２年後には長女が小学校に入学する。避難を続けるか、福島に戻るか。除染が進まず、第１原発で汚染水の漏えい事故が相次いだこともあり「福島には帰れない」と語る妻。介護が必要な母を置いて移住することや、新しい土地で就職先を見つけることなどに懸念を抱く小野さん。夫妻の考えにすれ違いが生まれつつある。「子どもの成長も見られない生活がいつまで続くのか」と悩みは深い。

　福島県によると、県外避難者約５万７０００人のうち自主避難は約３万人。東北地方の高速代は１２年３月まで無料だったが、その後は避難区域市町村の住民に限定された。県は自主避難者の無料化を国に要望してきたが、今回の対象は「二重生活」の避難者のみ。県内に残る子育て世代や家族一緒に避難した世帯は対象外だ。新潟県の自主避難者で作る「自主避難・母子避難自治連絡協議会」の村上岳志代表（３７）は「保養や外遊びで福島県外に出る人や、避難先から介護で戻る必要がある人にも対象を増やす必要がある」と指摘する。