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はい、れっつらごー!
第2話 紫雷の味は蜜の味
―(俺の名前は頼堂憂介。ひょんなことから、テンシとか言う化け物と戦うハメになっちまった…。そんな俺は今、かわいこちゃんとリムジンに乗ってるぜ…♪)

愛美が、何たそがれてんだこのクソガキ…!みたいな顔をして憂介をガン見している。

「おっと…わりぃ、ボーッとしちまってたわ。」
「…もうすぐ着きますので。」
愛美がそう言うと、ニホン一、いや、世界一高いビルと称される建物の前に到着した。

"天使との約束の会"の総本山、アースロッジだ。

「つかよぉ、俺学校サボりたくねぇんだけど!」
「いえ、大丈夫です。我々が学校側に公欠扱いにしてもらうよう、頼んでおきましたから。」
そういう問題じゃねぇよ、と思いながらも、
愛美と、SPだと思われるゴツい男3人に連れられて、憂介は秘書室という部屋に入った。

5人が座っていると、これまた綺麗なお姉さんがコーヒーを運んでくる。
なんなんだこの団体…。

憂介はコーヒーを一口飲むと、
「美味しいねぇお嬢さん…
まさか、愛情なんてもの…淹れてないよね?」
とウインクしながら言い寄る。
お姉さんは「失礼しました」と言いながら、小走りで部屋を出た。

場がしらけてから5秒。憂介は軽く咳をしてから切り出した。
「コホンッ、質問は俺からだ。崖島はテンシだったのか?てことは、テンシの正体は人間なのか?」

「そこは心配ごさいません。我々が捜索したところ、崖島さん宅近くの河川敷で気絶した状態で発見されました。」

「てことは…」

「ええ。テンシは何らかに擬態できる能力を持っているようです。」

今まで殺していたのは人間じゃなかったのか、とホッとした様子の憂介。

「次は私から。あなたはいつから"カタガキ"の力を…?」

「あれはちょうど1ヵ月前、夜中にコーラを買いに行ったときだ。
テンシが突然現れて、襲われると思ってたら…」

「まさか、クリーチャーが…」

「そうだ。ナイスバディなお姉さんが、蜂みてぇな化け物に変わっちまって…
"憂介の坊や…アタシと一緒に戦って?"なんて言うもんだからさ…」
いたって真剣な表情の憂介に、愛美は何コイツキモッ!みたいな顔をするが、話を続けさせる。

「蜂が俺の体に飛び込んできてさ、
"私たちのカタガキは、"紫雷の味は蜜の味"。雷でテンシを倒して…?憂介の坊や…"とか言うから、倒しちゃった☆いえーい。」

「なるほど…。」
憂介に軽く殺意を覚える愛美だが、続けて話す。
「それから1ヵ月、このように戦い続けてていたと…。
よく戦いをやめませんでしたね。何か理由があるんですか?」

沈黙が少し続いた後、憂介は口を開いた。
「…からだよ…。」

「はい?」

「この町が…きずな町が…好きだからだよ!」

両親がいつも仕事でいない憂介は、きずな町に住むたくさんの人達の愛情で育てられてきた。

「だから許せねぇんだよ。このきずな町で…悪事を働く奴らが…。」

「そ、そうだったんですか…。」
憂介の意外なまでの正義感に、少し困惑する愛美。

「我々も、あなたの気持ちを全力で応援します。テンシとの戦闘、及びテンシの情報収集として、報酬金を…」
「うぇっ!?いくら?いくらなんだ!?おい!」
カネの話にグイグイ来る憂介に、さっきまでの感心を踏みにじられる愛美が話を続ける。

「月々2000万円でどうでしょう?」
「おうわかった。喜んで戦おう。」
憂介の図々しい態度に、愛美が舌打ちをしていると…

"G-185地区にテンシ出現!直ちに現場へ出動してください!"

憂介はすくっと立ち上がる。
「おっ、出番だな。」

すると愛美は
「待ってください。」
と、憂介を引き留めると、
「我々は、クリーチャーを実体化する技術を開発しました。使用する際には、このコアシリンダーをコンフロントギアに…。」
憂介に、コアシリンダー<コールサモン>を手渡した。

「そんじゃ、ハッチ様のお出ましだせ!」
コアシリンダー<アーマリング>をセットする。

"Hatchi!Armoriiiiiiiiiing!"

「さっそく試してみるか…!」
続けてコアシリンダー<コールサモン>をセット。

"Hatchi!Call Summon!"

ハッチの頭上に、雷と共に現れる、蜂のクリーチャー。
「お前の名前は…エレクトロ クイーンだ!」
ハッチがそう言うと、そのクリーチャーは喜んだ様子で吠える。

「よし決まりだ、行くぜ?エレクトロ クイーン…!」
ハッチはエレクトロ クイーンの背中に乗ると、テンシの元へ飛び立った。


エレクトロ クイーンは、テンシを見つけると、腹の針で突撃する。

「ギヤヤヤャャアアアァァ」
テンシの低い叫び声と同時に、辺りに電撃が走る。

「さっさとカタをつけるぜッ!」
ハッチは、コアシリンダー<ファイナルブロウ>をセットする。

"Hatchi!Final Blow!"

「エレクトリック スライダー…!」
ハッチが蹴りかかるのと同時に、エレクトロ クイーンが電撃で援護する。

一瞬でテンシは消え、また白い羽根だけが残った。

"Mission Complete!"

コンフロントギアのアナウンスでハッチの変身が解除され、エレクトロ クイーンが憂介の体内に戻る。

「ふぅ…。さーて、家に帰るか。」

携帯電話の着信履歴を見ると、憂奈からの不在着信でいっぱいだった。
憂介は黙って携帯を閉じ、家に向かった…。


To Be Continued...
次回、第3話 キレる留学生


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