四日市ぜんそく:勝訴から40年 公害との闘い、継承が課題に

毎日新聞 2012年07月23日 東京朝刊

 三重県四日市市で1960年代に発生した「四日市ぜんそく」は、その被害規模の大きさから「水俣病」「新潟水俣病」「イタイイタイ病」と並び、4大公害病と称される。患者9人が、大気汚染を引き起こした企業6社を相手取って起こした裁判で、津地裁四日市支部が原告全面勝訴の判決を言い渡してから24日で40年。存命の原告は1人だけとなった。公害の記憶は風化しつつあり、継承が課題となっている。四日市公害の歴史を振り返った。【谷口拓未】

 ◇コンビナート稼働で異変

 四日市市塩浜地区の旧海軍燃料廠(しょう)跡地で1956年、石油化学コンビナートの建設が始まった。58年には、後に被告企業となる昭和四日市石油四日市製油所が操業を開始。59年からはコンビナート全体が本格稼働した。

 間もなく異変が起きた。地区の漁港で、悪臭がする魚が水揚げされるようになる。原因は、コンビナートの排水が、川に垂れ流されていたことだった。61年夏には、地区でぜんそく患者が集団発生した。患者たちは激しい発作を起こし、呼吸困難を訴えた。市は、塩浜の亜硫酸ガスの大気中濃度は他地区の6倍と報告した。幼稚園や小学校には空気清浄機が設置され、うがいを励行するために水道の蛇口が増設された。

 市による公害病認定が始まったのは65年。高齢者が罹患(りかん)しやすいとされた四日市ぜんそくだが、子どもの認定患者もおり、死者も出た。88年に認定制度が打ち切られるまでの累計患者数は2216人。今年6月末現在で存命なのは429人となっている。

 ◇全国初の大気汚染訴訟

 67年9月、企業の責任を追及するため、患者9人が原告となり、昭和四日市石油、三菱油化、三菱モンサント化成、三菱化成工業、中部電力、石原産業(社名は当時)の6社を相手取り、津地裁四日市支部に提訴した。全国で初めての大気汚染を巡る訴訟だった。

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