鳥取市河原町弓河内に、20代女子が営む民宿がある。その名も、「ハンター民宿BA−BAR(ババア)」。若い女性が、ハンターのババア?どんな民宿なのだろう。
「バーのような憩いの場にしたいという思いを込めて、あえてババアという名前にしました」
そう話すのが、宿主の梅野知子さん(28)だ。身長152センチと小柄で、まっすぐな黒髪と大きな瞳が印象的。だが、わな猟の狩猟免許と、県の鳥獣技術士資格「イノシッ士」を持つ、正真正銘のハンターだ。狩りに出るときは、真っ赤なつなぎの作業服に、「大日本猟友会」のオレンジ色のベストとキャップをかぶって山に入る。
イノシシやシカを狙ってわなを仕掛けるが、「腕はまだまだ未熟。先輩と狩りに出て、夜は一緒にお酒を飲みながら、狩りの技術や肉のおいしい食べ方を教わっています」と梅野さん。先輩から教わったハンターの心得は、「狩りをするときは動物の行動をイメージすること。さばくときは骨の構造を覚えること」という。
民宿では、野生の鳥獣肉を使ったジビエ料理を客と一緒に作って食べる。完全予約制で、基本は1泊2食付き7500円。仕掛けたわなを客と一緒に見回るが、事前に捕って保存しておいたジビエを使うことがほとんどだ。イノシシ肉を使うことが多く、おすすめは、モモ肉のから揚げとすき焼き風鍋。味は豚肉よりも淡泊で、脂身もさっぱりしている。血抜きをしっかりすれば臭みもない。
空き家になっていた民家を借り受け、2012年10月に民宿をオープン。これまでに11組の客が訪れ、リピーターもいるという。梅野さんは、「旅館のように客をもてなすのではなく、親戚のように一緒に料理して過ごす。民泊に近い」と話す。予約が入ると野菜をくれるなど、集落の人たちも応援してくれているという。
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朝日新聞社会部