震災がれき:北九州市、がれき処理終了
2013年03月28日
北九州市は27日、宮城県石巻市から受け入れた震災がれきを焼却し、埋め立てる処理を終えた。12年9月に西日本で初めて受け入れた北九州市での処理量は総計2万2600トンで、石巻市周辺の可燃がれきの2割。全体の推計量が当初より大幅に減ったため、当初予定の来年3月より1年早く、半年間で終了した。
市は最大6万2500トンを処理する予定だったが、石巻市周辺の可燃がれき量が当初の予想141万トンから90万トンに修正され、13万6000トンを広域処理すれば残りは県内処理できる見込みとなった。結局、北九州市の処理量は石巻市にある仮設焼却炉の処理能力(5基・1日1590トン)の14日分だった。
費用は最終的に国が全額負担するが、北九州市が宮城県と契約した処理費は6億2200万円。仙台からの運送費を含む処理単価は1トン7万5000円で環境省の目安(7万円)を上回った。
北九州市の受け入れは表明前から放射性物質への懸念から一部市民に強い反発があり、試験焼却用のがれきを積んだトラックの搬入を住民らが阻止し、男性2人が公務執行妨害容疑で逮捕される騒ぎとなった。また、市の住民説明会では怒号が飛び交った。
北橋健治市長は公害を克服した経験から掲げる「環境都市」もアピールし「被災地支援の輪が全国に広がることを期待している」と話したが、関西以西で受け入れたのは北九州市と大阪市だけだった。
北橋市長は27日、報道陣に「安全に処理し、東北復興の手助けができた」と強調した。
環境省によると、すべて県内処理する福島を除き、震災がれきの推計量は、岩手365・7万トン、宮城1102・6万トンの計1468・3万トン。うち5割強の779・8万トンは2月までに焼却、埋め立てなどの処理を終えた。同省は「県内処理の体制整備と広域処理の受け入れ先確保が進み、目標の14年3月までに全て処理できる」と見込んでいる。
広域処理は、北九州市が受け入れ表明した昨年6月時点で7都県だったが、現在は15都府県が受け入れ、富山県が今後の受け入れを表明している。