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セシウム除去装置1号機が完成 天童の企業とNPO法人が共同開発

2012年09月26日 10:34
エムエスデーとNPO法人ビルトグリーンジャパンが共同開発した汚染稲わらなどからの放射性セシウム除去装置
エムエスデーとNPO法人ビルトグリーンジャパンが共同開発した汚染稲わらなどからの放射性セシウム除去装置
 生産装置開発・製造などのエムエスデー(天童市、武田章社長)と、廃棄物処理などを手掛けるNPO法人ビルトグリーンジャパン(山形市、荒井正幸理事長)が共同で開発を進めてきた、放射性セシウムに汚染された稲わらや下水汚泥から放射性セシウムを除去する装置の1号機が完成した。低コストで処理できる車載移動型の実用機。福島第1原発事故で汚染され、今も野積みされたままの稲わらや牧草、剪定(せんてい)枝などの処分量の減量化に大きな期待が寄せられている。福島市内で25日、お披露目された。

 エムエスデーは、高温の蒸気で対象物を蒸し焼きにし、有機物だけを熱分解することで重金属と分離する過熱蒸気熱分解装置を4年ほど前に開発。今回はそれらの技術とノウハウを応用した。2011年度の農林水産省の委託事業に採択され、実証試験も終えた。

 高温の蒸気を送り込み、約650度に保った処理タンク内で放射性セシウムに汚染された稲わらや剪定枝などを熱すると、ほぼ無酸素状態の中で有機物だけ熱分解され炭化する。放射性セシウムが気化するとされる約700度以下のため、セシウムは拡散せずに炭に残留。これをコンクリートなどで覆って処理するシステムだ。炭にすることで従来の体積の約10分の1に減らすことができ、保管・管理もしやすくなるという。

 この工程で大気に排出されるのは冷却用の水の蒸気だけで、念のために専門機関に依頼した排気・排水の測定結果でも、セシウムは検出されず、窒素酸化物や硫黄酸化物などの有害物質も規制値をはるかに下回った。

 発電機で動かせる省電力低コストタイプで、装置自体を4トントラックなどに積載したまま移動・稼働できる便利さも大きな特長。移動できない汚染稲わらや、山の中に放置されている汚染剪定枝なども現地で処理できる。1時間当たり300キロの処理が可能だ。

 セシウム除去以外に、携帯電話からのレアメタル回収、ケーブルからの銅線回収、おむつ、定置網、機密文書の処理・減容化など、応用範囲は限りなく広いという。武田社長は「保管や処理に困っている稲わらや汚泥などを少しでも減らし、福島の人の役に立ちたい」と話している。販売価格は1基4000万円前後となる見込み。

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