=統
一協会の会社)から卸されます。一般住宅を訪問して、『廣鶴堂です。置き薬の店
ができましたので伺いました。使わなければ、いっさいお金はいりませんから』と
言って薬箱(周りがクリーム色、引き出しが黄色)を置いて廻ります(「開拓」と
いう)。
そこを2・3カ月に1度、別の人が営業に廻り、薬を補充して集金します。会話し
ながら、高麗人参茶(一和、 50 ・15,000円、 300 ・80,000円)、栄養ドリンク(
常盤「グロンビタD」150円、「トキワローヤルバーモントリンゴ酢入」1.8 ・4,5
00円など)、入浴剤(「バスオール」2,500円)などを勧めます。その中で、高麗人参
茶をどれだけ売るかに重点が置かれ、1人が 20個を目標にしていました。また、
訪問時などでは意識して伝道し、話が合えば森山講師(実は統一協会の講師)のビデ
オを貸して見てもらい、その講演会に誘ったりして親しくなり、ビデオセンターへ
とつなげていきます。
  私は、昨年10月末に救出され、統一協会の誤りに気付き、いま心の整理をすすめ
ています。今、私の体験をお話しすることで、新たな被害を少しでも防ぐことがで
きたらと思っています。なお、商品の値段などの数字は、かならずしも正確ではな
いかもしれませんが、どのくらいの商品かがわかりやすいのではないかと思って、
数字を書きました。

                        神  戸  集  会 ・  そ  の  他
                                                                  事務局
  会員のみなさま、お元気でしょうか。
  会報第1号の発行(12月末)以降の主なできごとを綴ってみます。
                                                    みちお
 1月 日本統一協会会長が、またも交替(神山威から藤井 雄に)していたことが
  わかりました。そして、対策弁連の弁護士らに、新会長名の文書−統一協会と天
  地正教の負債が4,000億円あり返済を待って−が届きました。
    29日 国民救援会から激励金をいただきました。
 2月10日 岡山「青春を返せ裁判」の第12回公判がひらかれ、原告Aさんに対し、
  統一協会側弁護人が尋問しました。原告側は、原告のBさんが証言する勇気がな
  くなったとして、Bさんの訴えを取り下げました。そして、次回公判が4月28日
  午前10時からと決まりました。閉廷後の懇談会では、統一協会側の上野弁護士が
  辞任した(河田)、昨年末に脱会して洗礼まで受けた女性が偽装脱会だった(高山)、
  日韓人協会の活動が活発になっている(T)−などの発言がありました。
    11日 NHKは教育テレビで「心ががんを治した」と名うって、統一協会系の
  京北病院(東京都豊島区)の治療法や考え方(がんそのものより恐怖する心の方
  が危険−などの)を無批判に紹介しました。
    21日 NHK衛星第2は「映画について語り合う」番組で、合同結婚後のテレ
  ビでは初めて桜田淳子を出演させました。
    23日 霊感商法の被害者105人が統一協会などに総額5億759万円余の損害賠償
  を求めて、東京地裁に集団提訴しました。
 3月5日 全国霊感商法対策弁連主催で「統一協会の霊感商法・合同結婚式を問う
  神戸集会」がひらかれ、飯干晃一氏や元信者、浅見定雄氏らが報告し、討論しま
  した。岡山からは7人が参加しました。懇親会の中で、倉敷市役所に「野の花会
  」のニセ募金に行って総務課につかまったという東京の女性、岡山の青春裁判の
  原告になってもいいと言う女性、献身して行方知れずになっていた女性と昨年会
  ったことがあると言う最近脱会した女性などと話すことができました。
    6日 有志3人は毎日新聞岡山支局に、統一協会側の男性を短歌選者などに起
  用しないよう申し入れました。




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 ┃ 「青春を返せ裁判」を支援する会 会 報   1 9 9 3 年 6 月 ・ 第 3 号     ┃
 ┃                             「青春を返せ裁判」を支援する会事務局発行  ┃
 ┃                      〒700 岡山市春日町4-26 郵便振替「岡山6-33457」   ┃
 ┃                         086-233-7543(国民救援会) FAX.086-232-0378   ┃
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    ┌─────────────────────────┐
 ∧ │ 7月14日公判の傍聴を……………事務局K…P.1  │
 も │ 裁判を起こすにあたって……………倉敷市B…P.2  │
 く │ 「青春を返せ裁判」に参加して………弁護団…P.4  │
 じ │ 統一教会との関わりを振り返って…元岡大生…P.5  │
 ∨ │ この間のできごと……………………事務局……P.6  │
    └─────────────────────────┘

                 7  月  1  4  日  公  判  の  傍  聴  を
                                                              事務局  K
  気まぐれな雨に悩まされる今日このごろですが、支援する会のみなさまはいかが
お過ごしでしょうか。しかしこのじめっとした気候も、稲や植物の成長には欠かせ
ないものなんですね。
  家族の懸命な努力が実り、山崎浩子さんが感激の脱会表明をしました。この事件
は、マスコミの注目もあって、多くの国民が統一協会の実態を理解し、統一協会が
市民の財産と人権を侵害するのを防ぐうえで、大きな影響を与えたようです。
  統一協会の財政事情は極端に悪化し、信者のHGを合わせると借金は1兆円を下
らないといわれます。また、牧師への救出相談も、山崎事件から急増しています。
自分から辞めて相談に来る人が増えていますが、その人たちの心の後遺症は、これ
までより深刻です。こうしたなかで、夏ごろにはサラ金パニックが予想され、日本
統一協会が破産し、信者全体が混乱に陥る可能性もあります。いちばんの犠牲者で
ある一般統一協会員が救われるよう、みなさまのご協力をお願いします。
   7月 1 4日(水)午後 1時 3 0分から第14回公判が岡山地裁34号法廷でひらかれま
す。今回は、原告Aさんの勧誘者(現信者)が統一協会側の尋問に答えます。また、
倉敷市のB子さんが原告に加わります。励ましの傍聴をお願いします。

                 裁  判  を  起  こ  す  に  あ  た  っ  て
                                                            倉敷市  B子
  この度、「青春を返せ裁判」の原告に加えていただくことになりました。岡山に
は、すでにしっかりとした基盤がありますので、大変心強く感じております。そし
て、統一協会に対して、法的に立ち向かう機会が与えられましたことに心から感謝
を申し上げます。
  私が統一協会に入っていた期間は2年と6カ月でした。昨年の夏、家族によって
保護されたときには、勤労青年の立場をとりながら、統一協会系企業である世一観
光(株)広島営業所で働いていました。そして、秋に、統一協会の間違いを認め統一
協会より脱会しました。
  統一協会についての真相が明らかにされた直後は、心に大きな衝撃を受け、ショ
ックのあまり、人間不信に陥ってしまいました。誰とも話したくない、誰も信じら
れない、でも何よりも辛かったのは、自分の存在価値が全面否定され、この世から
抹殺されたような思いにとらわれ続けたことです。その状態から立ち直るのに、半
年以上の時間がかかりました。その中で、少しずつ、当時のことを振り返り、整理
していくうちに、統一協会に対して、大きな憤りを感じるようになりました。もち
ろん、そんな団体に騙された私自信にも責任はあります。けれども、それ以上に統
一協会が一人の信者を入会させ文鮮明の忠実なしもべに育てあげていくのに、どの
ような方法をとっているのか、そして、その結果何をさせているのか、そのことが
重大な問題点であるように思いはじめたのです。
  ここで、私自身が統一協会に対して憤りを感じている点をいくつか挙げてみたい
と思います。
一、統一協会の名称や目的を偽って入会させられたこと。
一、脅迫に近い方法で、献金や物品購入、あるいは、伝道、経済活動をさせられた
  こと。
一、特殊な環境下で、外部からの情報を断ち切られ、統一協会に有利な情報や作為
  的な情報を一方的に与えられて、これまで持っていた価値観から、文鮮明氏を善
  の基準としてしまう価値観に変えられたこと。
一、私にとって、人生の貴重な時期を無駄にしてしまっただけでなく、そこに私個
  人の意志が介入することなく、反社会的活動に従事させられたこと。
一、他の人を思いやる気持ち、平和を願う気持ち、世界の為に何かしたいという気
  持ち、それら善なる気持ちを、文鮮明氏の個人的野望実現のために悪用されたこ
  と。
一、肉体的にも精神的にも、そして魂までも、文鮮明氏に捧げることを強要され、
  実際、身体に支障が出るまで活動させられたこと。
一、霊界という目に見えない、また立証しにくい世界のことを巧みに用いて脅かさ
  れ、恐怖心をうえつけられ、精神的拘束を受けたこと。
  しかし、個人的な憤りとは別に、統一協会に対して畏怖の念を感じずにはいられ
ない点もあります。それは、漠然としたものですが、統一協会は、不法行為を行っ
ている宗教団体であるだけでなく、もっと奥の深い底知れぬ恐ろしさを持った不気
味な闇の組織、集団ではないかという思いを払拭することができません。文鮮明氏
がメシアではないとわかった以上、そのことに対する嫌疑はますます強まっていく
ばかりです。統一協会がこの世界で創りあげようとしている文鮮明氏を頂点とする
統一国家(統一協会ではその国家を地上天国と呼んでいる)。そのための手段とし
て、統一協会は政治、経済、科学、文化、芸術、宗教等のあらゆる分野に入り込み、
そこでTOP層を抱き込み、TOP−DOWN方式での侵略を進めていこうとして
います。また、信者自身もその中に送り込もうとしています。そして、文鮮明氏に
対して忠実に働くより多くの人々を集めるための罠が、日本だけでなく、世界中の
いたるところに点在しています。統一協会の正体が一体何であるのか、考えれば考
えるほど「悪」以外の何ものでもないという思いが強まってきます。
  統一協会によって多くの人たちが人生を狂わされていることを思うと、そして、
犯罪者に仕立てられていることを思うと、心が痛みます。統一協会の問題は、統一
協会が存在する限り、解決されたことにはならないのだということを実感させられ
ます。
  今なお、統一協会の中に囚われ、真相を知らされることなく、神のため、真の父
母のためと気持ちをあおられ、多くの犠牲を払わされて、法に触れる行為へと日夜、
駆り立てられている兄弟姉妹たちのことを思うと、一日も早く彼らを悪夢の世界か
ら解放してあげたいと思います。
  そのために、今の私にできることは、統一協会の中で体験したことを公言するこ
とによって、全国の多くの原告の方たちと共に、統一協会の実態と違法性を暴いて
いくことしかありません。この裁判を通じて、一日も早く、統一協会がその違法性
を認め、責任をとり、世界中の信者たちを解放してくれることを願って止みません。
その日の訪れることを信じ、この裁判に参加することを決意しました。


            「  青  春  を  返  せ  裁  判 」  に  参  加  し  て
                                                        弁護団  近藤幸夫
  この裁判に加えていただいたので、統一協会から救出(脱会)された方々に接す
る機会がもてるようになった。
  幸いにして救出されても、精神的に大きなダメージを受けた結果として、自分の
ペースを取り戻すのに大変な時間がかかる方も多いということを再認識させられる。
  私が接した方の多くは回復の早かった方であるが、共通に感じるのはむしろ純粋
な方々であるということである。純粋さや優しさなど人間的に美徳とされる資質が、
統一協会によって逆手にとられていることに怒りを覚える。
  また、我が子を統一協会に奪われ、その子らが親に対する自然な情愛感情まで一
時的とはいえ「奪われる」という深刻な状況のもとでも、子らの帰るのを信じて悲
痛な思いで救出努力を続ける親御さんたちの姿に心打たれることが再々である。
  原告の勇気が、シック(協会員)への断ちがたい思い、責任感が、この裁判を軸
としてここまで輪を拡げさせた。そしてこの輪が、救いを求める親御さんたちや、
現に協会員として迷いの中にいる人々にとってのささやかなかがり火となっている
ことは紛れもない。
  オカルトとか霊能とか一部に非合理のもてはやされる時代風潮である。しかし、
統一協会の問題は、単なる非合理の問題ではない。それは何人も虚偽事実、虚偽環
境により人の自由な理性を奪う(操作する)ことは許されないという違法性にかか
わる問題である。人の理性も巧みな操作により支配されうる。法廷で明らかにされ
た組織的、体系的に仕組まれた「入会工作」は許される操作の限界を越えており、
自由な理性的判断を奪い、心理的強制を持続するそのやり方は、まさしく違法であ
る。しかしこの結論を裁判所に認定させることは、さほどたやすいことではない。
この裁判にかかわる私どもが、どこまでも根気よく注目し、法廷に足を運び続ける
こと、そうした努力を重ねることによってしか、裁判所に一歩突っ込んで「ことの
本質」を考えさせることはできない。まさに、これからが正念場である。


         統  一  教  会  と  の  関  わ  り  を  振  り  返  っ  て
                                                          元岡大生  N子
  最近でこそ、毎日のように耳にするようになった『統一教会』ですが、大学に入
学した頃、私はその存在すら知りませんでした。
  1986年、私はキャンパスでサークル勧誘をうけました。サークル名はもう忘れて
しまいましたが、いわゆる文化系サークルの雰囲気でした。のちに明らかになった
ことですが、これが原理研究会だったわけです。簡単にいえば、学内の布教活動の
拠点といったところでしょう。学内のことでしたから、特に強い不信感を抱くこと
はありませんでしたが、サークルの主旨や目的は体育会系のように、一目瞭然とい
うわけにはいかず、“価値観や人生観について学び自分を高めるサークル”である
という説明だったように覚えています。いまひとつ雲をつかむような感じでしたが、
そんなに悪いところではないようだという感想を持った私は、不安をもちながらも、
好奇心にかられて、少しずつ統一原理を学びはじめたのです。  統一教会に関する
勧誘で特徴的なことは、初期の段階に限らず、友人や家族に、サークルに関するこ
とや学んだ内容について、一切相談をしないようにと忠告されることだと思います。
「まだ学び始めたばかりであなたが説明しても、他人はわかってくれないから」と
いうのです。自分で考えて行動する前に、まずサークルの人、つまり教会の先輩に
指示をあおぎなさい、ということを自分でも気付かぬうちに教育されていくのです。
学びながら、いろいろな疑問を持つのですが、教会の人がひとつひとつ、納得でき
るように理論づけてくれるので、素直な人ほど鵜呑みにしやすいと思います。極端
な言い方をすれば、教会の中が真実であって、それ以外のところで生活している人
たちは、全てまちがった価値観の中にいるのだという発想を何の疑いもなく、持つ
ようになってしまうのです。
  今から思えば、私自身、自分で全てを見極め判断してゆけばいいという、一見謙
虚さを装った、傲慢な態度があったために、入信にいたったのだと思います。


                       こ  の  間  の  で  き  ご  と
 3月 7日 「山崎浩子さん失跡」。
 4月 7日 元信者の一家4人が統一協会などに対し25億円の損害賠償を求める訴訟
    を東京地裁に起こした。
     8日 当会の3人が岡大入学式で青春裁判のビラを配った。そこへ統一協会員
    が3人来て「牧師による人権侵害許すな」のビラを配ろうとした(抗議して止め
    させた)。
   1 1日 吉備教会の周辺に「高山正治牧師が改宗に」の中傷ビラが配られた。
   1 5日 東京で元会員7人が青春裁判の第3次訴訟を起こした。
   1 7日 福山市内の父母が事務局に来られ、2人で相談に応じた。
   2 1日 山崎浩子さんが脱会を表明した。
   2 5日〜26日 第4回裁判勝利をめざす全国交流集会(国民救援会、自由法曹団、
    全労連主催)に当会から参加し、青春裁判の状況と支援する会の活動について発
    言した。
   2 7日 S.ハッサン氏を迎えての関西集会が奈良・天理市でひらかれ、当会から
    4人参加した。ハッサン氏は、米国での自分の体験を通して、マインドコント
    ロールの内容と、それからの救出方法について講演した。(著書:マインド・コ
    ントロールの恐怖)
   2 8日 第13回「青春を返せ裁判」が岡山地裁でひらかれた。(記事参照)
 6月 7日 千葉の統一協会系モデルガンショップ「天宙」店長・猪股保之らが、モ
    デルガンを実弾が撃てる短銃に改造して売りさばいたとして逮捕された。
   1 0日 当会幹事会をひらき、第14回公判日の行動などを話し合った。
   1 7日 当会の役員2人が岡山衛生会館を訪れ、統一協会にホールを貸さないよ
    う申し入れた。同館の責任者は「次回からは貸さない」と答えた。
   1 8日 統一協会の「純潔キャンペーン」集会が岡山衛生会館で開かれ(参加者7
    00人)、徳田敦子らが講演した。
   2 1日 「日本新党の牧野聖修候補(静岡1区)が統一協会(勝共連合)と深い
    関係」と赤旗が報道した。(統一協会と政界との癒着は、自民党・民社党議員
    に加え日本新党にも及んでいる!)
                                  −6−




 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ 「青春を返せ裁判」を支援する会 会  報  1 9 9 3 年 9 月 ・ 第 4 号     ┃
 ┃                             「青春を返せ裁判」を支援する会事務局発行  ┃
 ┃                     〒700 岡山市春日町4-26  郵便振替「岡山6-33457」   ┃
 ┃                         086-233-7543(国民救援会) FAX.086-232-0378   ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

    ┌───────────────────────┐
 ∧ │ 10/3に「統一協会の反社会性を問う集会」…P.1│
 も │ 10/14の公判傍聴と総会にご参加を………… P.1│
 く │ 7/14第14回公判のN子証言の要旨……………P.2│
 じ │ B子さん提訴「文は信者と世間に謝れ」……P.5│
 ∨ │ 事務局から………………………………………P.7│
    └───────────────────────┘

   <  山  口  広  弁  護  士  が  講  演  >
  1 0 / 3 に 「 統 一 協 会 の 反 社 会 性 を 問 う 集 会 」
  「統一協会は莫大な借金にあえいでいる」、「日本の組織は崩壊しつつある」、
「相次いで仮差押が認められた」、「救出相談が相次いでいる」などの情報が飛び
交っていますが、統一協会はどうなっていて、どうなっていくのでしょうか。また、
救出活動はどうなんでしょうか。
  法曹界でこの問題の第一人者の山口広弁護士(全国霊感商法対策弁護士連絡会事
務局長)を東京から招き、また救出活動をしている牧師にも語っていただきます。
  お誘い合わせてぜひご参加下さい。
      記
日時:10月3日(日)午後2時から5時
会場:岡山市勤労者福祉センター(岡山市春日町4-26、 086-233-7543)
参加費:300円

       1 0 / 1 4  の  公  判  傍  聴  と  総  会  に  ご  参  加  を
  第15回公判(勧誘者N子の証人尋問)が10月14日(木)午後1時30分から3時まで開
かれ、続いて(5時頃まで)支援する会の第4回総会を弁護士会館で開きます。
       7 / 1 4  第 1 4  回  公  判  の  N  子  証  言  の  要  旨

       「  私  も  宗  教   嫌  い  な  ん  で  す  よ  ね  え 」    
  1993年7月14日、岡山地方裁判所で、統一協会のマインドコントロールによって
人格を破壊された元会員Aさんらが、統一協会に損害賠償を求めた「青春を返せ裁
判」の第14回公判がひらかれ、Aさんを統一協会に誘ったN子さんが証人となり、
統一協会側・早川良弁護士の質問に答えて概要つぎのように証言しました。
  ━私は、昭和41年1月生まれ(27才)で、岡山市〇〇に住んでいます。倉敷市内
の小・中・高校に通い、平成4年3月に岡大を卒業しました。同年6月までアルバ
イトをして、7月から統一運動のアルバイトをしています。
  昭和61年1月、岡山駅前のダイエーから出て、「ライフセンター岡山」というサ
ークルでとっているという男性からのアンケートに答え、住所、氏名も書きました。
そのサークルは、世界情勢や人生の目的をビデオを通して勉強する文化サークルと
いうことで、宗教団体だとは聞きませんでした。その後、アンケートをとった男性
から「ぜひサークルに顔を出してほしい。この日はどうか」という手紙が2通届き
ましたが、開封した時期が遅かったので行きませんでした。
  2月下旬、女性が訪問して来て、「初めてで不安でしょう。ビデオを1本見て下
さい」と言われ、以前のときの男性が外でビデオデッキを抱えて待っていて、部屋
でビデオを見ました。その内容は、講師が黒板で講義し、様々な社会問題の原因は
人間の堕落であると説くもの(総序)でした。これまで、宗教とは寄り集まって意
味のない活動をしているものと思っていましたが、純粋に聖書が勉強でき、世界情
勢が勉強できるところなんだ、おもしろい、と思いました。そして、3コースの中
で一番安いビデオコース(受講料(学生)16,000円)を受講しました。
  その後、勧められて土・日2日間のセミナー(2デイズ)を受講しました。開校
式で、全員が聖歌を合唱し、司会がお祈りをしました。今までにない「歴史的同時
性」の講義などもあってよかった。
  次に「ライフトレーニング」を受けました。土・日を除く毎夜7時30分から9時
すぎまで講義があり、その後夕食をとりました。費用は、夕食代の300円だけを払
いました。「創造原理」から「同時性」、「再臨論」まであり、メシアが地上に来
られていると聞きました。「統一協会」も生まれて初めて聞きました。
  次に、広島市可部の修練所で、4泊4日の「4デイズ」(受講料(学生)21,000
円)を受けました。80人以上参加していて、開校式で「身なりに気をつけるように
」などと注意がありました。講義中には私語ができませんでしたが、休み時間には、
どこからきたの、趣味は、などの話をしました。職場や家に連絡する必要がある人
は、班長に言って、公衆電話から電話することができました。新聞も2種類あり、
掃除時間や夜の合間に見出しくらいは読めました。スケジュールは、午前6時半に
起床、8時半から朝食、9時半から12時半(または午後1時)まで講義、午後には
スポーツやゲームがあり、2時(または2時半)から講義。講義は、1時間半する
と15分か20分間の休憩がありました。夜12時半の消灯でした。集中して講義が受け
られ、仲間もいて、充実していました。
  最終日に、入会希望者は申し込んで下さいと言われましたが、1〜2人は白紙で
出していました。今後について、(A)献身会員になる、(B)今すぐにはできないが
後ほど献身する、(C)礼拝会員として続ける、(D)週に何回かはセンターに通う、
(E)そこまでできない、という段階に分けて書きました。岡山から数人が行ってい
ましたが、岡山の男子学生も今ではやめていて、その中で残っているのは私1人で
す。
  その後、ライフセンターからアパートに電話で、「新生トレーニング」(1カ月
の合宿)に参加するよう誘われ、即「今から荷物を持って行きます」と答えました。
寮に入って生活(費用(学生)は21,000円)し、ここでの講義ではより深く学ぶこ
とができ、信仰生活の仕方も詳しく分かりました。月に1回はリクレーションもあ
りました。そこには30人が参加し、5人がいま残っています。やめる人は、家が遠
い人、仕事が忙しい人、やりたいことがある人、自分の時間を割いてやる意味が分
からない人、神が分からない人たちで、スタッフが相談に乗っていましたが、強制
はありませんでした。
  62年1月に学生部に所属して勉強と信仰を共にし、3月には青年部に所属し、8
月に学生部に戻りました。
  原告のAさんとの関わりについては、
  62年9月に、学生部のKさんとペアで、伝道ということで岡南地域へ行きました。
私が初めて受けたものと同じ「生活意識アンケート」ということで、そこの寮に入
り、3人目に答えてくれたのが、Aさんです。その項目1つ1つについて聞いてい
きました。Aさんは、世界情勢に関心をもっていました。宗教については、嫌いだ
と言われたので、「私も嫌いなんですよねえ」と言いました。宗教団体、統一協会
を言わないのは、私も最初は偏見があり嫌いだったからです。「クリエイト」を紹
介する小さいパンフレットを見てもらい、今日でも来て下さいというと、「いいで
すよ」と言われました。
  クリエイトでも、腰を落着けてじっくり知りたかったので、「おじゃまアンケー
ト」をとりました。ここに通うように誘ったら、「英語教材に40万円払ってだまさ
れたので、信じられない」と言われ、営利団体ではない、Aさんのためになるので
信じてほしいと説得し、入会してもらいました。帰りぎわに、「突然にもかかわら
ずアンケーに協力し、クリエイトにも来ていただきありがとうございます。Aさん
の益になることがあるのでがんばって学んでほしい」という手紙を渡しました。
  その後、何度か来てビデオを見ましたが、霊界のことなどに不信感をもったよう
です。「ハーフデイセミナー」に誘い、そこで霊界の話(人間は自分1人の矛盾も
克服できない、生きる目的を知らなくてはならない、霊人体も成長させなくてはな
らない、という内容)を聞き、それ以後、一度顔を出したきり来なくなりました。
私は、1週間に1回くらい、電話したり、それを補足する手紙を出したりしました。
「忙しいんですか」と聞くと「忙しい」と言われていました。テニスの帰りにちょ
っと寄ったり、お酒を飲んで寄ったりしたこともありました。
  12月中旬、ビデオセンター以外で会えたらいいと思い、「招待券をもらったので
」と、絵の展示即売会に誘いました。これは「 アート創和」が主催するもので、
統一協会とは関係ありません。40代後半の婦人の専門の人といっしょに廻りました。
50万円くらいのブルーの絵が気にいったようだったので、買ったらいいと勧めまし
たが、お金がないと言われ、ローンでもいいと言いましたが、ローンは嫌いだと言
われました。アンケートでは、100万円くらいあるということでしたが、絵にお金
をかける気がないのだと思いました。私は、お酒にお金が流れるのはよくない、絵
にして残せばいいのにと思っていました。これをきっかけにして、クリエイトには
顔を出さなくなりました。私の方では、少しは手紙を出していました。
  しばらくして、青年部が作ったサークルの総合体の「サークル・ユー」の講演会
に誘いました。これは、統一協会とは関係ありません。講演者の鈴木光さん(30代
前半)は、信者の青年をまとめている人です。20人弱の人が出席し、講師が勝手に
選んだ3人の人が姓名判断をうけました。その夜電話したら、Aさんは、クリエイ
トに行く、と言いました。
  翌日、クリエイトで「鈴が鳴る」という30分くらいのビデオを見ました。「信じ
られない!」という感想でした。(次回に続く)


   B  子  さ  ん  提  訴  「  文  は  信  者  と  世  間  に  謝  れ  」
  公判後、岡山弁護士会館で懇談会をひらきました。参加者の発言(要旨)を紹介
します。
【河田英正弁護士】絵の展示会などが統一協会と関係ないと証言していたが、ウソ
を言っている。「ユー」が青年部の中にあるということは、統一協会の中にあると
いうことではないのか。彼女自身も被害者だと思う。統一協会は、会長が神山猛か
ら藤井 雄に代わり、4千億円の借金(内8百億円は天地正教分)があるとしてい
る。山崎浩子さんが脱会し、不法改造銃で銃砲店が摘発され、選挙違反で勝共連合
本部が公安警察から家宅捜索を受け、銃弾も撃ち込まれ、統一協会本部が仮差押え
を受けた。HGの返済問題もあり、日本統一協会破産後の被害金の回収のため、韓
国、米国の弁護士とも連絡をとっている。岡山では、被害相談に応じる実践的弁護
士を固めつつあるところ。
【高山正治牧師】6月29・30日に、全国の宗教者の会合があった。山崎さんの脱会
前後に杉本誠牧師が脅迫、いやがらせをされ、現在でも続いているそうだ。
【原告A】(セミナーは緊迫してはいなかったとの証言があったが、との質問に答
えて)セミナーでは電話はまずできない。緊迫感があった。
※ここで、マスコミの要望に応えて、原告に加わる予定のB子さんの記者会見とな
りました。その要旨は、
【B子】1955年4月生まれです。精神的損害などの賠償を求めて、また統一協会の
中の人を救うためにも、この裁判を起こします。私は、90年2月に入会し、2年半
活動しました。統一協会を信じて入会し、全てをささげることを決意していたにも
かかわらず、実際は違い、法にふれることもしていました。中にいたときには、そ
んなことは感じていませんでした。統一協会のことは、私個人にとどめることでは
ないと思っています。信者は、社会的に悪いことをしているとは思っていません。
世界のためと思って、自分にむち打って活動しています。やればやるほど自分に悪
いことを積み重ねています。そういうことが許せないんです。できれば、文鮮明氏
自身が信者と世間にあやまり、損害を償ってほしい、中にいる人を解放してほしい
と思います。被害請求額(900万円余)以外、両親が献金したもの(210万円)もあ
ります。
【河田】岡山では、青春裁判の原告が2人になります。今後、統一協会は、エイズ
問題で教育に介入しようとしています。霊感商法商品支払いでクレジット契約して
いたクレジット会社に連絡すると、「今までの分は返しますから穏便に」との反応
があります。それ以外の被害については、請求しても何の反応もありません。天満
屋、高島屋にもシービー商品が入っている問題もあります。
※ここで、河田弁護士が退席して、裁判所に訴状を提出しました。
  司会(葛原健志事務局長)から、原理運動被害者父母の会が取り組み始めた「世
界基督教統一神霊協会の解散命令請求に関する請願」署名活動に協力しようと提案
があり、話し合いました。
【会員】統一協会についてよく分からないので、署名についてもよく分からない。
【中沢仁志幹事】数多く集めれば、統一協会にたいして打撃をあたえられると思う。
父母の会がいっしょうけんめいやっているのなら協力したい。
【A】いいことだとは思う。ただ、解散によって現在の信者が救出できるかという
問題もある。
【河田】必要なことだと思う。3月には、都議会で知事が統一協会について「問題
と思う」と発言しているので、期待できる。全国弁連としては、署名活動にはタッ
チしていない。
【司会】皆さんがだいたい賛成の方向なので、支援する会として署名に取り組むこ
とにしたい。会員のみなさんには、強制ではなく、自主的な協力をお願いしたい。
  最後に、最近脱会した2人が発言しました。
【男性】世界日報に勤めていた。証言で、セミナーで新聞が2紙あったという中に
は、世界日報もあったと思う。参加者は、外とは連絡ができなかったと思う。
【女性】原研にいて、1カ月前に脱会しました。統一協会は、魂の救いをもてた所
だった。信者個人個人のことを思うと、社会の人に温かく見守ってほしい。

  事  務  局  か  ら
〇  統一協会解散請求署名にご協力いただきありがとうございました。8月末まで
  に、知事宛と議会宛が各2,710人分集まり、9月8日に被害者父母の会に預けま
  した。この署名は、もうしばらく続けて集めますので、引き続きご協力下さい。
〇  世界平和女性連合の一周年記念大会が、9月21日(火)にコンベックス岡山(岡
  山市大内田675  086-292-6111)で開かれ、文鮮明の妻・韓鶴子が講演する予定
  です。支援する会では、会場に貸し出し中止を申し入れるとともに、県民にこの
  事情を宣伝します。9月15日(水)11:30〜12:30に岡山の天満屋前でのビラ配りに
  ご協力下さい。
〇  反「性教育」キャンペーン…東西南北統一運動国民連合などの名称で、「性は
  神秘なもの」などといって、明星大学の高橋史朗教授らを使って「性教育」に反
  対する会合を開き、実態を知らない教員らが多数参加しているようです。岡山で
  も、この会合の計画が耳に入ればご連絡下さい。事務局は、9月7日に県教委と
  岡山市教委に注意を申し入れました。
〇  「リトルエンジェルス」の公演(8/15)について、8月11日、葛原事務局長ら2
  人は、岡山市の武本勘二総務課長に会場(シンフォニーホール)を貸さないよう申
  し入れましたが、同公演は行われました。
〇  統一協会の資産調査のため、8月6〜9日、河田英正弁護士らは南朝鮮に渡り、
  統一協会施設や文鮮明邸を見学しました。
〇  弁連の全国集会が、9月24日に東京でひらかれます。参加者には、費用の内5,
  000円を支援する会の財政から補助しますので、至急ご連絡下さい。
〇  現在の会員数は194人です。総会(10/14)までに200人を超えればと思っていま
  す。知人に入会をお勧め下さい。
〇  9月10日、毎日新聞は「国際ボランティア貯金が統一協会関係に配分と報道」。




 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ 「青春を返せ裁判」を支援する会 会 報  1 9 9 3 年 1 0 月 ・ 特 別 号   ┃
 ┃                             「青春を返せ裁判」を支援する会事務局発行  ┃
 ┃                     〒700 岡山市春日町4-26  郵便振替「岡山6-33457」   ┃
 ┃                         086-233-7543(国民救援会) FAX.086-232-0378   ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


     「  青  春  を  返  せ  裁  判 」    B  子  さ  ん  の    訴    状

                            倉敷市〇〇
                                  原      告        B                  子
                            右原告訴訟代理人の表示  別紙目録記載のとおり
                            東京都渋谷区松濤一丁目1番2号
                                  被      告        世界基督教統一神霊協会
                                  右代表役員        藤井 雄
            損害賠償請求事件

                             請  求  の  趣  旨
  被告は原告に対し金9,285,200円と平成4年8月1日から完済に至るまで
年5分の割合による金員を支払え
  訴訟費用は被告の負担とする
  との判決並びに仮執行宣言を求める。

                             請  求  の  原  因
はじめに
  1989年11月、岡山地方裁判所に対し一青年が世界基督教統一神霊協会を相
手に不当な手段によって同協会に入教させられ、霊感商法という違法行為に加担す
ることになり、巧妙なマインドコントロールによって貴重な青春時代を反社会的団
体に帰属して財産的にも精神的にも多大な損害を被ったとしてその違法性を問うい
わゆる「青春を返せ訴訟」を提起した。その当時、全国的に同種の裁判が数件しか
係属していなかったが、現在同様の訴訟を提起した原告数は全国で120名を超え
ている。
  1992年8月、被告は韓国において合同結婚式を挙行した。被告はこのイベン
トに桜田淳子・山崎浩子ら芸能人を参加させて宣伝活動に利用しようとしたが、逆
に被告の霊感商法の実態をさらけだす結果となり、被告内部にも大きな動揺を与え
脱会者が相次ぐようになった。各地での青春を返せ訴訟において、マインドコント
ロールのシステムが明らかにされつつあり、米国で統一協会のナンバー2の地位に
あった元信者で心理学者スティーブン・ハッサン著「マインドコントロールの恐怖
」(恒久出版刊、浅見定雄訳)がベストセラーとなっている。
  一方、被告は自ら4000億円(内800億円は天地正教分)の借金を抱えてい
る旨言明している。統一協会の最前線にいる信者(食口−シック)達は、激しいノ
ルマを課され、睡眠時間まで制限され人格的にもずたずたになりながら今なお街頭
でのニセ募金、珍味売り、その他の霊感商法の実働部隊へとかりだされている。
  本裁判は、原告の被った著しい人格破壊による精神的損害、復帰原理の名の下に
多額の金員を拠出させられた財産的損害の回復を求め、被告のマインドコントロー
ルの違法性を問い、新たな被害者の発生の防止と今なお被告組織にいて苦しい毎日
を送っている人達が一刻も早く誤りに気づいて救出されることを願って提起するも
のである。

第1  当事者
 1  被告
  被告世界基督教統一神霊協会(以下、統一協会という)は、1954年ソウルで
設立された宗教団体で、教祖は文鮮明(韓国人)である。
  日本には1958年、密入国した韓国人崔翔翼(チェ・サンイク 日本名西川勝)
によりもたらされ、1964年東京都知事の認証を得て同年7月16日付けで宗教
法人として設立登記をしている。同年に、元立正校成会の信者久保木修己が会長に
就任し、その後神山威、藤井 雄と交替し、現在に至っている。
  信者〔統一協会内では「食口」(しっく)と呼ぶ〕は、統一協会の発表では日本
で30万人、全世界で300万人とされている。しかし、元統一協会最高幹部の副
島嘉和氏が雑誌『文芸春秋』1984年7月号で暴露したところによれば、日本で
8,000人、アメリカ合衆国と韓国にそれぞれ2,000人、ヨーロッパ全体で二
百数十人であり、浅見定雄東北学院大学教授によれば、多めに見て日本が数万人、
アメリカ合衆国と韓国にそれぞれ2,000人から5,000人、ヨーロッパ全体で
1,000人そこそこ、その他の国では殆ど無視してよいという状況である(以上、
浅見定雄「統一協会=原理運動その見極めかたと対策」)。
 2  原告
  原告は、路傍アンケートを契機として、被告施設であるビデオセンターに通うよ
うになり、その後統一協会に在籍するようになったものであるが、家族等の努力に
より統一協会の実態を知り、自ら脱会したものである。

第2  統一協会の教理と霊感商法への必然性
 1、統一協会は、1954年ソウルで創立された宗教団体で、その教祖は韓国人文
鮮明である。統一協会は国際勝共連合との結びつきが密接であり、その初代会長に
就任した久保木修己は、国際勝共連合の会長でもあった。
 2、統一協会の目的は神と人間の究極の理想である人間完成と地上天国を実現する
ところにあるとしている。そして、統一協会の教理は統一原理で、大きく分けると、
創造原理、堕落論、復帰原理の3つであり、その教理の書は原理講論である。
(1)  創造原理
  統一原理の根本は、神が人間と万物をどのように創造したかということを明らか
にする創造原理である。
  人間は、永遠なる神が最も愛し、喜ぶことのできる対象として創造した。そのた
め、人間には永遠の生命が与えられており、神の愛が人間の生命と幸福の根源とな
っている。人間は肉身と共に霊人体をそなえた霊肉の統一体であり、愛による善き
行いによって人間は霊肉共に完成することができる。被造世界は肉的な5感で感知
することのできる世界(現実世界)と、霊的な5感によってしか感知できない世界
(霊界)とから成り立っている。人間は肉身の寿命が尽きると肉体の衣を脱ぎ、霊
界においては霊人体として永遠に生きるように創造されたものである。神は、神と
喜怒哀楽を共にする人間が天国を造って喜ぶときに一番喜ばれる。人間を中心とし
て被造世界の目的は神を喜ばせることにある。人間の完成とは神性をなして神と一
体となり、完成に共鳴することにより喜怒哀楽を共にすることをいうが、そうなる
ために他の万物と異なり、人間だけは5パーセントの自己責任がある。
  その人の霊人体が天国へ行けるか地獄へ行くかは、肉身であるその人の地上生活
が神の創造目的を成就するためにプラス(善)かマイナス(悪)であるかによる。
人間の本当の幸せとは永遠の世界である霊界での永遠の幸福のために地上で善の生
活をすることである。
(2)  堕落論
  神は善の主体であり、永遠なる理想の本体であるから、その神の意思によって創
造された人間が善の理想体としてすでに完成されていたならば、善悪や苦痛や矛盾
があり得るはずがない。しかし、現実の世界は、あまりにも創造の理想とかけ離れ
た状態にある。個人、家庭、氏族、民族、国家、世界に不幸は絶えず、罪悪に苦し
む人類の歴史が連綿と続いてきた。このような人間の本性では善を希求しているに
もかかわらず、現実には悪に傾きやすいという矛盾した状態は、結局、人間が神の
子としての本然の位置と状態を失って堕落したため生じたものである。
  人間が創造本然の目的を離れて右のような罪の歴史を繰り広げてきたのは、人間
の始祖であるアダムとエバがその未完成期に善悪の実を食べてはならないとの神の
御言を守らず、サタンとなった天使長ルーシェルとエバが不倫な肉体関係を持ち、
その結果エバはルーシェルの要素をそのまま受け継いだからである。そして、エバ
がアダムを誘惑してアダムと夫婦の関係を結んだためエバがルーシェルから受けた
すべての要素をアダムがそのまま受け継ぐことになり、この要素はその子孫に連綿
と遺伝されるようになった。すなわち、罪の根は、人間始祖が蛇に表示された天使
と不倫なる関係を結んだところにある。従って、人類は神の善の血統を繁殖するこ
とができず、サタンの血統を繁殖するようになった。従って、この世界はサタンの
支配する世界(地上地獄)となってしまったのである。そして罪には前記のごとき
原罪の外、子孫が血統的因縁によって引き継いだ先祖の罪との連帯罪、自分が犯し
た自犯罪とがある。原罪を清算しない限り他の罪を根本的に清算することができな
い。
(3)  復帰
  堕落して罪悪に陥った人類は、神の恩恵による救いの道を行かなければそこから
脱することはできず、統一原理ではこの救いの意味を復帰として理解する。そして、
人類に対する神の復帰摂理がどのような原則に基づいてなされているかを明らかに
する救いの全般の原理が復帰原理である。
  イエスは、メシアとして地上に降臨された。その目的は地上天国を創ることであ
った。ところが、ユダヤ人がイエスを信じないで彼を十字架に付けたので、彼の肉
身はサタンの侵入を受けた。従って、彼と一体となった信徒の肉身は同じようにサ
タンの侵入を受けるようになった。従って、いくら篤信者であっても、イエスの十
字架の贖罪では肉的救いを完成することができず、アダム以来の血統的原罪は清算
することができず、原罪のある子女を産むようになるのである。それゆえ、メシア
は十字架で清算できなかった原罪をあがなって肉的救いを完成し、霊肉共の救いの
摂理の目的を完遂するために地上に再臨されなければならない。
  終末とは、サタン主権の罪悪世界が神主体の理想社会に転換される時代をいう。
メシアの再臨の時が終末である。現在は、聖書に予言された終末現象が顕著に現れ
ており、まさに人類歴史の終末を迎えている。今や人間社会は、天の側の主権を立
てようとする民主主義世界とサタンの側の主権を立てようとする共産主義世界との
2つの世界に分立している。人類歴史の終末に至れば、これらは必ず一点において
交叉し、理念を中心として肉的に衝突し、それが原因となって軍事力を中心とする
外的な戦争が行われ、結局サタン主権は永遠に滅び、天の側の主権のみが永遠なる
神の単一主権として復帰される。
  メシアは再臨されていた。韓国に文鮮明として。「神は既にこの地上にこのよう
な人生と宇宙の根本問題を解決されるために一人の御方を遣わし給うたのである。
その御方こそ即ち文鮮明先生である」と。人類は文鮮明を中心とした地上天国を創
るために、その責任分担である5パーセントの責任を果さなければならない、とす
る。
  統一協会による霊感商法等の経済活動は「万物復帰」と言われ、サタン側にある
万物(お金等地上にあるすべての財物)を神(再臨のメシアである文鮮明のこと)
の下へ取り戻すという教えに基づくものである。協会員は、天法は地法にまさると
教えられ、マインドコントロールされた結果、違法な詐欺的商法を地上天国実現の
ために「復帰した金」を用いるのであるから、人を騙して売ってもむしろその人の
罪滅ぼしになり、その人のためにもなるのでかまわないと自らの正しさを盲信し、
違法な販売活動に狂奔するのである。
  また、統一協会では神の祝福による結婚という名の下に結婚式直前まで面識さえ
ない相手、文鮮明の組み合わせた相手と集団(合同)結婚式を挙げさせられるので
ある。合同結婚式によって原罪のない子供を産むことができると教えられ、合同結
婚の有資格者となるために、食口達は新たな会員獲得を目指して勧誘をし、霊感商
法にいそしむことになる。合同結婚が決まっても一定の金額を拠出しなければなら
ず、これは資金集めのためのイベントでもある。

第3  統一協会と経済活動
 1  霊感商法及び献金の実態
一  霊感商法は、統一協会関係者が全国に多数の販売会社を設け、右関係者、販売
会社販売担当者が一体になって組織的に行われているものであり、典型的な手口は
次のようなものである。
(1)  霊感商法に関与する販売担当者は、いずれも統一協会関係者である。
  担当者は、日頃から「手相や印相を見てあげる」とか「姓名判断をしてあげる」
等の口実で一般市民を家庭訪問したり、街頭でアンケート調査の口実で接近し、販
売対象者の年齢、職業、対象者との関係、経済状況、性格などを克明にチェックし
た対象者名簿を作成する。
(2)  販売担当者は、右対象者名簿をもとに他の統一協会関係者と綿密な販売計画
を練り、「家系図を見てあげる」等の口実で販売対象者の先祖や身内の死亡原因や
不幸等を詳細に聞き出し、あわせて販売対象者の財産状態を克明に調査する。
  販売担当者は、このようにして被害者の「ウイークポイント」を詳細に調査し、
さらに対象者に対して、「あなたの先祖には殺傷因縁があり、これがあなたの身内
の不幸を招いている。このままでは大変なことになり、救われない」等と虚偽の害
悪を告知し、不安と恐怖に駆り立てる。
  続いて販売担当者は数日後に対象者に連絡を取り、「今度、霊界のことに詳しい

偉い先生が来られる。あなたは今、人生の転換期にさしかかっているから、是非、
先生と会ってみてはどうか」と述べ、対象者を展示会の会場(霊場)に誘い出す。
(3)  販売担当者は、対象者名簿をもとに対象者の住所、氏名、信頼度、経済力、
人柄、関心事、信仰心、動員トーク、トークポイント等を詳細に記入した「動員カ
ード」を作成し、展示会を運営するタワー長に渡しておく。
  展示会は、これまではほぼ毎月1回開催され、開催の前日、タワー長、販売担当
者、トーカー(霊能者)団が一緒になって結団式をする。
  タワー長やトーカー団はいずれも統一協会の熱心な会員である。販売担当者は個
々に販売目標を宣誓し、さらに動員カードや家系図をもとに個々の対象者に対する
販売戦略が検討される。これらの準備を経て、販売担当者は対象者を霊場に連れて
来る。
  対象者はまず霊場の控室で、霊界の話、不幸を背負った人たちが大理石壷や多宝
塔の霊力で幸せになったという内容のビデオを見せられる。しばらくして先生と呼
ばれる自称霊能者が現れ、対象者と面談する。
  霊能者は、霊界について詳細に述べ、予め作成してある動員カードを念頭に置き
ながら対象者から先祖や身内の死因や不幸を聞き出す。さらに家系図を手元に置き
ながら長時間にわたり、「あなたの先祖には殺傷因縁や色情因縁がついている」、
「あなたの家系は短命だ。このままでは子孫が絶えることになる」「あなたの先祖
が霊界で苦しんでいる。これを救うのはあなただけだ。あなたは先祖の霊を救うた
めに選ばれた人であり、出家して先祖の霊を救う使命を持って生まれた人だ」等と
述べ、対象者を一層不安と恐怖に陥れる。
  さらに霊能者は、「あなたが出家できないのなら、先祖を救うために財産を投げ
出し、壷や多宝塔を授からなければならない」等と述べ、対象者の不安と恐怖につ
けこみ、執拗に壷や多宝塔の購入を勧誘する。
(4)  霊能者や販売担当者は、展示会場(霊場)で、タワー長の指示を受けながら、
対象者のウイークポイントを指摘し、セールストークを駆使し、ほぼ迷信に近い脅
し文句で対象者に長時間にわたって執拗に迫り、対象者の不安、困惑、恐怖を煽り
たてる。そして対象者の心理的動揺に付け込み、脅迫的ないし催眠的な話術により、
大理石壷や多宝塔を「授ける」という口実で、押し付け販売を行い、最終的には対
象者と販売担当者との間で販売契約を締結させ、あたかも適正な売買が行われたか
のように糊塗する。この段階で対象者は、はじめて本件売買に販売会社が関与して
いることを知るのである。
二  このような霊感商法は昭和50年代始め頃から行われてきたが、昭和61年暮
以降、霊感商法に対する世論の非難が厳しくなるや、統一協会はこれまでの霊感商
法のやり方から、対象者に直接、統一協会へ献金させるという方法を取るようにな
った。それは対象者をビデオセンターに通わせ、直接、統一協会に対して献金を迫
るやり方であり、霊感商法の究極的なやり方であるといってよい。
  この献金の方法による被害者は、ビデオセンター等で統一協会の教典である原理
講論の研修を受けた後、メシアが文鮮明であるとの証を受け、さらに被害者のウイ
ークポイントを指摘される。即ち、担当者は「献金しなければ子供が授からない」
「献金をしなければ先祖の霊が救われない」等と言って、被害者の心理的動揺に付
け込み、「献金」をするよう強要するものであり、そのやり方は霊感商法の場合と
同様である。
  また、現金は有していないが土地を所有しているという被害者に対してはその土
地を処分させ、その代金(多くは数千万円に昇る)を献金させる事例も多く、これ
を特にFD又はサニーと呼んでいる。また、霊感商法の批判が高まり、思うように
資金が獲得できなくなって、信者自身が借金をして利息を被告が払うというHGの
被害が拡大している。
三  以上から明らかなように霊感商法は、統一協会関係者が組織的、計画的に壷や
多宝塔を販売するために、一般市民に対して先祖に悪い因縁がついている等と虚偽
の事実を告知して脅迫し、かつ欺罔するものであって、通常の商品販売の方法をは
るかに逸脱した違法な脅迫的押し付け販売である。しかも商品を購入することによ
り、運が開けるとか、先祖の霊を救うといった内容は、科学的根拠も裏付けもない
無責任極まりないものであり、いやしくも商品販売に際して話すべき内容ではなく、
社会的には全く許容されないものである。
  また勧誘の当初において商品販売の目的や、身分を秘して、単に「手相や印相を
見る」と偽っている点は、訪問販売等に関する法律第三条に違反するものである。
  この霊感商法で売られる大理石壷、多宝塔、高麗人参濃縮液等は、極めて高額で
あり、一般に被害者に対して原価の数十倍から数百倍の倍率で販売されている。つ
まり商品の価値そのものよりも、「不幸から救われる」といったセールストークで
右価格が押し付けられるのであって、その暴利性は明白である。
  なお、昭和62年7月の日本弁護士連合会の調査によれば、昭和55年以降同6
2年4月末までの間、各地の弁護士会と消費生活センターに持ち込まれた霊感商法
の被害者は合計1万4579人、被害総額は317億円におよんでいた。平成4年
中における弁護団及び各地の消費生活センターへの相談は2,611件73億3,4
73万5,636円となっている。
 2  定着経済の実態
  右のような霊感商法、献金が社会的な問題になるのと相前後して統一協会は壷、
多宝塔、念珠等の宗教的色彩の強い商品の販売に代えて着物、貴金属、絵画、毛皮
等の一般商品の販売に乗り出した。これらが定着経済と呼ばれるものであり、特に
統一協会では「1985年(昭和60年)からは定着経済の時代である」と位置付
けている。
  しかし、これらの販売方法は基本的に上述の壷、念珠等の販売方法と少しも異な
るところはない。即ち、これらの商品の販売を行う販売員は全て統一協会関係者で
ある。そして、霊感商法の手口によって印鑑、壷等を購入させ、ビデオセンターに
通わせ、半ばマインドコントロールされている被害者を対象として、「今度、〇〇
の展示会があるので誰か誘って出席するように」と指示し、展示会場では複数の販
売員が被害者を取り囲み、長時間にわたって「この〇〇を買えばメシア(文鮮明)
を受け入れることができる」、「この〇〇を買えばあなたも家族も救われる」等と
説得して購入させるのである。そして、絵画、貴金属、着物等高価な物については
その場でクレジット契約を締結させ、後に被害者が解約を申し出ても既にクレジッ
ト契約が成立している等として解約に応じないのが通常である。
  これまで統一協会が行っている定着経済は多種多様に昇り、前記の着物等のほか
に羽毛布団、家庭用常備薬、脱臭剤、自動車、墓石、化粧品、清涼飲料水、サウナ
風呂等が販売されている。
 3  その他の経済活動
一  統一協会は以上のような霊感商法、献金、定着経済の他にも様々な経済活動を
なしている。
  古くから現在に至るまで引き続きなされているものとしては、インチキ募金があ
る。「恵まれない子らに愛の手を」「難民のために」等と言って街頭や各家を回っ
て募金を集めるものであり、勿論これらの募金は最終的には全て統一協会に集めら
れる。また、数人の協会員をマイクロバスに乗せ、全国各地で珍味、花、ハンカチ
等を販売させる(マイクロ部隊と言われている)方法も一貫して行われている活動
の一つである。そして、この活動は資金獲得の手段としてだけでなく、マインドコ
ントロールの主要な方法ともなっている。
二  一方、近時は協会員或はビデオセンターに通っている者から名義を借りて金融
機間から借入をするという方法で資金調達を図っている。HGと言われる方法であ
る。即ち、統一協会の指示で会員(信者)が銀行やクレジット会社から借金し、借
りた金は全部統一協会に入る。返済は毎月統一協会が本人に金を渡し、本人名義で
借入先に支払うようになっている。しかし、利息分は本人の自己負担となったり、
「献金」を勧められて名義貸しをした本人が統一協会のために全額借金をかぶって
しまうことも多い。HGの勧誘は献金からはじめ、献金をする資力がない場合にさ
らにHGを勧めるのである。つまり、もともと献金をする資力がなかったり、霊感
商法で金員を使いはたした勤労青年から金員を巻き上げる最後の手段としてHGが
導入され、終極的なねらいは名義を貸した本人に統一協会の借金を「献金」の名目
で自己負担させ、統一協会の支払い業務を本人に押しつけることにある。そのため
献金しそうにない人に対しても、「とりあえずHGをしてほしい」と頼み、最後に
は献金を迫るのである。
 4  結語
  以上のように、統一協会は宗教団体とは名ばかりで、むしろ設立当初から様々な
経済活動をなし、利益を上げることを目的としている団体であると言える。そして、
会員が以上のような方法で上げた利益は会員自身には全く帰属させず、全てを統一
協会が吸い上げている。会員にはその売上高に関係なく、1カ月に約1万円程度の
金員を与えているに過ぎず、ほとんど無償で経済活動に従事させているのである。
そればかりでなく、後述のように、会員自身にも商品を購入させ、或は献金を強要
する等して、会員からも金員を吸い上げているのである。
  そして、一方では販売活動自体は会員個人または会員が代表取締役となっている
個々の法人による経済活動であるとして統一協会自身の利益としては計上せず、脱
税を図っているのである。税法という地上の法より、統一協会の目的のため天の法
が優先されるべきであるとして販売員個人個人は全て統一協会の指示するままに住
居を変え、また販売会社も短期間の内に解散と別法人の設立を繰り返し、課税され
ることを防いでいるのである。

第4  マインドコントロールの実態
 1  正体を隠した接近
  入教者(「献身」者)獲得のための伝道活動は、統一協会の組織拡大と前記経済
活動要員獲得のため必要不可欠のものである。しかし、統一協会が行っている違法
な経済活動や伝道活動については、社会やマスコミの批判が厳しいため、違法な経
済活動を行っている団体であることについてはもちろん、そればかりか統一協会の
名前さえも徹底的に隠して行われる。
  「路傍伝道」といって街でのアンケートをきっかけに接近する方法、「F・F伝
道」といって家族関係や友人関係を利用して接近する方法、統一協会の主要な経済
活動である霊感商法で壷などを買わせるのをきっかけに接近する方法、一人住まい
のアパート、寮へ訪問する「訪問伝道」、学校時の卒業名簿を使い電話をする「イ
ナズマ伝道」等によって接触が始まる。
  「路傍伝道」では、街頭で「聖書研究会」「青年サークル」などと称して、若い
人を対象としてアンケートをとりながら「心情交流」を行う。その青年が家庭や社
会の矛盾や問題を感じていたり人生の目的は何かなどと悩んでいたりするのを知る
と、「一度話を聞きに来ませんか」「キリストや聖書のことが良くわかるビデオを
見てみませんか」「人生の目的が分かりますよ」などと言って教会やビデオセンタ
ーに誘う(最近はビデオセンターに誘うことが多くなっている)。
  「F・F伝道」では、通常はまず、友人、家族、親戚等の名前を思い付く限りす
べて紙に書き出したうえで、一人一人の状況についてアベル(上司)に報告して対
象者を絞り、手紙や電話で対象者と親交を温めておき、対象者の状況を詳しくF・
Fカードに記入し、それをもとに、さらに手紙や電話で右のアンケートの場合と同
様に心情交流をはかり、教会やビデオセンターに誘う。
  霊感商法をきっかけとする方法というのは、例えば次のようなものである。統一
協会員である販売員が、その身元を隠して家庭を訪問し、印相や手相を見てあげる、
あるいは姓名判断と称して話のきっかけを作ったうえで身内の不幸を聞き出し、そ
れは先祖に悪い因縁(色情因縁、殺傷因縁など)があるからだなどと不安に陥れ、
今度霊界に詳しい霊能者(実は霊能者を装った統一協会員)が来るからと言って、
会ってみることを勧め、その霊能者は、販売員からの情報をもとに、先祖の悪い因
縁や霊界などにつき執拗に話していっそう不安や困惑に陥れ、悪い因縁のために霊
界で苦しんでいる先祖を救うため(時価の何十倍何百倍の)壷や多宝塔などを授か
りなさいと迫ってそれらを買わせる(霊感商法)。そのうえで、壷などを授かって
これで救われると喜んでいる人で二十代位の若い人には、「それにはもっと大きな
意味があるのだけれど、それを知りたくありませんか」「真理の業を積みなさい」
などと言ってビデオセンターに行くことを勧める。最近では、これらの商品が絵画
とか貴金属とかに変わってきている。
  「献身」(入教)させるためには、とにかくまずビデオセンターで「原理講論」
(統一協会の教典)のエッセンスのビデオを見せることや教会でその講義を聞かせ
ることが有効なのである。きっかけのいかんを問わず、もっと詳しい話を聞いてみ
ようかとビデオセンターに行ってみようという気持ちになる者は、十代後半から二
十代半ばまでの青年、とりわけ純粋な心を持って家族や社会の矛盾について真面目
に悩んでいる青年がほとんどである。勧める者は、微笑みをたやさず話をし、その
ように問題意識を持ったり悩んだりしている青年の話を親切に聞いてあげるので、
その青年は、勧める者がいかにも親切で信頼できるように思い、勧めに従う気持ち
になるのである。いつしか心を許し、誰にも打ち明けることのできない悩みまで話
してしまい、後にこの弱みをつかれて統一教会の教えに引きずり込まれてゆくので
ある。
 2  ビデオセンター
  ビデオセンターでは、やはり統一協会の違法な経済活動はもちろん、通常は統一
協会という名前さえも隠したまま、ビデオを見せる。ビデオセンターは、たいてい
近代的なビルの中にあり、LIC(人生情報センター)、NLC(ニューライフセ
ンター)、文化センターなどと呼ばれており、文化講座教室を装い、統一協会など
宗教団体とは全く感じさせないようにしている。
  そしてここでも、統一協会員である担当者が、連れて来られた人に対して、終始
優しく笑顔で接し、喫茶店のごとく軽い音楽を流しコーヒーやお菓子を出してくれ
る。そして何を話しても誉めてくれる。とにかくとても居心地の良い場所であるよ
う印象付けるのである。ビデオの後はその感想文を書かせたり、なごやかに話し合
いをする。たいていの青年はまずもってその温かい雰囲気にひかれる。
  ビデオは、最初は宗教とは関係のない誰でもが興味を持つようなものから入り、
やがて講師が「原理講論」の講義を進めていく形をとっている。原理講論のビデオ
は総序、創造原理 と 、堕落論、メシア論、復活論、終末論、アダム・ノア家庭
における復帰原理、アブラハム家庭における復帰原理、モーセ路程、イエス路程、
摂理的同時性、再臨論の13巻である。しかし、これらのビデオが統一協会の教理
である原理講論であることは明かされない。
  ビデオの中の講師は、自信を持ってすべてを断定的に言い切るのである。ビデオ
は、いうまでもなく、視覚と聴覚の両方に訴えるものであり、しかも選挙の投票所
のように一人ずつ仕切られた状態で集中的に見せるので、非常に効果的である。目
的を隠し、しかも、一度に全部を見せてしまわないで、少しずつ見せ、興味をつな
いで、何日もビデオセンターに通って来る気にさせるのである。内容についての疑
問も、「次回のビデオを見れば分かります。次のは素晴らしいですよ」などと、次
回も通って来させることに結び付けてしまう。帰りには、必ず玄関まで送り、手紙
を渡したりして親密感を生じさせる。
 3  修練会
  この修練会こそが、短期間で急激に、過去の価値観を捨て、文鮮明が再臨のメシ
ア(救世主)であり、この地上に天国を実現するためには、万物を神(文鮮明)の
もとに復帰することが大切であり、そのためには、人を騙し、違法な経済活動をし
ても構わないと信じる若者を作りだすのである。
  何回もビデオセンターや教会に通った人には、その人に応じて、「合宿に行けば
もっと良く分かりますよ」などと言って、あるいは執拗に「決断するのは今しかな
い」などと迫って、合宿の研修会である修練会に参加させる。これは、「原理講論
」などの研修会であり、「ツーデイズ」とか「スリーデイズ」と呼ばれている1泊
2日あるいは2泊3日のコース、1〜3週間コース、さらに1カ月、2カ月のコー
スのものまで、いろいろ用意されており、最初はツーデイズ、つぎにスリーデイズ、
そして新生トレーニング、実践トレーニング、青年実践部等を経て「献身」させる
という一応の基本的パターンはあるが、対象者の状況に応じて、最初にスリーデイ
ズに参加させたり、新生トレーニングに繰り返し参加させたりというように、多少
のパターンの変化がある。
  ビデオセンターもそうだが、右の各種修練会に共通しているのは、隔離(なるべ
く一人で通って来させ、家族、友人などから引き離しておく)、反復(同じ講義を
反復継続して教え込む。初・中・上級とも内容は基本的に同じであり、量が違うだ
けである)、精神・睡眠管理(睡眠時間は極端に短くし、感想文、自己分析の日記
を書かせ、心理状態を把握する)ということである。
  前記の基本的パターンについて少し詳しく述べる。
一  ツーデイズ
  最初はツーデイズ(2日間修練会)に参加させる。これは各地の研修センターに
各20名前後の青年を集めて毎月、土、日あるいは祭日に行われる。中国地方では
広島県の可部にセンターがある。早朝の起床、洗顔、歯磨き、ランニングと班単位
に行動させられる。その後ほとんどぶっ続けで深夜まで講義が行われる。トイレに
立つことまで管理される。受講生仲間で話すこと(「横的に流れる」といわれる)
もサタン(悪魔)が働くとして固く禁止されている。受講生は、一人個別に班長と
「縦的」に結ばれていて、班長は受講生である班員の心理状態を把握する。講義の
内容である「原理講論」は、自分でその本を読んでみても、意味不明の言葉が羅列
してあり、何だか訳が分からず、さっぱり頭の中に入ってこないし、何の感動も起
きない。それが、講義という形で講師から冗談を交えながら覇気迫る激烈な調子で
説明されると、無批判に頭の中に入り込んできて何となく分かってくるのである。
とくに講義の切れ目には「ソーレ、ソーレ」という合いの手の入った勇ましい聖歌
と熱烈な祈りがあり、受講生はいつのまにか異様に盛り上がった雰囲気にのまれて
いく。
  このツーデイズの段階でも、受講生は、通常はまだ統一協会の名前も教祖の文鮮
明の名前も知らない。その違法な経済等の活動のことについてはもちろん知る由も
ない。ただ、「今は世界を救う再臨主の来る摂理の時代である」と教えられ、何と
なくそれを信じ、期待を持ち始めるようになる。
  ツーデイズが終わると、迎えの車が来て、地区(教会)ごとの歓迎会に招かれる。
御馳走が並び、「ご苦労様、おめでとう」「素晴らしかったでしょ」と口々に言わ
れ、握手を求められ、美しい絵とお祝いの言葉が書かれた記念色紙が贈られる。最
初は戸惑うが、次第に自分がいかにも素晴らしい体験をしてきたかのような気分に
なってくる。
  ビデオセンターでの講義やスリーデイズの終わりが近づく頃、文鮮明のビデオテ
ープを見せられ、これが再臨主文鮮明であり、統一協会を名乗る宗教であることが
初めて明かされる。受講生は、これまでの講義などにより再臨主の話を聞かされて
おり、一体再臨主とは誰なのか早く知りたいという心理状態になっている。それで
ビデオの文鮮明が再臨主であると教えられると、「ああそうなのか」と簡単に文鮮
明をメシアとして受け入れてしまう。
二  スリーデイズ
  スリーデイズは、早朝から深夜まで私語の厳禁、熱烈な祈祷などツーデイズと同
じだが、すでに再臨のメシアを知らされているので、緊迫感がある。講義が3日間
も続くので、極度の興奮で肉体は疲れ果てる。講師は壇の上を駆け巡り、跳びはね、
全身で講義する。睡魔に襲われるが、「重要なところに限ってサタンは聞かせまい
と眠気を起こさせるのだから、眠いと感じたところこそ一番肝心なところです」と
励まされ、また、文鮮明の写真に手を置いて祈ると眠くならないというお呪いを教
えられたりする。班長は、深夜、講義終了後、班員である受講生一人ひとりと個別
に面接し、心理状態を把握し、献身(入教)の決意を迫る。再臨のメシアと共に生
きれる緊迫感と一人ひとりの責任感を強調される。違法な経済等の活動をさせられ
ることになることなどはまったく知らされるはずもなく、ほとんど3日目には「献
身の宣誓」をさせられる。そして、「新生トレーニング」、「実践トレーニング」
(経済、伝道のトレーニング)へと引き継がれていく。
三  新生トレーニング
  新生トレーニングは、約1カ月間にわたって毎日夕方から夜にかけての修練会の
ことである。キリスト教の映画を見せることもある。また、国際情勢、マルクス主
義、資本論、勝共理論、統一理論等の講義が加わる。さらに、経済活動、伝道活動
の実践もさせられる。考えてもみなかった「珍味売り」でためらいを見せる青年た
ちには、「珍味売りこそ自己否定の訓練の場である」「自己否定は堕落性を脱ぐ道
である」等と教える。それでも疑問を抱いたり実践の辛さにつまづく人は、再度ス
リーデイズに戻して、「リメンバー・ダンベリー」を合言葉に受難のメシア文鮮明
をしのばせ、すべての苦しみに耐えられるように叩き込まれる
 4  修練会における講義内容
  講義の内容はどの修練会でも基本的に同じである。「創造原理」から「復帰原理」
に至り、弱者から金銭を騙し取ることさえ悪と感じさせない精神構造へと変えられ
ていく基本的な考え方が 3記載の状況で徹底的に教え込まれる。
  講師は、まず、「創造原理」というところでは、受講者である青年に対し、一人
ひとりが神に造られた唯一の存在であり、一人ひとりの価値が非常に高く素晴らし
いものであるということを分からせる。一人ひとりの素晴らしさ、尊厳を皆に植え
付ける。次に、「堕落論」の講義に入り、ここでは、皆が自分は最高の存在だと思
わされている状態から一転奈落の底に突き落とすのである。神に造られた、神が愛
する人間なのに、この世の中には様々な悪や矛盾がある。その原因はどこにあるの
か。聖書のアダムとイブの話になる。イブがサタンの化身のルーシェルと性関係を
結んでしまった。そのために、この世に悪がはびこるようになった、と講義される。
ここでは性的な問題にからめて人間の根源的な汚さを徹底的に強調する。たいてい
の若い男性は自分の中に性欲があるから、皆、思い当たる節がある。泣き出す者も
出てくる。他の者も連鎖的に泣きだしたりする。こうして罪意識を徹底的に植えつ
けられ、とにかく、大変苦しく落ち込んだ状態になる。聖書と異なり、イエスキリ
ストも人間を救うことができなかったと説明される。こうなると受講生は、すがる
ものがなくなり、ますます落ち込んでいく。
  「復帰原理」では、人類の六千年の歴史を説明し、その中で、人類の歴史が始ま
って以来、人間が「5%の責任分担」を果さなかったので、神が泣いている。その
ために、この世はますます悪くなっている。悲観的な話をこれでもかこれでもかと
していく。ほとんどの受講性はますます落ち込んでいく。しかし、それと同時に、
自分がその責任を果して何とか悲しんでいる神を慰めてあげたいと思うようになる。
そこで、今度は、この人類を救わなければならない。人類を救うには、精神だけで
はなく肉体的にも罪の遺伝のない人でなければならない。その様な再臨のメシアを
中心に責任を果し、この地上に天国を築かねばならない。と続くのである。
  しかも、講義はまわりにはほとんど人家もなく店もない山の中の修練所で、とき
には講師の絶叫のもとに、繰り返し何度も行われるのである。講義の質問や自由な
ディスカッションは絶対に許されない。とにかく、修練所の側で一方的に講義を受
講生の体の中に詰め込んでいく。ときには精神異常をきたす受講生も出てくる。こ
のようなことで、参加の際には文鮮明どころか宗教に帰依するつもりさえなかった
受講生でも、それまで全く知らなかった文鮮明を再臨のメシアと信じ、地上天国実
現のため、万物復帰の名の下に違法な経済活動に抵抗なく励むに至るという価値観
の全面的な変換が生じるのである。主体的に求めていくことが宗教の本質でなけれ
ばならず、不当な外圧によって人格の破壊をもたらす違法なマインドコントロール
である。
  このような多様な修練会による巧妙、かつ徹底したマインドコントロールの結果、
容易に説得されて、最終的には受講生のほぼ全員が統一協会に献身(入教)させら
れる。

第5  統一協会の「マインドコントロール」の違法性
 1  思想及び良心の自由は、人間の尊厳を支える根源的なものであり、民主主義存
立の基盤となるものであって、内心の自由として絶対的に尊重されなければならな
い。宗教を信じない自由、特定の宗教を信じる自由はこの内心の自由の1つである。
このような信教の自由には単に内心の信仰の自由だけでなく、宗教団体に入教を強
制させられない自由や宗教活動の自由も含まれるが、行為が単に内心にとどまるこ
となく他人に対して具体的害悪を及ぼす等の場合は制約を受けるのは当然であり、
他人の人格権を侵害する「宗教活動」は損害賠償の責任を負わなければならない。
 2  本件において、原告は前記のとおり、高度に組織化された環境と手法の中で、
統一協会員として資金集めのための違法な経済活動に従事させる目的をもって「マ
インドコントロール」して統一協会に入信させられたものである。そして、その後
は、新たな「信者」のリクルート活動、資金を集めるための違法な霊感商法へと駆
り立てられた。
 3  右「マインドコントロール」の違法なメカニズムを簡単に要約すると以下のと
おりである。
  第1に、統一協会はその実態を隠し、単なる「青年サークル」等と偽って社会的
経験も宗教的知識も乏しい若者を高度に組織化された環境の中に引き込み、家族、
友人等とのこの問題についての相談の機会を奪う。
  第2に、若者の入信への説得は、数日間にわたる集中講座を睡眠不足と集団心理
の中で拒否できない状態で行う。
  第3に、入信をためらう者には、先祖の因縁を説き、入信、「献身」して自ら「
氏族のメシア」とならないと先祖や家族、子孫に災難、危害が及ぶと畏怖せしめて
入信を迫る。
  第4に、この結果入信した若者に入信の事実を家族や友人に口止めさせたうえ、
若者本人及び事態を知らない両親に多額の献金や金員の支出を迫り、更には入信、
献身した若者に自ら違法かつ反社会的な霊感商法=資金集め活動に従事させる。右
各行為は一連として、入教に関する自由な意思決定を阻害し、会員に対して善悪の
価値判断を喪失させ、違法行為や犯罪行為に追い込む人格的破綻をもたらす不法行
為を構成し、統一協会は原告の損害を賠償しなければならない責任が存する。
 4  原告が「マインドコントロール」を受けて被告の組織の一員として活動し、退
会をするまでの経過及び精神的及び財産的損害は別紙記載のとおりである。
  よって、原告は被告に対して請求の趣旨記載のとおりの財産的精神的損害とこれ
に対する不法行為の日よりも後である平成4年8月1日から完済に至るまで民法所
定の遅延損害金の支払いを請求する次第である。

                              添  付  書  類
                  1、委  任  状    1通
                  2、登記簿謄本    1通

  平成5年7月14日
                                        原告訴訟代理人    石  田  正  也
                                        同                嘉松喜佐夫  
                                        同                河  田  英  正
                                        同                近  藤  幸  夫
                                        同                谷      和  子
                                        同                清  水  善  朗
                                        同                山  本  勝  敏
                                        同                種  田  和  英
                                        同                的  場  真  介
                                        同                佐  藤  知  健
                                        同                火  矢  悦  治
岡山地方裁判所  御中

                           原  告  の  被  害  等
   入会に至った契機
  1990年1月、街頭での青年意識調査アンケート(路傍アンケート)をきっか
けとして、ビデオセンター「岡山カルチャーセンター」のビデオ会員へ入会の勧誘
を受け入会した。被告であることは隠されていたし、宗教とは関係ないということ
であった。統一協会に入会させ、献身し、霊感商法の実行部隊となっていくことは、
全く示されなかった。このことが示されていれば決して入会することはなかった。
   因縁トークによる恐怖感の植えつけ
  カルチャーセンターへ入会後、被告の企画によってビデオを鑑賞してきていた。
1990年2月、カルチャーセンターに通っている間に姓名判断、家系図による運
勢判断がなされ、殺傷因縁、絶家の相等と言われ、原告が救いにつながらなければ
弟の生命に危険があると言われる。
  1990年3月、カルチャーセンター小会議室に通され、421万円の献金を迫
られ、恐怖のうちに決断する。
   セミナー等によるマインドコントロール
  教養講座としてのビデオセンターに通い始め、2月には岡山農業会館での1DA
Yセミナー、親族の生命が危ないなどの因縁トークを受けた。
  同年月16日から18日は、広島可部修練所において3daysセミナーに参加。
統一協会への入信を決意し献身への決意を表明、次の新生トレーニングへの参加を
決断させられる。こうしてアベル(霊の親)への絶対服従と「報・連・相」の生活
となる。
90年4月  新生トレーニングに参加。
同  年5月  ソウル3daysセミナーに参加。
同  年6月  実践トレーニングにはいる。新しい会員勧誘、展示会への勧誘等を行
            い、自らクリスチャンベルナールの商品を購入。同年8月には両親に
            210万円の献金を出させる。その他様々のセミナーに参加する。
91年2月  青年実践部の所属となり、津倉荘のホームでの共同生活にはいる。
  3daysセミナー、新生トレーニング、実践トレーニングの状況は本文に述べ
たとおりである。
   統一協会員としての生活
  UCグループの展示会に友人らを誘い数珠、仏像を売り、さらにビデオセンター
につなげていく勧誘活動、UCグループ・ワコム、世一観光等での生活等を行った。
そして合同結婚を目ざしてセミナーへの参加等をした。1992年7月、家族らに
よって保護され、被告にだまされていたことに気づき脱会した。
   被害
  献金  90.3.2特別献金  4,210,000円
        月例献金           227,000円
        特別献金           141,200円
  セミナー参加費           334,000円
  絵画購入  90.12.17       300,000円
  印鑑購入  91.1.31         28,000円
  宝石購入  90.6.24       135,000円
  毛布購入                 110,000円
  慰謝料                3,000,000円
  弁護士費用               800,000円
  以上合計              9,285,200円




 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ 「青春を返せ裁判」を支援する会  会 報  1 9 9 3 年 1 2 月 ・ 第 5 号   ┃
 ┃                             「青春を返せ裁判」を支援する会事務局発行  ┃
 ┃                               〒700 岡山市駅元町9-26 高千穂会館1階   ┃
 ┃                  086-254-2799(国民救援会内) 郵便振替「岡山6-33457」   ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

    ┌───────────────────────┐
 ∧ │ 10月14日の公判の概容……………………… P.1 │        第2回
 も │ 理解度をチェックしてから 統一協会・          │   B子さん公判が
 く │ 文鮮明を明かす−勧誘者のN子が証言(続)…P.2 │
 じ │ 支援する会第4回総会の内容………       P.5 │   12月15日10時
 ∨ │ その他の動き………………………………… P.8 │   から、岡山地裁で。
    └───────────────────────┘

   1 0  月 1 4  日  の  公  判  の  概  容
  10月14日午後、岡山地方裁判所第34号法廷で、
「青春を返せ裁判」が開かれました。  今回から、
将積裁判長が池田亮一裁判長(以前は右陪席裁判
官)に替わり、そして右陪席に吉波佳希裁判官が
就きました(左陪席は引き続き遠藤邦彦裁判官)。
  7月に提訴したB子さんの裁判は、今回が初公
判でした。統一協会側から、訴状に対する答弁書
が提出されました。第2回公判が12月15日10時か
ら開かれ、統一協会側が事実の認否をすることに
なりました。原告側も、さらに追及する準備書面
を用意する予定です。
  続いて、Aさんが提訴した裁判の第15回公判と
なり、前回に続いて、Aさんを勧誘した統一協会
員・N子さんにたいする統一協会側弁護士による
証人尋問が行われました。第16回公判は、来年2
月10日10時30分から開かれ、N子さにんたいする
原告側の反対尋問が行われます。

         「  理  解  度  を  チ  ェ  ッ  ク  し  て  か  ら  
            統  一  協  会 ・  文  鮮  明  を  明  か  す 」    
                         勧  誘  者  の  N  子  が  証  言(続)
  (前回の続きで、Aさんを統一協会に勧誘したN子さんが、統一協会側弁護士の
尋問に答えた証言−)当時Aさんは、見えないことは信じられないという態度でし
た。クリエイトのコンサルタント(=会員の教育担当でまとめ役)で30才前位の
石井〇〇さんが、家系の話をもち出しました。そして、Aさんがここの内容に積極
的になれず、ピンときていないので、歴史の流れの中で存在すること、親や先祖、
神様がいて本人がいることをとらえられるようにと、吉田〇〇〇さん(=30過ぎ。
主に婦人会員の教育コンサルタント)が家庭的なことに詳しいということで紹介さ
れました。4月17日(日)、吉田さんからAさんに話がありました。私は、紹介はし
ましたが、話には立ち会わず、コーヒーとお菓子をもって行きました。後でAさん
は「意味があってここへ来たんだなあ。学んでいきたい」と言っていました。
  その週に2回来て、1本ずつビデオを見てもらいました。男性コンサルタントの
楠原さんが、鈴木さんを紹介しました。鈴木さんは、霊界があるかないかことこん
考えた人で、「男と男で会って話をしよう」ということで会うことになりました。
その後でAさんは「霊界があるのか、ないのか、分からないことなのか、はっきり
した。疑ってみようと思う」と、晴ればれとして言っていました。帰るときに、受
付で次に来る日を予約してもらいます。次に、コンサルタントを手伝っていた27・
8才の窪田圭壮さんと会いました。会った後、元気よく帰って行きました。以後、
毎日通って来たそうで、窪田さんから「毎日来ている」と聞いてびっくりしました。
  5月21日に、岡山の信徒をまとめて面倒をみている40才前の花田雅弘さんと会い
ました。会ってからは一生懸命にするようになりました。しばらくして「お酒はき
っぱりとやめたんだ」と言っていました。教会では、酒、タバコはやらないことに
なっています。ずっと後の話、商大生の永瀬雅紀さんから「Aさんは『花田さんに
会ってから変わったんだ』と言っていた」と聞きました。
  23日、トータル的にどの程度理解しているか確認して、再学習していくため、吉
田さんがAさんに会いました。メシアについて証し(=統一原理の内容を解明され
た文先生を明らかにすること)をされました。吉田さんとの話し合いで、「十分理
解されているから、もういいだろう」ということで、このとき初めて“統一協会”
という名前が出されました。そして、久野所長から、創造原理の話を聴きました。
その日は、ビデオと講義を見聴きして喜んでいました。統一原理の歴史観に感動し
ていました。
  翌日、献金について話をしていました。1時間くらい、小さい部屋で鈴木さんと
話をして、話導室で話をしていました。気になっていたので、後で、−雰囲気は和
気あいあいとしていた、「すばらしい内容をきいたが自分に何ができるだろうか」
と言っていた、12時前に70万円献金する話になった−と聞きました。自らの意思で
決意したと思います。とてもうれしかった。翌日、銀行と保険会社を廻って金を集
めました(銀行から38万円)。岡山教会で献金式をしました。決意文を書きました。
まず聖歌を歌い、教会長(岩垂)がお祈りをし、窪田さんがお祈りをし、私が祈り、
Aさんがお祈りをしました。涙ながらに激しく祈っていました。今まで分からなか
ったが、神がいることが分かったので感謝している、これからも学んで行きたい−
ということでした。6月7日に残りの22万円をクリエイトに持って来ました。70万
円との差(10万円)は、保険からの借入れ制限のためでしょう。明るく元気に通っ
ていました。帰るときに聞くと、「明日も来る」などと言って帰っていました。
  窪田さんが勧めて、スリーデイズセミナーに参加しました。献金を勧めてから30
分話をする中で参加を決めていました。可部(広島市)の修練所でありました。テ
レビを見るのは自由ではありませんが、新聞を見たり電話はかけられます。朝食も
ありました。夕食は8時までには食べ終えました。スポーツの後、30分くらい休憩
しますが、居眠りする人もいました。講師の朗読は、夜、講師の所だけ電気をつけ、
BGMがかけられますが、特に神秘的だということでもありません。暗いので、寝
てしまう人もいました。鼻水を流して泣いたことは、昼の講義と朗読に、何か感じ
たのでしょう。
  手紙のマニュアルは、窪田さんが手紙の文例を作って、評判がいいのでコピーす
るようになったのであって、教会として作ったのではありません。私は自分からす
すんで書きました。私がイデノさんから手紙をもらったので同じように、自分の気
持ちで思うように書きました。窪田さんの手紙を見せてもらったことはあります。
  「展覧会」という言葉は使ったことがありません。展示即売会の略で「展示会」
と言っていました。
  「占い師」とも言っていません。「運勢、運命に詳しい先生がいる」と紹介し、
「先生」と言っていました。
  「SK」は、信者献金の頭文字です。
  昭和63年7・8月に新生トレーニングに参加しました。
  9月に実践トレーニングに参加しました。明るく元気に頑張っていました。霊界
に対する恐怖心は感じられませんでした。
  8月のお盆で帰省して、両親に話をしたようです。職場の人が心配して両親に話
したからだろうと思います。事前に「今はちゃんと説明できないから軽率に言わな
いように」と両親に話さないように注意があったと思います。Aさんは「悪いこと
をしていないのに、どうして話してはいけないのか」と言っていました。両親には
「統一協会をやめた」と言ったことを聞きました。職場の同僚に手紙を書いて遅く
なったりして、「寮でするように」注意されていた人もいました。
  12月、無理やり両親に連れて帰られました。いったん戻って、再び連れて帰られ
ました(ここで弁護士が裁判長から誘導尋問を注意された)。
  1月9日、連絡が取れなくなりました。職場を出て、何人かに囲まれ車で出たと
ころを見た人がいました。心配していたとおり、職場の人と両親によって連れ帰ら
れたと思いました。
  正体を隠したことについては、私自身、宗教を毛嫌いしていましたが、知ること
によってよかったのです。何か企んでいたということではありません。
  洗脳とは、−戦時中とかに閉じられた密室で−という感じですが、セミナーなど
そんなことはありません。途中でやめる人がだいぶいます。無理に止めることはで
きません。
  当時のAさんの様子を思えば、とってつけたように「睡眠不足」、「霊界かとわ
かった」など言っていて、当時と言うことが変わってしまっています。クサリ、窓
には針金がかかっていることを聞くと、それこそが洗脳ではないでしょうか。頑張
っていたころのことを思い出してほしい。
          「青春を返せ裁判」を支援する会  第  4  回  総  会の内容

  10月14の公判終了後、岡山弁護士会館3階会議室で、公判を傍聴した「裁判ウォ
ッチング岡山」の方も参加して、第4回総会がひらかれました。
  嘉松代表のあいさつで開会し、河田弁護士(顧問)が弁護団の活動を次のように
報告しました。−鈴木光は、島根で壷等の会社の取締役だった。入れ替わった裁判
官は、悪い裁判官で形式的過ぎる。以前、居眠りしていた裁判官が裁判長になった。
証拠としてテレビの録画ビデオを出す。マインドコントロールの西田論文が来年2
月ごろできる予定−
  葛原事務局長の活動報告は次のとおり。
 ┌─────────┐
 │  活  動  報  告  │
 └─────────┘
1989.11.27 青春を返せ裁判を提起
1990.5.23 第1回公判(原告Aさんが意見陳述。求釈明)
     9.12 第2回公判(米下院フレーザー委員会報告を引用)
     11.14 第3回公判(ビデオセンターとの関係を強調)
     11.14 「青春を返せ裁判」を支援する会を結成
1991.2.6 第4回公判(裁判所が、被害日時の特定を要求)
     4.24 第5回公判(洗脳は組織的だと主張)
     6.19 第6回公判(協会側が、関与者の明示を要求)
     8.28 第7回公判(Aさん本人尋問)
     12.4 第8回公判(Aさん本人尋問)
     12.4 支援する会第2回総会
1992.3.18 第9回公判(Aさん本人尋問)
     3.29 「統一協会の伝道のあり方を考える集会」ひらく
     6.24 第10回公判(Aさん反対尋問)
     8.24 「統一協会の合同結婚に反対する集会」ひらく
     10.7 第11回公判(Aさん反対尋問)
 ─────────────────────────────────────
     10.7 支援する会第3回総会
     10.26 神戸で4人(1人は備前市)が「青春を返せ裁判」を提起
     10.末 岡山市柳町の「岡山カルチャーセンター」が幸町7-34のビデオセンター
           に統合され「総合教育文化センター」となった
     11.12 第1回幹事会
     11.28 東京で「青春を返せ訴訟」研究会ひらかれる
     12.末 会報第1号を発行
     12.末 統一協会会長が神山猛から藤井 雄に交替
1993.2.10 第12回公判(Aさん反対尋問)
     3.5 神戸で全国弁連集会ひらかれる
     3.6 有志が毎日新聞支局に短歌選者について申し入れ
     4.8 岡山大学入学式で青春裁判のビラ配布
     4.21 山崎浩子さんが脱会を発表
     4.25-26 熱海で第4回裁判勝利めざす全国交流会ひらかれる
     4.27 天理市でS・ハッサン講演会ひらかれる
     4.28 第13回公判(マインドコントロールを解明する書面を提出)
     6.10 第2回幹事会
     6.17 岡山衛生会館等に三木記念ホール貸し出し中止を申し入れ
     6.18 統一協会が三木記念ホールで講演会ひらく
     7.14 第14回公判(勧誘者N子さん証言)
     7.14 倉敷のB子さん「青春を返せ裁判」を提起
     7.19 統一協会の解散命令請求に関する署名を開始
     8.11 岡山市にリトルエンジェルス公演の会場貸し出し中止を申し入れ
     8.25 第3回幹事会
     9.7 純潔キャンペーンに注意するよう県教委と岡山市教委に申し入れ
     9.8 署名2,710人分を被害者父母の会に預ける
     9.14 県などにコンベックスを統一協会(世界平和女性連合)に貸さないよう申
           し入れ
     9.15 岡山市表町で女性連合批判のビラ配布(16日、20日にも配布)
     9.16 岡山市内の小中学校長に女性連合(純潔教育)の資料を発送
     9.21 世界平和女性連合1周年記念岡山大会がコンベックス岡山でひらかれる
     9.24 東京で全国弁連集会ひらかれる
     9.25 女性連合に祝電・祝辞を寄せた12人に公開質問
     10.3 「統一協会の反社会性を問う集会」ひらく(約60人参加)
     10.13 会報特別号を発行
    ※支援する会会員は、 195人になりました。
  次のような発言がありました。
 ┌───┐
 │原告A│ 統一協会は普通の宗教団体ではない。7カ月間、名前すら明かされな
 └───┘
かった。N子の証言で、チェックしてから明かすことが分かった。入っている人に
とっては、恐怖はなく、喜びと思ってやっている。
 ┌───┐
 │滋賀O│ 毎日新聞のD記者と接触できて、救出の手掛かりができた。原告の勇
 └───┘
気も敬服に値する。名古屋では、傍聴券をもらって大法廷で開かれる。滋賀では低
調。
 ┌───────┐
 │ウォッチングO│ 傍聴者が多くて法廷に入れなかった。被害者が回りにいらっ
 └───────┘
いしゃらないから実感できない。キャッチセールスに気をつけるように、青年司法
書士会では高校で話している。
 ┌─────┐
 │近藤弁護士│ 提訴以来4年もたっている。会では統一協会の動きに対して適宜
 └─────┘
に手を打っている。
 ┌────┐
 │高山牧師│ 救出活動は、昨年秋に失敗したが、その後20人救出に成功している。
 └────┘
先日、広島で奪い返されて失敗した。家族が十分な勉強と準備をしないで取り組む
と失敗する。1999年までに文が霊界に入るので天国でメシアに近付ける、と言って、
売れ残った壷を30万円で信者に持たせている。
    新  役  員には次の方が選ばれました。
代    表…嘉松喜佐夫、高山正治。
事務局長…葛原健志。
幹    事…赤沢治、近藤幸夫、須藤正己、中沢仁志、仲地宗輝、槙尾裕子。
監    査…田口数昭。
顧    問…河田英正、立花一也、矢山有作。
  最後に、近藤幹事(弁護士)が、今後も、統一協会の反社会的な活動を封じ込め
るため、青春を返せ裁判を勝利させるため、小粒でもピリッと辛い団体として、皆
様のご協力をお願いしたいと、閉会のあいさつを述べました。
  なお、裁判ウォッチングの会員1人が支援する会に入会してくれました。

会計報告(1992.10.1〜1993.9.30)
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┃      収      入         ┃          支      出       ┃  資産表
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┃科    目│金   額 │主内訳┃科    目│金    額│主な内訳┃┃科目│  金額  ┃
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┃会    費│ 242,600│ 120人┃消耗品費│  55,270│資料代等┃┃現金│ 89,102 ┃
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┃カ ン パ│ 109,040│13口分┃通 信 費│ 142,377│切手代等┃┃振替│ 18,375 ┃
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┃書 籍 等│ 107,250│パンフ┃書 籍 費│  56,650│パンフ代┃┃貯金│210,471 ┃
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┃雑 収 入│   2,076│ 利子 ┃会 議 費│   2,788│総会費用┃┃預り│ -4,000 ┃
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┃        │        │      ┃参 加 費│  25,000│全国集会┃┃残高│313,948 ┃
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┃        │        │      ┃宣 伝 費│   6,150│集会会場┃
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┃前期繰越│ 141,217│      ┃次期繰越│ 313,948│        ┃
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┃合   計 │ 602,183│      ┃合    計│ 602,183│        ┃
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  そ  の  他  の  動  き
10月19日、岡山の精神科医約10人との学習懇談会に高山ほか2人参加。
10月22-24日、青春裁判も支援する救援美術倉敷展が水島協同病院で開かれた。
11月15日、岡山市役所地階に8月末の1週間、宝翔が出店していたことが判明。葛
        原事務局長が市職員厚生課に善処を申し入れた。
12月、救援会事務所の移転にともない、
    支援する会の事務所が移転します。

                      <新事務所>
           (地図省略)


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