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日本と韓国―向き合い、信頼きずけ

大岩を頂に担ぎ上げたと思えば、そのたびに歴史認識問題で一気に転げ落ちる。日本と韓国の関係はギリシャの「シジフォスの神話」を思いおこさせる。昨年春、中国で開かれた日韓外相[記事全文]

東北電×東電―賠償は内容の精査を

東北電力が、福島第一原発の事故をめぐって東京電力に損害賠償を求める方針という。一枚岩でならした電力業界のこれまでを思えば、異例のことではある。原発[記事全文]

日本と韓国―向き合い、信頼きずけ

 大岩を頂に担ぎ上げたと思えば、そのたびに歴史認識問題で一気に転げ落ちる。日本と韓国の関係はギリシャの「シジフォスの神話」を思いおこさせる。

 昨年春、中国で開かれた日韓外相会談で、韓国側はこの神話をたとえに取りあげ、「日本が歴史を直視しなければ、根本的な問題の解決は難しい」と語りかけた。

 それから1年。韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外交相は、26日に予定していた日本訪問を直前に取りやめた。

 韓国側が事前に再考を促したにもかかわらず、麻生副総理・財務相らが靖国神社へ参拝したための判断だという。

 日韓でともに新政権ができ、初めてむかえる外相会談だっただけに極めて残念だ。

 今回の会談には、とりわけ大きな意味があった。

 挑発的な言動をやめない北朝鮮問題の協議にくわえ、冷えこんだ両国関係を改善する契機にしたいとの期待が、双方に出ていたからだ。

 日本と韓国は、民主主義や市場経済という価値観を共有する隣国として、ともに歩みを進めてきた。

 2年後に、1965年の国交正常化から半世紀を迎える。大きな節目に向け、何ができて何ができないのか。それを話し始める時期がきている。

 そういう外相会談を目前に控えるとき、麻生氏らに続き、168人の国会議員が大挙して靖国神社に参拝した。

 韓国側の反発は当然予想された。戦略性や外交感覚に欠けた行動と言わざるを得ない。

 韓国にも注文したい。

 日韓の国交は、いまの朴槿恵(パククネ)大統領の父、故朴正熙(パクチョンヒ)大統領が、国内の強い反対の声を押し切って実現させた。

 朴正熙氏は「売国奴」のレッテルを貼られることもあり、朴槿恵氏は対日外交を慎重に進める方針だといわれる。

 だが朴槿恵氏が外交や南北関係の中心に据えるのは「信頼」だ。核・ミサイル開発を進める北朝鮮にもこれまで「戦争中でも対話は必要」と、向かい合うことの大切さを語ってきた。

 尹外相は今回、日本を訪れて直接、歴史認識問題をふくむ両国関係の重要性を説く選択もあったのではないか。

 日韓間には、北朝鮮への対応にも大きく関係する軍事情報の秘密保護協定(GSOMIA)の締結や、経済連携協定(EPA)の交渉再開など、懸案が積み残しになったままだ。

 むなしい神話を終わらせるためにも、日韓は信頼の再構築を急がねばならない。

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東北電×東電―賠償は内容の精査を

 東北電力が、福島第一原発の事故をめぐって東京電力に損害賠償を求める方針という。

 一枚岩でならした電力業界のこれまでを思えば、異例のことではある。

 原発事故で被害を受けた企業として、賠償を求めること自体は理解できる。ただ、東北電力を一般の被災企業と同列には論じられない。本当に横並び意識から脱却する決意なのか、疑問も残る。

 なにより、東電の賠償資金はいずれ国民負担となる公算が大きい。賠償額が不要に膨れることは許されない。請求の中身をきちんと公開し、国民の納得がいくプロセスを経るべきだ。

 東北電力の3月期決算は3年連続の最終赤字となり、配当も見送られた。電気料金の値上げも申請している。利用者負担をできるだけ下げ、株主への責任を果たすうえでも、東電への請求は自然な成り行きだろう。

 しかし、賠償の中身は精査が必要だ。

 例えば、福島県内での販売電力量の減少である。住民の長期避難で影響を受けたのは確かだが、津波による被害や節電の取り組みも減少の要因には含まれる。どのような基準で原発事故分を算出するのか。

 浪江・小高原発の計画撤回に伴う損失185億円の請求検討に至っては、とても本気とは思えない。震災前から計画が順調とは言えなかったことを考えれば、事故との因果関係は薄い。

 実際の賠償手続きは、有識者による原子力損害賠償紛争審査会が民法上の「相当因果関係」に基づきつつ被災者への配慮も加味して基準を決め、それに沿って東電が賠償したり被災者と交渉したりするのが原則だ。

 東北電力の賠償請求は一見、結束してきた業界の「ほころび」と映る。だが、東電と東北電力があうんの呼吸で合意してしまえば、賠償額が膨れる可能性も否定できない。

 今回のケースは一般の賠償と切り離し、透明化をはかるべきだ。賠償基準を原賠審が別に定め、実際の査定にも第三者を入れてはどうか。

 東電の賠償資金は、いずれ返済させることを前提に政府が全面支援しているが、東電をとりまく環境は厳しく、返済のめどは立っていない。

 東北電力に福島の事故に対する直接の責任はないとはいえ、業界の一員として原発を推進してきた立場に変わりはない。

 そのうえでの賠償請求には、ほかの被災企業とは異なる国民の厳しい視線が注がれることを忘れないでもらいたい。

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