東京外為:円安一時98円台後半 株は一時390円上げ
毎日新聞 2013年04月08日 11時42分(最終更新 04月08日 14時49分)
週明け8日の東京金融市場は、先週「黒田日銀」が決定した新しい金融緩和を受けて、円安、株高が続いた。東京外国為替市場は、3年10カ月ぶりとなる1ドル=98円台と一段と円安が進行。市場では「1ドル=100円台も視野に入った」との声が聞かれた。東京株式市場では日経平均株価が前週末から一時390円超値上がりした。「異次元の金融緩和」は世界中に衝撃を与えており、国内への資金流入が続いている。
東京外国為替市場のドル円相場は、日銀の「量的・質的緩和」を意識した展開で、円売り・ドル買いが先行し、一時1ドル=98円85銭をつけた。みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは「緩和の内容が市場の想定を上回り、まだ織り込み切れていない。適正水準がどこか探る動きとなっており、今週中に1ドル=100円をうかがう動きが出るのでは」と、見通しを話した。
東京株式市場は円安水準を好感し、採算改善が期待できる自動車、電機などの輸出関連銘柄や、金融株を中心に、幅広い銘柄に買いが集まっている。トヨタ自動車や野村ホールディングス、三井不動産などは一時、今年最高値を更新した。
日経平均株価は一時、前週末比390円超高い1万3225円22銭をつけ、5日につけた取引時間中の今年の高値(1万3225円62銭)に迫った。前週末の欧米株式市場は、市場予想を下回った米雇用統計などを受けて軒並み下落。欧米市場が下落した場合は従来、東京市場も下がるケースが多いが、8日の東京市場は大幅上昇してスタート。市場では「新しい金融緩和への期待感が、海外の不安要素を打ち消している」(大手証券)との声が聞かれた。
また、財務省が8日午前発表した3月の対外対内証券投資(指定報告機関ベース)によると、外国人投資家による日本への株式投資は1兆6687億円の買い越しとなった。買い越しは6カ月連続で、05年1月の統計開始以来、過去5番目の高水準。買った金額が売った金額を上回る買い越しは、国内への資金流入を表しており、安倍政権での金融緩和に対する強い期待を裏付けた形だ。【高橋慶浩、山口知】