シスコ認定トレーニング

5分で分かる Cisco UCS 第1回 〜Cisco UCSってなんだ!?〜

シスコ ネットワーク道場


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「シスコネットワーク道場」 は、エンドユーザの皆様にシスコ認定トレーニングを実際に体験していただく場です。高品質且つ経験豊かなシスコ認定インストラクタによる実機操作を交えたエンジニア向けトレーニングを、ミニ教室バージョンで開催いたします。

Web 版の今回は 「5分で分かる Cisco UCS」 と題し、シスコ認定インストラクターが Cisco UCS の基礎について解説します (Web ページ・連載5回)。


5分で分かる Cisco UCS 第1回
〜Cisco UCSってなんだ!?〜
今回のポイント
Cisco UCS はサーバ、ネットワーク接続、ストレージ接続を統合し、あらゆるシステムリソースの仮想化を前提に設計されたシステム


ユニファイドデータセンターのコンセプト


今や 「クラウド」 というキーワードは見聞きしない日はないほどに浸透してきました。クラウドサービスによりインターネットに繋がっていれば、メールやストレージ共有、SNS などを利用できる環境になっています。


※ クラウドにはインターネット経由ではなくプライベートネットワーク経由のプライベートクラウドもあります。


クラウドサービスを実現するためのインフラストラクチャとして、多数のデータセンターが建設されています。そして、データセンター内には膨大な数のサーバが存在しています。


データセンターに設置されるサーバは、2つのネットワークに接続しています。1つはデータセンター内の LAN です。サーバはデータセンター LAN を通じて、インターネットへ接続されます。もう1つは SAN (Storage Area Network) です。私たちが普段使っているパソコンはハードディスクなどのストレージ機器を内蔵しています。ところが、データセンター内のサーバはストレージ機器のための専用ネットワーク SAN を構築して、SAN 経由でストレージ機器を利用します。

 

データセンターの構成概要

図 1 データセンターの構成概要popup


クラウドサービスが拡大するにつれて、データセンターのサーバの台数はますます増加します。さらに、サーバ仮想化技術を利用して1台のサーバ上で何台もの仮想サーバを稼働させていることが当たり前です。そうなると、仮想サーバごとにネットワーク接続、ストレージ接続を考えなくてはいけません。その結果、データセンターの構成は複雑なものとなっています。複雑な構成だと、管理や拡張が難しくなりがちです。しかし、変化の速い顧客のニーズに対応するために、データセンターの効率的な管理や拡張性が求められます。このような要求に応えるために、データセンターの構成を根本から考え直したものが Cisco UCS (Unified Computing System) を中心としたユニファイドデータセンターのコンセプトです。


ユニファイドデータセンターによって、データセンターを効率よく運用管理し、拡張性を高めることができます。そして、新しいサービスを迅速に提供して収益性を改善するなどのさまざまなメリットが得られます。



Cisco UCS の概要


「Unified」 とは日本語では 「統合された」 という意味です。つまり、UCS は 「統合されたコンピュータシステム」 ということです。そこで、Cisco UCS では


 

何が統合されているのか?

 


ということがポイントです。それは、「サーバ」「ネットワーク接続 (LAN)」「ストレージ接続 (SAN)」 です。


前述のようにサーバは LAN および SAN に接続されています。サーバを LAN に接続するためのインタフェース / 機器と SAN に接続するためのインタフェース / 機器は異なります。


サーバを LAN に接続するためには、サーバの NIC (Network Interface Card) を LAN のイーサネットスイッチに接続します。ほとんどの場合、サーバのネットワーク接続の可用性を高めるために NIC とイーサネットスイッチは冗長化されています。そして、サーバを SAN に接続するためにはサーバの HBA (Host Bus Adapter) を FC (Fiber Channel) スイッチに接続します。やはり、サーバのストレージ接続の可用性を高めるために HBA と FC スイッチは冗長化されています。


このように LAN の接続と SAN の接続で異なるインタフェース / 機器を利用しなければいけないということが、構成が複雑になってしまう1つの原因です。接続するためのインタフェースや機器が異なっていると、それらを管理するための管理ツールも別々のものを利用することがほとんどです。そうなれば、管理作業はとても大変なものになってしまいます。

※ サーバはさらに管理用ネットワークにも接続されることがほとんどです。今回は管理用ネットワークへの接続は割愛しています。

※ SAN には、イーサネットスイッチ経由で接続する IP-SAN もあります。今回は FC スイッチを利用した FC-SAN のみ考えています。


Cisco UCS ではサーバとネットワーク接続、ストレージ接続を1つのシステムとして統合しています。次の図のように、Cisco UCS 内にサーバと LAN に接続するための NIC およびイーサネットスイッチ、SAN に接続するための HBA および FC スイッチが統合されています。

 

Cisco UCSによるサーバ、ネットワーク接続、ストレージ接続の統合

図 2 Cisco UCSによるサーバ、ネットワーク接続、ストレージ接続の統合popup


図では、サーバは1台のみを描いていますが、実際には1つの UCS ドメインに最大で160台までのサーバを統合することができます。さらに、こうして Cisco UCS で統合されたサーバ、ネットワーク接続、ストレージ接続といったシステムリソースをすべて仮想化することができます。つまり、サーバ上で仮想サーバを稼働させ、それらの仮想サーバの LAN および SAN 接続を柔軟に制御できます。統合化されたシステムリソースの設定や管理は 「Cisco UCS Manager」 で一元化されています。


このような Cisco UCS によって、データセンターの構成をシンプルにして管理をしやすくします。そして、仮想化技術を駆使して新しいサービスを素早く展開できるようになります。



第1回のまとめ
  • Cisco UCS はサーバ、ネットワーク接続、ストレージ接続を統合している
  • Cisco UCS で統合したシステムリソースはすべて仮想化して柔軟に利用することができる
  • Cisco UCS を利用することで効率のよいデータセンターを構築することができる


この記事の筆者

ファーストレーン株式会社 シスコ認定ラーニング スペシャライズド パートナー
シスコ認定インストラクター
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