Updated: Tokyo  2013/04/27 15:13  |  New York  2013/04/27 02:13  |  London  2013/04/27 07:13
 

日銀総裁:佐藤、木内両氏「見通し期間後半に物価2%程度」に反対

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  4月26日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は26日午後の会見で、生鮮食品を除いた消費者物価指数(コアCPI)前年比上昇率について、佐藤健裕、木内登英両審議委員が「見通し期間の後半にかけて、物価安定の目標である2%程度に達する可能性が高い」との記述に対して反対意見を表明したことを明らかにした。

黒田総裁は「13年度、14年度、15年度という見通し期間の後半に2%程度に達するというのが大方の見方だ」と指摘。さらに、「私自身は、一般的にいえば、15年度の早いうちか前半かに2%程度に達すると思っておられる方が多いのではないかと思う」と語った。

日銀は同日午後、半年に1度の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表。14年度のコアCPI前年比の見通し(政策委員の中央値)を1.4%上昇(消費税率引き上げの影響除く)と、1月の0.9%上昇から上方修正した。新たに3年先の見通しも公表。15年度は1.9%上昇するとの見通しを示した。

日銀は4日の金融政策決定会合で「量的・質的金融緩和」を導入。CPI前年比2%の「物価安定目標」を2年程度を念頭に置き、できるだけ早期に実現すると表明した。

展望リポートは目標としての意味合いが強まったのではないかとの質問に対し、黒田総裁は「もともと政府、日銀といった政策主体の見通しは自分が行う政策を踏まえて作られているので、市場の見通しと必ず一致するわけではない」としながらも、「目標を示しているのでなく、見通しを示していることに変わりはない」と述べた。

同リポートの見通し期間を延長したことについては「金融政策のタイムラグや、諸外国の中央銀行の例をみつつ決定した。それ自体、ある意味で自然な話だ」と語った。

長期金利の上昇は抑えられる

長期金利 の動向については「足元の物価はまだ若干マイナスという状況であり、景気も年央から回復がはっきりしてくるという状況なので、直ちに名目金利に大きな上昇圧力が働いてくるとは思わない」と指摘。また、日銀が「年間50兆円に上る長期国債の買いオペを、残存期間のバランスよくやっていくことによって、名目長期金利が上昇するのはかなりの程度抑えられる」と述べた。

さらに「景気が良くなって、実際に物価が上がっていくという中では、ある程度、名目金利が上がっていくのは自然だが、まだそこまでには至っていない」と説明。為替相場については「水準や方向についてコメントするのは適当ではないので、差し控える」と述べるにとどめた。

リバランスは今後も続く      

一方で、生命保険会社が外債へのシフトを進めているとの報道があることに関連して、記者からポートフォリオ・リバランスがまだ動いている途中か、との質問も出た。

総裁はこれに対し、「ポートフォリオ・リバランスは恐らく今後とも続いていく。年間50兆円のペースで長期国債の保有を増やしていくわけだし、オペレーションは毎月行う。指数連動型上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J-REIT)も購入を進める」と指摘。

その上で「ポートフォリオから減ったものが株式その他のリスク資産なのか、貸し出しなのか、あるいは海外の資産なのか、さらには、一部の経済学者が言っている実物的な投資に回るのか、そういったリバランスが期待される」と述べた。

追加緩和の必要性については「今の時点で何か追加的な措置が必要だという意見はなかった」と述べた。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net

更新日時: 2013/04/26 18:13 JST

 
 
 
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