ぼくは「自戒を込めて」という表現が嫌いです。
他人を攻撃するための言い訳
多くの場合、自戒を込めてということばは他者攻撃とセットになっています。
たとえば、職場の新人が遅刻をして迷惑を掛けた。その姿を見て、「職場で新入社員が遅刻して、チームの作業がてんやわんやだった。社会人たるもの、チームの流れを乱すのはダメですよね。自戒を込めて」とつぶやく。
これはいかにも卑怯な「自戒」の込め方です。「自分も完璧ではないだけどね」という予防線を張って、自分に対してやってくるかもしれない攻撃を防いでいるわけです。自戒を込めることで、「おまえの振る舞いもチームワークを乱しているぞ!」という非難を和らげることができるのです。
こういう人は自分を戒めているわけでもなんでもなく、他人を攻撃したい気持ちでいっぱいになっているだけです。それこそ、その攻撃性を戒めてほしいものです。
と、断罪しつつ、実はこの表現、ぼくも昔はよく使っていたんですよね。いやはや、お恥ずかしい…まぁ、日々成長しているということで。
自分の体験を振り返ってみても、結局「自戒を込めて」なんてことばは、攻撃されるのを恐れている臆病者が発信することばです。十分に強ければ、そんな予防線は不要ですから。
もちろん自分を戒めるのは大切ですが、そんなことは表立って言うものでもありません。ぜひ「自戒を込めて」ということばを発しそうになったら、自分を守ろうとしていないか、自己点検してみてください。