宇宙の謎:暗黒物質の証拠発見か 国際チーム、新現象観測

毎日新聞 2013年04月04日 00時17分(最終更新 04月04日 01時25分)

 宇宙空間に大量に存在すると理論上で推定されながら、これまで未確認だった暗黒物質(ダークマター)について、欧州合同原子核研究所(CERN)など16カ国でつくる研究チームは4日、暗黒物質によって起きたと考えて矛盾のない現象を観測したと発表した。国際宇宙ステーション(ISS)に搭載している装置で観測した。星や銀河を今ある形にする役割を果たした未知の物質の解明が進む成果となる可能性がある。ただ、現時点の観測データでは、他の天文現象で起きた可能性も否定できず、さらに観測や分析を続ける。

 研究代表者のサミュエル・ティン米マサチューセッツ工科大教授が、スイス・ジュネーブのCERNで発表した。暗黒物質は宇宙全体の約4分の1を占めていると考えられているが、自ら光などの電磁波を出さず、観測されたことがないため正体は不明。現代物理学の最大の謎の一つとされている。

 研究チームは、宇宙空間を光速に近い速度で飛ぶ陽子など微小粒子の宇宙線を巨大な磁場で捉える装置「アルファ磁気分光器(AMS)」(重さ約7トン)を約1400億円かけて製作。11年にスペースシャトルで宇宙へ打ち上げた。暗黒物質が未発見の素粒子「ニュートラリーノ」であると仮定すると、互いに衝突して陽電子(電子と反対のプラスの電荷を持つ粒子)ができることから、これを捉えようと試みた。

 その結果、AMSが1年半の間に捉えた約250億個の粒子を分析し、40万個以上の陽電子を検出することに成功した。チームは、この量は宇宙が既知の物質でできていたと考えている場合より多く、暗黒物質からのシグナルと考えた。ただ、恒星が寿命を迎えて起こる超新星爆発や、その後に生じる中性子星などの天文現象でも陽電子は発生する。ティン教授は「観測した陽電子が暗黒物質のシグナルか別の起源によるのかは今後のAMSの観測データが教えてくれるだろう」と話している。【野田武】

 【ことば】暗黒物質

最新写真特集

毎日新聞社のご案内

TAP-i

毎日スポニチTAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日RT

毎日RT

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

毎日プレミアムモール(通販)

毎日プレミアムモール(通販)

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM

環境の毎日

環境の毎日