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「その画像すごいね」ネットでほめ合いエスカレート 児童ポルノ愛好家ら30人超を摘発

産経新聞 4月7日(日)20時11分配信

 18歳未満のわいせつな画像や映像を撮影したり、販売したりする児童ポルノ事件が後を絶たない。神奈川県警は昨年3月から1年間の捜査で、児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑などで児童ポルノ愛好家32人を摘発。今年4月に入ってからも動画などを記録したDVDを販売目的で所持していたとして男2人を逮捕した。愛好家らは、それぞれグループを作って自分たちが保有する画像をサイト上で交換しており、ネットを介して犯罪が急速に拡大している。(田中俊之)

 ■摘発された愛好家の中には女も

 県警が昨年3月から1年間で児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で摘発した児童ポルノ愛好家は6グループの計32人に上った。画像をネット上で他人に提供したり、児童に写真を撮影・送信させたりして画像を製造したという。逮捕者は12人、書類送検が20人だった。20〜40代の男が中心で、中には女もいた。

 県警はサイバーパトロールで事件の端緒をつかむため、容疑者が県内在住とはかぎらない。容疑者1人を逮捕してパソコンや携帯電話などの証拠品を押収すると、データ解析や画像の提供先などに関する供述から別の容疑者を浮上させ、“芋づる式”に次々と容疑者を摘発していく。今回の32人は1都1道2府16県にまたがっていた。

 ■押収した画像・動画は11万点!!

 被害児童数は179人に上り、県警が押収した画像や動画は10万9570点と膨大な数だ。中には身内の子供を撮影した画像も入っていたという。

 また、児童ポルノを商売に利用するケースもある。県警は今年4月1日、児童ポルノ提供などの疑いで、千葉県習志野市の無職の男(27)と東京都江戸川区の無職の男(32)を逮捕。2人は約3年前に知り合って販売を始めたが、もっぱら生活費に充てるためで、児童ポルノ自体には興味がなかったという。

 ■ネット介して犯罪がエスカレート

 県警によると、愛好家らはサイト上で画像交換をして交流を図り、コミュニティーを広げていく。面と向かって人に言えない自分の趣味を共有する場として仲間が集まってくるという。

 「その画像すごいですね」

 「○○のような画像ください」

 仲間がサイト上にアップした画像にコメントをしてほめると同時に、自らも「もっとすごい画像を」と、お互いが助長し合ってエスカレートしていく。

 ネット普及以前は、児童ポルノはビデオ販売店などで売られ、捜査でも店舗を摘発するケースが多かった。しかし、ネット上で画像交換が行われるようになり、県警はサイバーパトロールを強化。愛好家らの摘発と同時に、昨年は犯罪の温床となっている12のサイトを閉鎖させた。

 児童ポルノはいったんネット上に流出すると、画像が繰り返しコピーされて回収するのが難しくなる。ファイル共有ソフトを使い、すぐに大量の画像が国境を越えていく。

 ネット上で大人が言葉巧みに児童に裸の画像を送らせるケースのほか、自分の裸の画像を撮影・送信して小遣い稼ぎをする児童もおり、県警の担当者は「子供たちへの指導も必要だ」と指摘する。

 ■単純所持規制の議論も

 日本では、少女ヌードの写真集が1960年代ごろから出版されていたが、平成16年の児童買春・ポルノ禁止法の施行で、写真集もごく一部を除き出版・流通とも停止された。

 ただ、同法は販売目的の所持の禁止だけでなく、「持っているだけ」「買っただけ」の単純所持の規制がされていなかったため、法改正が議論された。しかし、知らない間に送りつけられる冤罪(えんざい)や謀略の可能性、「表現の自由」の侵害といった懸念も指摘され、単純所持の規制は暗礁に乗り上げている。

 一方で、条例を施行して規制範囲を広げる自治体も出てきた。京都府は24年1月、児童ポルノの取得・所持を禁止し、全国で初めて知事による廃棄命令を盛り込んだ児童ポルノ規制条例を施行。条例では、児童買春・ポルノ禁止法が規制対象外とする「単純所持」も禁止した。

 さらに、アニメやゲームといった創作物への規制を求める動きもあり、児童ポルノの規制強化をめぐる議論からも目が離せない。

最終更新:4月11日(木)15時8分

産経新聞

 
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