安倍首相、地元で貫禄！参院山口補選で自民圧勝

参院山口選挙区補欠選挙で当選し、万歳する自民党の江島潔氏（中央）

　第２次安倍内閣が発足して初の国政選挙となった参院山口選挙区補欠選挙は２８日、投開票され、自民党新人で公明党が推薦した江島潔元下関市長（５６）が、民主党などが推薦した平岡秀夫元法相（５９）ら３氏を破り初当選した。投票終了の午後８時からたった５秒でＮＨＫが当確を打つなど、安倍晋三首相（５８）のおひざ元で貫禄の“秒殺劇”だった。自民党の参院会派勢力は８４議席になり、実質的には第１会派の民主党に並んだ。

　山口市内のホテル。午後８時、テレビ各局が一斉に江島氏の「当選確実」の一報を流すと、支援者約５００人が集まった会場は大きな歓声に包まれた。「安倍政権への強い期待を感じた」と江島氏。安倍首相のおひざ元での威信をかけた戦いを制し、喜びの声を上げた。

　自民党は今夏の参院選に向けて、圧勝が義務づけられた戦いだった。「民主党を殲滅（せんめつ）する」。同補選が告示された１１日夜、自民、公明両党国対幹部と公邸で会食した安倍首相は、こう宣言した。０７年の参院選では民主党が大勝し、安倍首相はわずか１年で退陣。自民党幹部は「『殲滅』はあまり使わない言葉だ。ウラミは相当強い」と推し量る。

　実際、自民は挙党態勢を敷いた。２０、２１両日には安倍首相自らが県内をくまなく回る熱の入れよう。選挙期間中は、石破茂幹事長（５６）、高村正彦副総裁（７１）ら大物クラスも惜しげもなく選挙区入りした。当初は「自分は行く必要ないのでは…」と話していた小泉進次郎青年局長（３２）まで、１３日に下関市での街頭演説に投入。投票日直前の２６日の自民党役員連絡会では、河村建夫選対委員長（７０）が「勝ち方が重要な選挙だ」と最後まで引き締めを図った。

　一方、民主党にとっては、当初は不戦敗も覚悟していただけに、対決の構図に持ち込むことが精いっぱい。こちらも海江田万里代表（６４）、細野豪志幹事長（４１）ら幹部が集中的に応援に入った。２７日夜に最後の訴えを終えた海江田氏は「反応は後半、良くなった。勝てば都議選、参院選につながる」と手応えを強調したが、結果は全く伴わなかった。

　この選挙で、自民党の参院会派勢力８４議席。第１会派の民主党の８５議席に１差となった。民主党では、室井邦彦参院議員（６６）が離党届を提出しており、実質的には並んでいる。自民党の石破幹事長はこの日、党本部で会見し「政権に復帰して初の国政選挙であり、非常に大きな意味を持つ結果だ」と強調。「今回の評価におごらず、さらに丁寧な政権運営を（安倍内閣は）行う。党もバックアップしたい」と勝利の弁を述べた。

（2013年4月29日06時05分スポーツ報知）