四日市ぜんそく:勝訴から40年 公害との闘い、継承が課題に

毎日新聞 2012年07月23日 東京朝刊

 原告は、病院と法廷を往復した。体調不良で欠席や、途中退席も多く、54回の口頭弁論で、全員がそろったのは5回ほどだった。途中で、2人の原告が亡くなった。

 ◇ばい煙原因認める

 72年7月24日、米本清裁判長は「四日市ぜんそくと呼ばれる原告の疾患は、コンビナートのばい煙が原因だ。各社は共同して加害行為を続けてきた」とする原告の主張を全面的に支持し、公害訴訟で初めて、企業の共同不法行為を認めた。

 米本裁判長は片方の視力がほとんどなかったが、熱心に資料を読んでいたと伝えられる。判決前の取材に「裁判所は消極的な救済しかできない。公害問題の本当の救済は、強力な行政の力が必要」と話していたといい、翌25日に定年退官した。

 被告企業は控訴せず、1審判決が確定した。判決後、国は大気汚染防止のため、排出するばい煙、硫黄酸化物などの総量規制を定めたほか、公害健康被害補償法が制定されるなど、その後の環境対策にも大きな影響を与えた。

 ◇四日市のいま

 「判決から40年。患者たちは亡くなっている。同じ間違いを繰り返さないよう、伝える責任がある」。四日市公害を記録し、現在は学生や市民向けに講演などを行う「四日市再生『公害市民塾』」の沢井余志郎代表(83)は言う。

 今年4月、富山市に県立イタイイタイ病資料館が開館した。4大公害の発生地で、資料館がないのは四日市だけだ。沢井さんは95年から市に建設を要望してきた。

 資料館の立地を巡って、市は当初、塩浜地区での建設を目指したが、「公害の街」というマイナスイメージを残したくないという地元の反対で頓挫。今年5月、市は市中心部の2カ所を候補とし、14年度開館に向けて準備を進めている。今月29日には、市が主催して初めての集会「判決40周年の集い」を開く。

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