主権回復の日:自民沖縄県連元会長もわだかまり
毎日新聞 2013年04月27日 10時36分(最終更新 04月27日 12時51分)
政府式典へのわだかまりは沖縄の保守層にも強い。「自分の思いが何も届いていなかった」。自民党沖縄県連会長を務め、2004年10月〜06年12月には稲嶺恵一知事(当時)の下で副知事も務めた嘉数昇明(かかず・のりあき)さん(70)は振り返る。1年前、政府式典を巡る沖縄の感情を自民党本部で伝えたのに、顧みられなかったことへの悔しさだ。
嘉数さんは昨年4月28日、党本部であった「主権回復60周年記念国民集会」に招かれた。「県民の一人として思っていることを率直に話す」ことを条件に参加し、こう訴えた。「『4・28』は、沖縄では政府が沖縄を切り捨てた屈辱の日と記憶されている」
だが、政府や自民党本部から何の連絡もないまま、政府式典の開催を新聞記事で知った。「政府に沖縄側の話を聞こうという姿勢がなく、問答無用という感じのやり方だ。保守が持っていた懐の深さがなくなり、今の政治には人間の情、魂が欠けている」
また97年10月〜00年7月、自民党県連会長だった嘉数さんの下で県連幹事長を務めた翁長雄志(おながたけし)那覇市長(62)は「4月28日が沖縄にとってどういう意味を持つ日なのか。政府は真剣に受け止めてほしい」とのメッセージを発表した。那覇市は当日、悲しみを表す紺一色の旗を市庁舎に掲げる。【井本義親】