淡路島地震:大気イオン予測が話題に

毎日新聞 2013年04月28日 20時01分(最終更新 04月28日 21時56分)

 負傷者33人を出した今月13日の兵庫県・淡路島地震に関し、地震予知に取り組むNPO法人が、大気中のイオン数の変化をもとに地震の発生地域や時期を予測し、関係者の間で話題になっている。大気イオンによる地震予知は「まだ効果が確認されていない」(文部科学省)が、一部の地震専門家から評価する声も出ている。

 NPO法人「大気イオン地震予測研究会」(理事長・矢田直之神奈川工科大准教授)は全国17カ所で大気中のイオン濃度を測定し、濃度が急上昇した場合に地震予測を出す。

 今月6日、兵庫県南あわじ市の測定器で、通常は大気1立方センチ当たり1000個以下のイオン数が12万個に急上昇するなど、兵庫、高知、石川、長野、宮崎各県で2〜6日に数値が上がった。同研究会は翌7日に各データの分析をもとに「淡路島を中心としたマグニチュード(M)5級の地震が発生する」との予測を発表。気象衛星画像の解析から、地殻変動や地震性ガスの噴出などで発生する可能性がある「地震雲」が淡路島周辺に広がったとも判断し、合わせて予測の根拠とした。

 約1週間後の13日、淡路島付近を震源とするM6.3の地震が起きた。発表内容を知っていた関係者から「心の準備ができていたのでびっくりしなかった」(和歌山県の男性)と反響があったという。

 大気イオンは大気中で電気を運ぶ分子の粒。直下型地震につながる地殻変動があると、地中からラドンが放出されイオン化するという。1995年の阪神大震災では事前にラドン、2000年の鳥取県西部地震や01年の瀬戸内地震では事前に大気イオンが観測された。同研究会は04年、元岡山理科大教授の故弘原海(わだつみ)清氏らを中心に設立された。

 東日本大震災でも、地震予知のあり方が議論になった。同研究会の斉藤好晴・神奈川工科大非常勤講師は「科学に不可能はないという思いで活動している」と説明する。地震の前兆を研究する日置(へき)幸介・北海道大教授(地球物理学)は「(イオンによる地震予知は)まだ確立されていないが、観測データは参考になる。さまざまな手法を組み合わせ、今後の地震予知につなげる必要がある」と話している。【田所柳子】

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