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CYCLINGTIME.com

2012/12/19 18:50

Michael Rasmussen

マイヨ・ジョーヌを獲得したままツールを追われたミカエル・ラスムッセン、今明らかになる事の顛末とは、自転車界から姿を消したラボバンクチームが残した2007年の闇の真相とは


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みなさんはミカエル・ラスムッセンを覚えているだろうか。元MTBの世界チャンピオンでもあり、典型的なピュアクライマーとして、2007年のツール・ド・フランスの第16ステージで壮絶な山岳でのバトルでマイヨ・ジョーヌ獲得と同時に総合優勝を決定的なものにした。しかしその直後に、トレーニング時期の所在の虚偽報告により、ツール失格、そしてラボバンクから解雇されたのである。


『クリスティーナ・ウォッチで今も走っているが・・・』
ドーピング問題の対策として、選手たちは自分の所在地を報告する義務があるのだが、ミカエルはその虚偽報告を行なっていた。そしてそれに対しチームは「知らなかったし裏切られた思いだ」、「チームとして解雇せざるを得なかった」、というのが当時公式に出されたラボバンクチームの見解だった。当時チーム監督であったエリック・ブロイキンクも裁判の場でそう証言したのである。

ところが今になり、不当解雇に関する民事裁判が進むにつれ、予想外の証言が元チームメイトの口からから飛び出してきたのである。それはラスムッセンが一貫して当初から訴え続けてきたことを立証することになるかもしれないのだ。

当初メキシコにいたと報告していたラスムッセンだったが、実際にはイタリアでトレーニングを行なっていたのである。これはラスムッセン自身もイタリアでトレーニングをしていたことを認めている。しかしラスムッセンはこの虚偽報告は、過去2年連続(2005,2006)に山岳賞を獲得し総合でも上位につけたことで、優勝候補にその名をあげられていたラスムッセンが、メディアにトレーニングを邪魔されるのを嫌いチームと示し合わせて計画したものであったと証言したのだ。当初これはラスムッセンの見苦しい言い訳と受け取られ、世間から非難の的となったラスムッセンは、それ以降公では多くを語らずに裁判の場でのみ発言を続けてきた。

「ツールのためにトレーニングをするのに、わざわざ違うタイムゾーン(別大陸)を選択するなんて現実的ではないでしょ。メディア対策として違う場所でトレーニングをすることは2007年の4月の段階でブロイキンク監督とチームドクター2人に話していたし、同意のもとだったんだよ。」そうラスムッセンは語っている。


『MTB時代のラスムッセン』
そして今になり、彼の主張通り当時ラボバンクに所属していた元同僚選手が、当時のチームメイトたちの殆どもこの事実を把握していたことを裁判の場で証言をした。

これによりラボバンクが当時主張したことが、全て口裏合わせがされた結果であり、対面を保つためにラスムッセンがスケープゴートにされたことがはっきりとした。当時から不可解さが指摘され、何故虚偽の所在報告してまでトレーニングをしていたのかという謎がはっきりと公式の話で明らかになった。

この年のツールでは、コフィディスが出走選手のドーピングでツール撤退をしておりラボバンクはツール撤退による企業イメージ低下を懸念したものと考えられる。そしてラボバンクはツール終了後に密かに首脳陣の降格処分なども行なっており、内部ではラスムッセンの行動を容認していたこと全てを葬り去ろうとしたものと思われる。

あの解雇がなければ、間違いなく2007年のツール総合優勝のみならず、その後も華々しい山岳での活躍が期待できただけに、ラスムッセンだけが責任を負わされる形となった虚偽報告による2年間の出場停止がなければ、間違い無く彼の人生は大きく変わっていただろう。今現在出場停止処分開けの選手の駆け込み寺的チームとして知られるクリスティーナ・ウォッチに所属し、昨年度のツアー・オブ・チャイナでは総合3位に入るなど、それなりの走りは見せてはいるが、もっと彼の第一線級での活躍を見てみたかったというのは本音である。マルコ・パンターニの後継者ともなれただけにつくづく残念である。

選手を守るべく立場のチームやUCIが、選手たちを蔑ろにするケースが相次いでいる現状、選手なくして競技は成り立たないんだという原点を今一度見なおすべき時に来ていると思う。

H.Morine
SRM

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