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◆男子プロゴルフツアー つるやオープン最終日(28日、兵庫・山の原GC山の原C、6793ヤード=パー71) 怪物ルーキーが新たな記録を打ち立てた。2打差の2位から出た松山英樹(21)=東北福祉大=が6バーディー、1ボギーの66をマークし、通算18アンダーでプロ初優勝を飾った。プロ2戦目での優勝は、1999年の日本ゴルフツアー機構(JGTO)発足後の最短記録。15番から4連続バーディーを奪っての逆転で、アマチュアだった2011年の三井住友VISA太平洋マスターズ以来、ツアー通算2勝目を挙げた。
地鳴りのような大歓声が心地よかった。首位タイで迎えた最終18番。松山は第2打、167ヤードを6アイアンで1・5メートルにつけた。白い歯をこぼしながらグリーン上に姿を現した21歳は、このウイニングパットを沈め、握った右拳を2度、力強く振った。圧巻の4連続バーディー締め。プロ転向後わずか26日、JGTOでは史上最短のプロ2戦目での初優勝を、逆転で奪い取った。
「こんなに早く勝てるとは思ってなかったので、うれしいです。何を話せばいいのかな。ゴルフよりも緊張します」。プロとして初体験の優勝スピーチでは、顔を赤くして言葉に詰まった。そんな初々しい姿とは裏腹に、プレー中は憎らしいまでに冷静で勝負強かった。
D・オーとのしびれるようなマッチレースだった。15番パー5。第2打をミスして手前のバンカーに入れたが、これをピン横1メートルにスーパーリカバリー。オーに並んだが、相手も6メートルのパーパットを入れてきた。16番パー3では7メートルのスライスラインを沈めて突き放したかと思えば、また6メートルを入れ返してきた。
まだ続く。17番パー5では左奥カラーからの20メートルのイーグルパットが、3メートルもオーバーして手前のカラーまでこぼれた。対してオーのバーディーパットは1メートル。外せば再びリードされる場面で、進藤キャディーからの「今度は入れ返してくる番だぞ」というゲキに、力強くうなずくと、返しのバーディーパットをねじ込んだ。「どれだけ入れてくるんだ、って思ってました」。それでも最後には競り勝った。
また一歩、世界との距離は近づいた。現在159位の世界ランクは、105位前後まで上昇の見込み。113位の石川遼(21)=カシオ=を抜くのは確実。出場が決定している全英オープン(7月18~21日、ミュアフィールド)後には、米ツアー参戦のプランも浮上。東北福祉大の阿部靖彦監督(50)が「夏場は日本ツアーもないし、試合には出たいタイプだからね」と明かせば、松山も「行きたいです」と前向きだ。
2400万円をゲットしたこの勝利で2015年までのシードを獲得。2戦目で早くも賞金ランクはトップに浮上した。「目標は…ないですね。一戦一戦、一打一打を一生懸命にやっていれば自然に結果もつながってくる」。力強い視線の先には、輝く未来が広がっている。
◆松山の記録
▽プロデビュー最速V 99年の日本ゴルフツアー機構発足後では10年の薗田峻輔(ミズノオープン)、12年の藤本佳則(日本ゴルフツアー選手権)の5試合を超える最速となった。98年以前では、79年の重信秀人がデビュー戦(中四国オープン)で優勝。81年には、倉本昌弘が2試合目(日本国土計画サマーズ)で優勝している。
▽男子大学生プロの優勝 07年6月のミズノオープンよみうりクラシックのドンファン(韓国・高麗大)、10年6月の同大会、薗田(明大)以来で国内男子ツアー3人目。
(2013年4月29日06時05分 スポーツ報知)