情報公開:大量・繰り返し請求を規制 30自治体以上に

毎日新聞 2013年04月27日 15時00分

 情報公開制度を巡り、著しく大量の請求や同じ内容を繰り返し求める請求を「権利の乱用」として禁止する自治体が少なくとも30団体に上ることが、全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)の調査で分かった。条例などで「権利の乱用に当たる請求は拒否できる」などと規定しており、大阪市も条例化の検討を始めた。こうした請求への対応に自治体は苦慮しているが、専門家は「行政が恣意(しい)的に情報公開を制限すれば、知る権利の侵害につながりかねない」と、慎重な判断を求めている。

 「水掛け論を一方的に打ち切る根拠は」。そんな情報公開請求を繰り返す女性に、大阪市が苦慮している。女性は2010〜12年度に約370件請求し、非開示決定に対し約260件の不服申し立ても行った。

 市によると、当初は消費者トラブルや生活保護に関する公文書の請求が中心だったが、次第に趣旨の分かりにくい請求が増え、既に開示した内容を求めることもあるという。市は先月、民法が定める「権利の乱用」にあたるとして、女性の請求12件を却下した。ただ、権利乱用について市の情報公開条例には規定がなく、民法を根拠とする却下は初めてだった。市の担当者は「条例がある方が判断はしやすいが、市民全体の権利を制限しかねない。とはいえ、今後も同様のケースが続けば、条例化せざるを得なくなる」と悩む。

 情報公開制度の普及で、近年は多くの自治体で請求件数が増加。地図や不動産の業者が建築計画や住居表示に関する書類を数千件請求する例もある。

 富山県では07年度、1人の男性が7万件以上を請求し、コピー代だけで1500万円以上かかった。同県は09年に条例を改正し、開示資料が5000枚を超える場合などに非開示にできると規定。適用はまだないが、担当者は「請求は減少しており、一定の抑止効果があった」と話す。

 奈良市は11年度までの2年間に請求件数が3倍に急増したため、昨年4月に条例で乱用禁止を規定。西東京市も昨年1月、規則で同様の規定を設け、今年2月までに9件を非開示にした。

 一方、和歌山県は条例化を検討したが、「安易な制限につながりかねない」として見送った。代替策として今年1月、公開決定した文書の閲覧を有料化した。【茶谷亮】

 ◇「乱用禁止規定」の乱用も

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