自民党のブースに設置されたミニスタジオからネット番組に参加する石破茂幹事長(前列右から2番目)=28日、千葉市の幕張メッセ、土佐茂生撮影 |
【土佐茂生、南彰】夏の参院選からインターネットによる選挙活動が解禁される。その前哨戦が27、28の両日、千葉市の幕張メッセであった。ネットの動画共有サービス「ニコニコ動画」のイベント「ニコニコ超会議2」に自民党と民主党、日本維新の会、共産党の計4党が特設ブースを設けて出展したのだ。さまざまな趣向を凝らしてネット利用層の取り込みに火花を散らした現場を歩いた。
東京ドーム約1個分のスペースに24のブースが並ぶ。その一画を「政党」ブースが占めた。思い思いのコスプレをした女の子を「おっさん」がパシャパシャと撮る横をくぐり抜けて政党ブースに行くと、まず目に飛び込んできたのが、「自民党」と書かれた緑ののぼりが立つ街宣車「あさかぜ」だ。
同党の三原じゅん子氏や橋本岳氏ら国会議員が司会を務め、希望する来場者が街宣車に乗って演説できる。常に聴衆者が50人はいる中、みんな思い思いの言葉を放っていた。コスプレをした若い女性は「二次元から来た『初音ミク』です」と自己紹介。別の男性は「自民党にしっかりと日本を取り戻してもらいたい。ところで私は無職です。仕事をください」と呼びかけていた。
自民党のハイライトはやはり27日夕に登場した安倍晋三首相だ。会場の天井から下がる巨大な電光掲示板に「安倍総理 ご来場中!」と流れると、街宣車の前にはあっという間に人だかりが。隣にある民主党ブースは閑散とし、ピアノの弾き語りをしていた鈴木寛広報委員長の「なごり雪」がむなしく響いていた。
自民党が貸し出す「日の丸」を振る聴衆200人以上に囲まれ、安倍首相は「三本の矢によって必ず強い経済を取り戻して参ります」と経済政策アベノミクスを強調。最後に、聴衆とともに「がんばろう三唱」で拳を突き上げた。
28日には石破茂幹事長も参加。街宣車から「自民党はお高くとまって感じ悪いよね、というイメージを取り払っていただくため、この場を使っている」と語りかけた。
自民党ブースには総裁室も再現され、家族連れなどが記念撮影をしていた。自民党の今回の目的を「ネットを利用する若者に、自民党を身近に感じてもらうこと」(党幹部)とした。その目標は、完全に達成できていた、そう思える集客力だった。
その隣をのぞくと、ほぼ同じスペースを使って民主党が出展。「会いにきて民主党ステージ」を設置し、細野豪志幹事長や菅直人元首相が対談する風景をネット中継した。
お隣に安倍首相が来場した時は閑散としていたものの、28日午後に細野氏が来ると会場は満員に。ただ、いまの厳しい党勢を映すかのように、聴衆からは「民主党はいったん解党して、細野さんを中心に出直した方が良い」などと厳しい質問が飛びだした。
細野氏は「民が主役の党という『民主党』の名前が好きだ。民主党の役割はまだある」などと回答。「どうですかね?」と問いかけると、質問者は無言で首をかしげる場面もあった。
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朝日新聞官邸クラブ