当店オリジナルラケット「ウィニングショット」の誕生を語ったテニス市場オーナー、中山のインタビューが先月号(2006年8月号)の「月刊スマッシュ」で紹介されました!

ウィニングショット テニスショップがテニスプレーヤーの声を聞いて作ったラケット

「うまくなるラケット」を目指して台湾の工場探しから始まった

「テニスがうまくなるラケットを作りたかったんです」テニスショップとスクールを運営するテニスサポートセンターの社長である中山和義氏はそう言った。

「最近のラケットは素材が良くて飛びすぎる・・・」「最近のラケットはすぐ廃盤になってしまう」ショップやスクールを経営していく中で、そんなリアルな声を聞いたのは新鮮だった。

「ハードヒットしても飛びすぎずアウトが防げる。スイートスポットは小さいけれど、真ん中で当たった時の快感は忘れられない。上達途中は苦しいかもしれない、でも使いこなせるようになったときには、しっかり身体を使うテニスが覚えられる」ラケットを作ろうと考えたのだ。

とはいえ、すぐにラケットを作るのは難しい。まず奔走したのは、製造してくれる工場を確保することだった。

「台湾の工場へ行ってお願いしたのですが、最初は門前払いでした。当然のことなのですが、小ロットの発注にはいい顔してくれないんです」

だが、そこの工場では社長も含め、従業員全員がテニス好きだった。仕事が終わると工場の隣にあるコートを使ってテニスに興じていた。それを知った中山氏は、その従業員らと一緒にテニスを楽しんだという。

「言葉が通じなくても、テニスをしていると自然と仲良くなれるのです。そうやって少しずつ親しくなり、私たちのラケット作りに対する情熱を知っていただくことができたので、ようやく社長も首を縦に振ってくださいました。あとで知ったことなのですが、その社長と私は生年月日がまったく一緒なんていう共通点もあったんですよ(笑)」

約1年半、試作品を作っては試し、作っては試しの連続だった。「でも楽しかったですよ。テニスサークルの方に打ってもらって、たくさんの感想を聞けましたし、改良を重ねていき、形になっていきましたから。」

そして誕生したのが「エボリューションMP/OS」。取り立てて宣伝していないにもかかわらず、1ヶ月で1200本を売り上げた。「やはり、このラケットが完成する過程を、この計画に携わってくださった方々は、とても楽しみにしてくれていたようで、すぐに買っていただきました。でも知り合いだけでなく、口コミで購入していただいた方もいらっしゃったようです。」

それから2年、今度はエボリューションに対する反応があった。

「両手バックハンドだから、もう少しグリップが長いといいなぁ」

「もう少しオフセンターでの面ブレが抑えられたら・・・」

そういう声に応えて開発されたのが、この春発売された「エボリューションツアー」だ。全長は変えず、グリップを従来製品より約2cm長く、そして素材にナノブレイデッドグラファイトを使用し、強度を30%アップさせ、ブレに強いラケットに仕上げたという。

片手と両手のバックハンドがあるのと同じように、ラケットもニーズに合わせて作られていく。「決して改良というわけではなく、細分化といったほうがいいいかもしれません」と中山氏は言った。

短いからテニスを覚えやすい シニアのための「ゆうゆうラケット」

そして2つ目の挑戦を、今度は相反するラケットで行なった。

これは(社)日本テニス事業協会での会議の席で「初めてテニスをするシニア世代にも、簡単に使えるラケットを作ってはどうだろう?」という意見が飛び出したことによって始まったもので、同席していた中山氏はそのアイデアをすぐにラケットに取り入れた。そして誕生したのがシニア向けラケット「インフィニティ〜シエロ〜」だ。通常の27インチより0.5センチ短いのでラケットの操作がしやすく、グリップ部に吸収の良い素材を巻きつけており、身体への負担が少ないという。

「やはり50〜60代になってから、テニスを始めるとなると、戸惑う方もいらっしゃると思うんです。そこで自分向けのラケットが売っていた・・・となると、挑戦しやすくなるじゃないですか」

通称「ゆうゆうラケット」と銘打ったこのラケットは、機能性だけでなく、テニスに対するハードルを低くし、普及させたいという願いも込められている。

「1年に1本ペースで新商品が出せたらいいですね」という中山氏。現場の生の声を聞いて作ったラケットだからこそ、伝わってくる何かがあるのだ。



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