主権回復式典 首相「希望と決意の日に」4月28日 17時32分
サンフランシスコ平和条約が発効し、日本が主権を回復したことを記念する政府主催の式典が、東京で開かれました。安倍総理大臣は「きょうを、未来に向かって希望と決意を新たにする日にしたい」と述べるとともに、日本の施政権から切り離された沖縄などへ配慮を示しながら、世界に貢献する国づくりを進める考えを強調しました。
政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」は、昭和27年4月28日にサンフランシスコ平和条約が発効して、日本が主権を回復してから61年目に当たる28日午前、東京・千代田区の憲政記念館で開かれ、天皇皇后両陛下をはじめ、衆参両院の議長、最高裁判所長官、国会議員や知事などおよそ400人が出席しました。
この中で、安倍総理大臣は「きょうを1つの大切な節目とし、これまで私たちがたどった足跡に思いを致しながら、未来に向かって希望と決意を新たにする日にしたい」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は、東日本大震災の際に世界中から日本に多くの支援が寄せられたことに言及しながら、「私たちは、日本を強くたくましくし、世界の人々に頼ってもらえる国にしなくてはならない。私たちの世代は、どれほど難題が待ち構えていようとも、目をそむけることなく、日本を、もっとよい美しい国にしていく責任を負っている」と述べ、世界に貢献する国づくりを進める考えを強調しました。
一方、昭和47年まで日本の施政権から切り離された沖縄県では、式典の開催に反発する意見が出ており、仲井真知事は出席せず、副知事が出席しました。
安倍総理大臣は「日本に主権が戻ってきた日に、奄美、小笠原、沖縄の施政権は日本から切り離れた。沖縄の人々が耐え忍ばざるをえなかった戦中、戦後の苦労に対し、通り一遍のことばは意味をなさない。若い世代の人々に特に呼びかけつつ、沖縄が経てきた辛苦に、深く思いを寄せる努力をすべきだと訴えようと思う」と述べました。
沖縄の問題に向き合った発言
主権回復を記念する式典に沖縄県から仲井真知事の代理として出席した高良倉吉副知事は、安倍総理大臣が式辞の中で触れた沖縄に関する発言について、「沖縄戦やアメリカ統治時代の苦難の歴史、それに現在に続く基地問題など、県民が訴えてきたことについて、かなり踏み込んでことばにしていた。安倍総理時大臣は、比較的、沖縄の問題に向き合って発言されているという印象を受けた」と述べました。
また、宜野湾市で開かれた政府の式典に抗議する大会について、「県民にはさまざまな思いや意見がたくさんあるので、抗議大会にも、当然、共感できるし理解できる。そういうたくさんの思いや異なる意見を無視しては、基地を含む沖縄の問題は語れない」と述べました。
毎年、式典の開催を
政府主催の式典の開催を推進する議員連盟の会長を務める自民党の野田税制調査会長は、東京都内で開かれた集会であいさつし、「サンフランシスコ平和条約を結ぶことで、日本は晴れてみずからの外交権や国防など国家主権の骨格を取り戻した。きょう、政府主催で式典が開かれたが、ただ単に1回だけとすることなく、毎年、この日は必ず、政府主催で式典を開くよう求める運動を展開したい」と述べました。
また、同じ集会に出席した日本維新の会の平沼・国会議員団代表は「日本が主権を回復することで初めて、奄美や小笠原、沖縄の復帰にもつながった。沖縄の人たちには気の毒なことであったが、こうした歴史的な過程があったことも理解してほしい。これからも、主権回復の日を国民の祝日にするため頑張りたい」と述べました。
天皇を政治利用
共産党の志位委員長は、東京都内で開かれた政府主催の式典に抗議する集会で講演し、「沖縄を日本から切り離した『従属と屈辱の日』ともいえる4月28日を肯定的に記念する式典に、安倍政権が天皇の出席を求めたことは、憲法に違反する天皇の政治的利用以外のなにものでもない。この責任は、あえて、こうしたことを行った安倍政権にあり、2度と繰り返してはならない」と述べ、批判しました。
式典断行に強く抗議
社民党は「4月28日は本土の主権が回復された一方で、沖縄、奄美、小笠原にとっては、アメリカ軍の施政権下に置かれ、日本と切り離された屈辱の日だ。政府は、これらの住民の意思を尊重して式典を中止すべきだったし、屈辱の歴史を無視して式典を断行したことに強く抗議する」というコメントを発表しました。
▽ 沖縄 主権回復式典に抗議の大会 (4月28日 12時17分)
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