パンチを浴びると途端に戦意を失うボクサーのようだ。投手力頼みで、ここまで25試合、先制すれば10勝2敗も、先制されると3勝9敗(1分けは0-0)。指揮官のいう「反発力」の乏しさは数字にも顕著だ。水谷チーフ打撃コーチは、「四回の満塁で新井が何とかせなアカン。こういう展開に弱い。負けたとしても3、4点は取らないとアカン」と、“ひ弱”な攻撃陣に厳しい口調でハッパをかけた。
しかも、そんな大事な先制点を守りの“ミス”から献上した。一回二死走者なし。井手の二遊間のゴロを好捕した二塁・西岡が懸命に一塁送球。ショートバウンドを、新井が捕り損ねた(記録は安打)。ここからあっという間に3失点だ。
「あれは捕らないけん…」と2度、繰り返した新井。指揮官も「西岡も精いっぱいのプレー。一塁が捕ってやれればね。簡単ではないが、両手で丁寧にいきすぎたかな」と嘆いた。守備の乱れで先制され、追う展開-。今の虎にとって、完全な負けパターンだ。
今季最多貯金「4」を逃し、4月の月間勝ち越しも決められず。和田監督は「0点ではなく1点を取ったんで、あしたにつなげないと」と前を向いた。八回の「1」があすへの萌芽となるか。虎の反発力をきょう、見せて欲しい。 (栃山 直樹)
(紙面から)