ce que je peux faire pour toi 2

「ハルヒが殿とねえ。」

「やめてよ、光。」

「でもハルヒは恋とか興味ないのかと思ってたよ。」

双子が代わる代わる冷やかしの言葉をかけてくるのは、昨日環がした告白をハルヒが受け入れたからだ。

「自分もそう思ってたんだけど。」

いつもハルヒと呼んでいた環が昨日は改まった表情で、ハルヒを姫と呼んだ。
王妃になっていただけませんか、と差し出された手をハルヒが掴むと環は嬉しそうにハルヒを抱き上げて部室をスキップして回りだした。

「ドキドキするのが恋でしょう?だからそうなのかなって。」

「なのかな、ってなんか他人事みたい。好きなんでしょう、殿の事。」

「うん、皆好きだよ。馨も光も。ハニー先輩もモリ先輩も、鏡夜先輩も。」

にこり、と笑ったハルヒに、光と馨はため息をついた。
この鈍感さ加減にどれだけ自分たちも悩まされてきた事か。

「皆好きなのに、じゃあなんで殿なの?」

「もう光、堂々巡りだよ。ドキドキするからだって言ってるじゃない。」

(ホスト部の部室なら鏡夜先輩がそろそろ間に入って止めてくれるのになあ。)

「ハルヒ怒ってるよ、光。」

「別に怒ってないけど…」

ぼんやり考えていたハルヒを見て双子は怒ったと思ったらしく話題を変えてきた。

「夏休み、また猫沢先輩のビーチ借りたって殿が言ってたよ。」

「ハニー先輩とモリ先輩もOBとして来るんだって。」

「そうなんだ、楽しみだね。」

ぽかんとした顔で双子がハルヒを見つめた。

「何?」

「いや…ハルヒが何かを楽しみにするなんて珍しい。」

「去年もしかして楽しかったとか?」

双子に答えようとして、ハルヒはあれ、と首をかしげた。

(なんで自分こんなに楽しみなんだろう?海…は特に好きでもない。カニ…は気が向いたら誰かが部室に持ってくる。あそこは山が近くて天気も変わりやすいし、それに危うくケガするところだっ…)

「ねえ、そう言えばさ、自分が海に落ちた時助けに来てくれたのって環先輩と光?それとも馨?」

「は?」
「何言ってんの?」

不審気に眉をひそめる双子にハルヒも同じように眉をひそめた。

「環先輩だけ?なんだか海の中で二つ人影が見えたような気がしたんだけどな…」

「殿と鏡夜先輩だよ。」

「て言うかむしろ鏡夜先輩と殿じゃない、馨?」

「ああそうか。先に飛び込んでハルヒ引っ張り上げたの鏡夜先輩だもんね。」

(え…ちょっと待ってよ、鏡夜先輩がそんなメリットない事するわけないじゃない。)

「ホスト部の部員守るためなら意外と見境ないよね。」

「ああ、そうそう。れんげさんの撮影の時も躊躇なくカメラのレンズ割ったしね。」

ホスト部の運営に差す黒い影は全て鏡夜がどんな手を使っても排除してきた。
だけどそれは鏡夜にメリットがあるからだ。
借金を抱えた特待生のハルヒを守ったところで何の見返りも期待できないのに。

「鏡夜先輩は本当は優しいと思うけど。」

ぽつり、と言ったハルヒに激しく双子が首を振り、鏡夜が今までしてきた報復措置やドS発言の数々をあげつらうのを聞きながらハルヒはあの日の事を思い出していた。
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# by oceanpacifique | 2013-04-07 13:52 | ホスト 

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