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【社説】

自民補選勝利 政権に緩みはないか

 参院山口補選を制した自民党。夏の参院選勝利に向けた弾みにしたいのだろうが、閣僚の靖国神社参拝を機に周辺国との関係が緊張するなど、政権運営に揺らぎも見える。政権に緩みはないのか。

 第二次安倍内閣初の国政選挙となった今回の補選は安倍晋三首相の弟で、昨年十二月の衆院選に立候補、当選した岸信夫氏の参院議員辞職に伴うものだ。自民公認候補と民主系候補との事実上の与野党対決となった。

 首相の地元、山口県は首相の祖父、岸信介氏や大叔父の佐藤栄作氏ら多くの首相を輩出した自民党王国でもある。安倍内閣の支持率も70%台の高水準で推移するなど、もともと自民候補が戦いを優位に進め得る状況だった。

 六年前の参院選惨敗後、辞任した首相は、今夏の参院選を「親の敵のようなもの」と位置付ける。衆院選に続いて参院選でも勝利して国会のねじれ状況を解消し、政権安定化を図りたいのだろう。

 就任後初の国政選挙が、自民党支持の強い地盤である山口県で行われたことは、首相にとっては幸運だったのかもしれない。

 ただ、補選の結果だけで、安倍内閣や自民党への「追い風」が引き続き吹いていると受け止めるのは早計だろう。名古屋や青森、郡山など政令指定都市や県庁所在地、経済県都と呼ばれる大都市の首長選で、それぞれの事情があるとはいえ、自民系候補が軒並み敗北を喫しているからだ。

 政権の弱点とされる歴史認識や憲法改正の主張を抑え、経済政策を優先する「安全運転」に徹しているかに見えた政権運営も、このところ危うさが目立ち始めた。

 麻生太郎副総理兼財務相ら閣僚の靖国参拝に中韓両国が反発すると、首相は「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と発言し、さらなる関係緊張を招いた。憲法改正の発議要件を緩和する九六条改正を参院選の公約に掲げる決意を強調するようにもなった。

 高い支持率に自信を深め、政権運営のタガが緩んでいるのなら看過できない。自民党への政権交代は民主党に嫌気が差した有権者が消去法で選んだことを忘れてはならない。

 衆院選に続き、今回の補選も低投票率だったことは、政治不信が解消されていない現実を突き付けていると受け止めるべきだろう。

 三月の党大会で「決して慢心してはいけない。自民党に完全に信頼が戻ってきたわけではない」と力説したのは、首相自身である。

 

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