大沼の水質浄化「小さな泡」有効

update 2011/10/18 10:17

 大沼の自然浄化を目指す「大沼水質改善研究会」(榊清市会長)はこのほど、環境浄化技術を研究する門上技術開発研究所(函館市)の門上洋一所長と共同で、酸素の微少気泡(マイクロナノバブル)を投入し、微生物の活性化を図る実験に成功した。

 同研究会は、民間非営利団体(NPO)や研究者などが一体となり、2008年に発足。大沼に流れ込む3本の河川からの有機物流入などを水質汚染の原因と考え、農業や漁業関係者などと協力しながら、水質浄化実験を行ってきた。

 同会ではこれまで、水質改善に効果があるとされるEM菌(有用微生物群)を活用した実験を中心に行ってきた。しかし、さらに効果的な方法を探っていく中で、門上所長のアドバイスの下、マイクロナノバブルを使った実験に初めて取り組んだ。今月6日から約5日間、大沼公園駐車場裏手の一角の沼地(500平方メートル)に、2トンのタンクで湧水を利用したマイクロナノバブルを製造し投入。区域内の水を3ヵ所から採取し、水質の経過を調査した。

 調査の結果、溶存酸素が増加し、好気性の硝化菌(アンモニアを分解するバクテリア)の活性化が見られ、呼吸の結果を示す二酸化炭素発生の数値が増加したことなどが裏付けとなり、マイクロナノバブルが、湖水の水質改善に有効という形になった。

 今回の結果について門上所長は「湖水全域を浄化するのにどれだけの量を必要とするのかなど、さまざまな課題はあるが、水質改善に向け新たな一歩を踏み出すことができたことは間違いない」、榊会長は「研究会単独で実験を行うには限界もあり、行政の積極的な関わりも必要不可欠。今回の結果をもとに、今後の活動を検討していきたい」と話す。

 同会では20日に2回目の実験を実施。その様子を一般市民にも公開する。同日午前10時から大沼公園裏手で行う。

 ▼大沼水質改善研究会 環境問題などに取り組むNPO法人ソーシャルエージェンシー協議会の会長を務める榊会長が、大沼の水の汚染実態を知り、水質を改善したいと各界の関係者に呼び掛け、2008年に発足。大沼の水質を研究する道教育大函館校の田中邦明教授ら研究者をはじめ、農業、漁業関係者16人が所属している。

提供 - 函館新聞社




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