三塁側ベンチに帰還した新井良(中)はナインとともにポーズを決める【拡大】
豪快なスイングに、球場中に鳴り響く快音-。全国の虎党が待っていた放物線がハマの夜空にかかった。歓喜に沸く左翼席を背に、背番号「32」が悠々とダイヤモンドを一周する。新井良が今季1号2ラン。不振にあえぎ、負傷で戦線離脱も経験した開幕4番が、完全復活のノロシをド派手にぶち上げた。
「芯でとらえたんで、入ると思っていました。ホッとしたというか、早く1本が欲しいなとは思っていたんで。それが正直な気持ち」
帰りのバスへとつながる通路。ただただ、安堵の表情を浮かべていた。四回一死二塁だ。DeNA先発・高崎が投じた1ボールからの2球目、低め132キロのスライダーを左中間スタンドに突き刺した。
自身17試合、56打席目での今季初アーチだ。キャリアの中では初めての4月“1号”だが、自身にとっては遅い。初の開幕4番でプロ8年目が始まった今季。調子に乗り始めた矢先、5日の広島戦(マツダ)で左太もも裏肉離れ。「自己管理能力の欠如」と振り返る負傷。だが、窮地に立たされても心は折れなかった。