【コラム】日本が「侵略」されていたら

 日本の戦争犯罪は国際的にもよく知られた事実だ。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のハーバート・ビックス教授の著書『昭和天皇』によると、日本が起こした侵略戦争によって、アジアでは韓国人をはじめ2000万人が犠牲になった。日本人も、自国が起こした戦争によって310万人が命を落とした。侵略戦争の過程で昭和天皇は化学兵器(毒ガス)の使用を少なくとも375回許可した。一部の日本の学者が主張するように、南京大虐殺の被害者が30万人ではなく2万人だったとしても、犯罪の事実自体が消えるわけではない。

 安倍晋三首相は、侵略について謝罪した村山談話を「継承しない」と表明した。戦争ができる強い日本となるよう、憲法改正も訴えている。ドイツでこのようなことを主張したら、ドイツ社会は驚いて首相の辞任を要求するだろう。アンゲラ・メルケル首相は「ナチスの犯罪に対し、ドイツは世代を受け継いで永遠に責任がある」と述べた。

 日本の国内総生産(GDP)はドイツの1.7倍に達し、英国とフランスのGDPを合わせた額をも上回る。中国に抜かれたものの、今なお経済規模で世界第3位の大国だ。それにもかかわらず、日本はドイツと異なり周辺諸国から認められず、国力に見合うほど尊敬されてもいない。安倍首相はそれがなぜなのか、突き詰めて考えるべきだ。

 良識のある人は、他人の苦しみを推し量り、自分の生き方を反省する糧にしている。そのような認識を全く持たずに迷走する指導者が、日本を再び不幸の道に追い込もうとしている。これは何よりも日本の国民にとって残念なことだ。

李漢洙(イ・ハンス)記者
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