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国際
【四川地震】地震から1週間 愛国演出 被災者冷ややか
死者196人、負傷者が1万3千人を超えた中国の四川地震の発生から27日で1週間を迎えた。21人の安否が確認されておらず、救援物資が届いていない地域も多くある。しかし、震源地の雅安市蘆山県中心部を歩くと、中国共産党と政府への感謝が書かれた赤い横断幕ばかりが目立つ。チベット人の支配が長く続いた政治的に微妙な地域ということもあって、習近平指導部は党と政府の主導による災害救助を強くアピール。しかし、その姿勢が住民たちの不満をさらに募らせる結果になっている。(雅安=中国四川省 矢板明夫)
25日午前。四川省の省都、成都からの救援物資を運ぶトラックに乗せてもらい、亀裂が走る山道をゆっくり走りながら蘆山県へ向かう途中、道の両側に子供たちが突然現れた。「政府に感謝!」などと書かれたスローガンを掲げ、「ありがとう」と一斉に叫んでいた。
“異様”な光景に40代の男性運転手は、「これはやらせだ。子供たちがそんなことを思いつくはずがない」と言った。トラックの後ろを走っていた地元のテレビ局の取材車が停車し、子供への取材を始めた。事前に打ち合わせがあった可能性もある。
被災者に「共産党の懸命の救援姿勢に感動して、4人の専門学校の学生が入党した」という地元紙、四川日報が伝えたニュースへの感想を聞くと、ほとんどの人が「出来レースだ」と冷ややかだった。
通行証もらえず
「震災対応で愛国主義、民族主義ばかりが強調されている」。複数の地元知識人の感想だ。
被災地では「雅安、がんばろう」などと書かれた赤い布で覆った企業の支援トラックをいたるところで見かけたが、「中国石油」など国有企業のものばかりだ。ある日本企業関係者によれば、支援を申し出た外国系企業も数多くあるが、「車の数を制限している」との理由で被災地に入る通行証を発行してもらえないという。
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