和田監督(右)とのハイタッチも手慣れたもの【拡大】
鳴りやまない「藤浪コール」を背にいつも通り、グラウンドに一礼した。藤浪がビジター初勝利でハーラートップタイの3勝目。チームの3、4月勝ち越しも決めた。
「序盤、厳しい中でなんとか後半に修正して、粘れてよかった」
本調子ではなかった。直球は150キロを一度計測しただけ。3点の援護をもらった二回には、二死から西岡が処理した金城の二ゴロ送球を一塁手の新井が捕球できなかった(記録は内野安打)。続く松本に145キロ直球を右中間スタンドに運ばれ、1点差。三回にも一死一、三塁から井手に同点犠飛を許し、リードがなくなった。
ここからが勝てる投手の真骨頂だ。「中盤以降、カットボールがよかった」。これ以上失点できない四回、先頭打者を出すと宝刀カットボールを多投。4者連続三振を奪った。ベンチに戻ると和田監督に「(変化球で)ゴマかしました」と本音を明かした。将は「ゴマかせるんだからスゴイよね」と脱帽だ。
六回に藤井彰の犠飛で1点リード。勝ち投手の権利を得た六回無死一塁では、13発でキング争い独走のブランコに真っ向勝負を選んだ。「変化球で逃げると厳しいコースでも持って行かれてしまう」。思い切り腕を振った149キロにブランコもフルスイングで応じたが、弾丸ライナーの左直。3度の対決で全て直球を投げ無安打。力比べでも負けなかった。