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5分で分かる Cisco UCS 第2回 〜Cisco UCS の5つの特長〜

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今回は Web 版の第2回目です。「5分で分かる Cisco UCS」 と題し、シスコ認定インストラクターが Cisco UCS の基礎について解説します (Web ページ・連載5回)。


5分で分かる Cisco UCS 第2回
〜Cisco UCS の5つの特長〜
今回のポイント
Cisco UCS の5つの特長
  • ユニファイドファブリック
  • 拡張メモリ
  • VM-FEX、仮想インターフェイスカード
  • UCSM による統合された管理
  • サービスプロファイル
によって、多くの仮想サーバを稼働している大規模なデータセンターを効率良く構築可能


Cisco UCS のシステム構成


Cisco UCS の特長を理解するにあたって、まず、Cisco UCS のシステム構成を把握しておきましょう。Cisco UCS は、次の4つの要素から構成されています。

  • ブレードサーバ
  • ブレードサーバシャーシ
  • ファブリックインターコネクト
  • ファブリックエクステンダ

「ブレードサーバ」 は、インテルアーキテクチャのハイパフォーマンスな処理能力を持つサーバです。なお、Cisco UCS のサーバにはブレードサーバの UCS B シリーズ以外にもラックマウント型の UCS C シリーズもあります。


ブレードサーバは 「ブレードサーバシャーシ」 に格納します。UCS 5100シリーズは、6RU で1台のシャーシに最大8台の UCS B シリーズサーバを収容できます。


「ファブリックインターコネクト」 は、UCS を UCS 外部の LAN および SAN へと接続します。ファブリックインターコネクトの製品には、UCS 6100シリーズと UCS 6200シリーズがあります。UCS 6200シリーズのポートはイーサネットポートと FC ポートを統合したユニファイドポートとなっています。さらに、ファブリックインターコネクトには UCS 全体を管理する UCS Manager が搭載されています。


そして、ブレードサーバシャーシをファブリックインターコネクトへ接続するために、ブレードサーバシャーシに 「ファブリックエクステンダ」 を搭載します。ファブリックエクステンダの製品には、UCS 2100XP シリーズおよび UCS 2200XP シリーズがあり、4ポートまたは8ポートでファブリックインターコネクトと接続できます。ファブリックインターコネクトとファブリックエクステンダでユニファイドファブリックを構成し、UCS 内部でサーバとネットワーク接続、ストレージ接続を統合しています。


 

Cisco UCS のシステム構成

図 1 Cisco UCS のシステム構成popup


以上の UCS のシステム構成を踏まえて、UCS の特長を見ていきましょう。



Cisco UCS の特長


1. ユニファイドファブリック

Cisco UCS では、ユニファイドファブリックによって LAN 接続と SAN 接続を統合して、シンプルなシステム構成になります。FCoE (Fiber Channel over Ethernet) により、1本の物理配線上で LAN および SAN のトラフィックを扱います。これにより、サーバラック内の機器および機器間の配線を大幅に減らすことができます。サーバラック内はファブリックインターコネクトとブレードサーバサーバシャーシ内のファブリックエクステンダとの間で配線します。ファブリックインターコネクトとファブリックエクステンダをともに冗長構成にしている場合でも、最大16本のケーブル配線だけです。


一方、これまでのブレードサーバシステムでは、シャーシ内にブレードスイッチやブレード FC スイッチを収容し、ラック内のイーサネットスイッチや FC スイッチとの間での配線が必要です。ブレードスイッチやブレード FC スイッチは、シャーシ内に収容しているブレードサーバ数によって増えます。そして、ラック内のイーサネットスイッチや FC スイッチの冗長構成を考えると、たくさんの配線が必要になってしまいます。また、Wire Once という特徴があります。これは、一度ファブリックインターコネクトとファブリックエクステンダ間を配線してしまえば、シャーシ内でサーバを移動させても、サーバを追加・削除しても配線を変更する必要がない。という意味であり物理的な構成変更による再配線の手間を削減できます。


2. 拡張メモリ

仮想化環境では、複数の仮想サーバが CPU、メモリ、I/O (Input/Output) を共有するため、これらがボトルネックになってしまう可能性があります。Cisco UCS ではボトルネックにならないように CPU、メモリ、I/O について考慮しています。CPU に最新の Intel XEON プロセッサを採用し、独自の拡張メモリテクノロジを備えています。拡張メモリテクノロジにより、メモリスロットの数を増やして1台のブレードサーバに大容量のメモリを搭載して、仮想サーバを高密度で集約することができます。また、Intel XEON のメモリアーキテクチャでは、メモリ容量とパフォーマンスは両立できないですが、Cisco UCS のサーバのモデルによっては、メモリ拡張技術によりすべての DIMM slot を利用してもメモリアクセス速度が低下しません。そのため、Cisco UCS のサーバではメモリ容量とパフォーマンスを両立することができます。


3. VM-FEX、仮想インターフェイスカード

そして、Cisco VM-FEX (Virtual Machine-Fabric Extender) によって、ブレードサーバ上で稼働している仮想サーバは直接ファブリックインターコネクトに接続させることができます。これにより、仮想サーバのネットワーク接続をシンプルにして、仮想サーバに対するポリシーの適用などを効率良く行うことができます。


 

Cisco VM-FEX による仮想サーバの接続の概要

図 2 Cisco VM-FEX による仮想サーバの接続の概要popup


※ Cisco VM-FEX については第5回目の記事で解説します。


また、仮想インターフェイスカード (Virtual Interface Card) によって、仮想サーバは専用のネットワークインターフェイスを備えているのと同等になり、I/O のボトルネックを解消します。


4. UCSM (UCS Manager) による統合された管理

Cisco UCS の管理は、ファブリックインターコネクト上の UCSM (UCS Manager) によって一元化されています。UCSM によって、管理負荷を軽減して効率的な管理ができることが特長です。


5. サービスプロファイル

Cisco UCS では、必要な IT リソースを必要なときに迅速に割り当てることができます。これを実現するための中心的な技術がサービスプロファイルです。


サービスプロファイルは、サーバのハードウェアやネットワークインターフェイス、ファブリックとの接続などの各種設定情報をまとめているものです。サービスプロファイルはファブリックインターコネクトのデータベースで管理されています。サービスプロファイルをブレードサーバに適用することで、プロファイルに指定されている IT リソースの割り当てが完了します。もし、ブレードサーバが故障してしまった場合、別のブレードサーバにサービスプロファイルを適用すれば、すぐに障害発生前のサーバと全く同じ構成のサーバとして起動することができます。


 

ブレードサーバ障害時のサーバ復旧

図 3 ブレードサーバ障害時のサーバ復旧popup


※ サービスプロファイルについては、第3回目の記事で解説します。


以上のような UCS の特長によって、多数の仮想サーバを展開しながら、構築、運用管理もシンプルに行うことができます。




第2回のまとめ
  • UCS は 「ブレードサーバ」「ブレードサーバシャーシ」「ファブリックインターコネクト」「ファブリックエクステンダ」 で構成されている
  • UCS ではユニファイドファブリックによって既存のブレードサーバシステムに比べて、ラック内の配線を大幅に削減できる
  • Cisco VM-FEX、仮想インターフェイスカードによって仮想サーバを直接ファブリックインターコネクトに接続できる
  • 拡張メモリテクノロジによってブレードサーバ上に大容量のメモリを搭載可能
  • UCS の管理は、ファブリックインターコネクト上の UCSM で一元管理できる
  • サービスプロファイルによって、迅速なリソースの割り当てが可能である


この記事の筆者

ファーストレーン株式会社 シスコ認定ラーニング スペシャライズド パートナー
シスコ認定インストラクター
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