毎時0.6μシーベルトを超えるような区域は「放射線管理区域」に該当すると聞きました。
その場合、0.6μシーベルトを超えている福島市なども「放射線管理区域」として立ち入りを制限すべき地域になるのでしょうか。
放射線や放射性物質を計画的に扱う場合に、業務従事者の放射線障害を防止するため、法律で「管理区域」という設定がなされています。これは、事業や業務として計画的に行われる原子炉や核燃料物質の加工・濃縮工程に従事する作業者、放射線発生装置や放射性同位元素を扱う従事者の安全を確保することを目的としたものです。そのために、定められた一定の値を超える場所を管理区域とすることが決められ、標識や柵などを等によって明示・区画されるとともに、従事者等の出入りの管理や被ばく管理が行われています。また、管理区域は、放射線業務に従事する者以外の人が立ち入ることを制限し、関係者以外の人が不必要な被ばくをしないように配慮しています。
その管理区域は、(1) 外部放射線量の実効線量が、3か月で1.3 mSvを超える恐れのある場所、(2) 空気中の放射性同位元素濃度が3ヶ月平均で一定の濃度(告示別表に定める濃度限度値の1/10)を超える恐れのある場所、(3) 汚染される物の表面の放射性同位元素の密度が、表面汚染密度限度の1/10を超える恐れのある場所など、となっています。(1)の値を1時間あたりに換算すると0.6μSv/hとなります。
福島第一原子力発電所の事故による被ばく状況は、計画的な被ばく状況ではなく事故という突発的に生じた状況ですので、計画的被ばく状況に適用される「管理区域」の考えは適用されません。事故に伴う放射性物質の拡散による環境の汚染への対処に関しては、国、地方公共団体、原子力事業者等が講ずべき措置等として、放射性物質汚染対処に関する特別措置法が制定されました。福島第一原子力発電所周辺では、これらの関連法令に基づいて対応していて、その場合の「区域の制限」には、「警戒区域」、「計画的避難区域」、「特定避難勧奨区域」の区分があり、現在、これらが適用されているのはご承知のところです。なお、その場合の線量の決め方についても、管理区域の場合とは異なっています。
環境省、原子力発電所事故による放射性物質対策:http://www.env.go.jp/jishin/rmp.html