特集ワイド:続報真相 橋下氏「イライラ」のわけ

毎日新聞 2013年04月26日 東京夕刊

=大阪市内のホテルで昨年12月16日、内藤絵美撮影
=大阪市内のホテルで昨年12月16日、内藤絵美撮影

 現在、大阪市を除く42市町村で作る大阪広域水道企業団と大阪市水道局を統合する案には、大阪市議会が反対している。公明党の辻義隆市議は「大阪市の水道料金は府内で3番目に安い。統合されれば価格が平準化され、大阪市の水道料金が値上げされる可能性がある。市民に負担を強いるような案はのめませんよ」と反対理由を説明する。同案は5月の市議会で審議されるが、大阪維新の会も慎重姿勢で、否決が濃厚だ。

 この状況を平松前市長はどう見ているのか。「橋下さんは大向こう受けすることは先頭に立ってやりますが、地道に説得して意見をすり合わせることは得意としていない。力で乗り越えればいいという考えの人ですから。行政トップは、何もかも号令したままに動かせる権力者であるという思いが強すぎるのでは」

 橋下さんの胸中をある維新議員がそんたくした。「市政は水道統合問題や待機児童の解消など地元の問題の対処に追われている。橋下さんがやりたいのは統治機構改革。市政がうまく回らず、市長に飽き始めているのではないか」

 「大阪都構想」のシナリオも危うい。橋下さんが腹心として堺市に送り込んだ竹山修身(おさみ)市長は「大阪都構想の阻止」を掲げて再選を目指すと宣言。維新側は「飼い犬に手をかまれた」と反発、今秋の市長選には対立候補を擁立する構えだ。

 立命館大法学部の村上弘教授は「大阪都という名称は魅力的ですが、構想が実現しても名は府のまま。また大阪、堺両市が持つ国との直接交渉権、政策権限や重要な財源を府が吸収し、基礎的な権限などを特別区に渡す『大阪市・堺市廃止分割構想』です。政令市が消滅すると政策のエンジンを失い、大阪は衰退してしまう。橋下さんは市長になり大阪市の有用性にお気づきのはず。構想から撤退してもいいはずですが、できないんでしょう。政策実現よりも『統治機構を変える』と訴える作戦なら有権者に夢を与え、維新の賞味期限が続きますから」と言う。

 官僚や与党を「敵」とする「けんか手法」で支持を集めてきた。在阪のテレビ関係者が明かす。「橋下さんの出演で視聴率は稼げた。しかし、体罰による自殺が起きた桜宮高校の入試中止を決定したころから『けんか手法』には距離を置こうという雰囲気が出てきた。大阪都構想や市政のニュースは報道しますが、必要以上に彼の言動を追い掛けるのはどうかと。橋下さんは敏感な人ですから、風向きの変化を感じているはずです」

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