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2013年4月27日(土)付

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物価見通し―暮らしへの影響を示せ

大規模な金融緩和に乗り出した日銀が、15年度のインフレ見通しを1・9%(消費増税分を除く)と示した。「2年で2%のインフレ目標を達成するため、できることはすべてやった」[記事全文]

シリア内戦―分裂国家に陥らせるな

中東のシリアにこれ以上の内戦と分裂を招いてはならない。ついに、化学兵器が使われた疑いも強まっている。米欧とアラブ諸国は新しい政治体制づくりに、本腰を入れるべきだ。崩壊が[記事全文]

物価見通し―暮らしへの影響を示せ

 大規模な金融緩和に乗り出した日銀が、15年度のインフレ見通しを1・9%(消費増税分を除く)と示した。

 「2年で2%のインフレ目標を達成するため、できることはすべてやった」という黒田東彦(はるひこ)総裁の宣言に沿うもので、日銀としては政策への自信を示したということだろう。

 しかし、ハードルは相当に高い。市場の失望を避けようとするあまり、客観的であるべき見通しと宣言の実現という願望の「つじつま合わせ」の色彩が強まれば、中央銀行としての信用を損なう。気がかりだ。

 緩和によってモノの値段や賃金がすんなり上昇軌道に乗るのかどうか、経済のプロでも半信半疑である。一般の国民なら、なおさらだ。

 日銀は数字を掲げるだけでなく、そのプロセスや暮らしへの影響を具体的に示してほしい。

 緩和によるインフレで最も作用しそうなのは、円安ドル高に伴う輸入関連品の高騰で、すでに起きている。

 とは言っても、話は単純ではない。円安で真っ先に高騰したガソリンは消費者の節約で需要が減り、徐々に値下がりしている。経済全体でも似たような消費の収縮が起こりうる。

 日銀がインフレの目安にするのは「生鮮品を除く消費者物価指数(CPI)」。家計が消費するさまざまな商品・サービスの価格の加重平均だ。

 生鮮品が除外されるのは、景気よりも天候などに左右されるためだが、例えば燃料高に反発する漁船のストで生鮮魚介類が値上がりしても、日銀の政策には反映しない。

 平均だから、一方で値上がりしても他方で値下がりすれば、相殺される。パソコンなどは統計上、同じ値段でも性能が良くなれば値下がりしたと見なされる。家賃や教育、医療、通信・交通費など景気で変化しにくいものも多い。

 結局、輸入への依存度が高い燃料、食品、衣料品などの生活必需品が大幅に上がらないと、日銀の目標は達成しにくいのが実情だ。消費増税も予定されている。「物価高」の実感が募っても、統計上はインフレとならず、経済的な弱者が圧迫される恐れがある。

 日銀や政府には、こうした不安をぬぐい去るような丁寧な説明が求められる。

 輸入インフレ頼みは、円安誘導を警戒する諸外国の反発を招く懸念もある。目的は物価を上げることではなく、経済を活性化することだ。それを忘れないでもらいたい。

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シリア内戦―分裂国家に陥らせるな

 中東のシリアにこれ以上の内戦と分裂を招いてはならない。ついに、化学兵器が使われた疑いも強まっている。米欧とアラブ諸国は新しい政治体制づくりに、本腰を入れるべきだ。

 崩壊が近いといわれたアサド政権がもちこたえているのは、長く友好関係にあるロシアやイランが独裁政権を支えているからだけではない。

 変革を担うはずの反体制派がまとまらず、「アサド後」の枠組みが見えないことが新国家を築く機運をそいでいる。

 国際的に反体制派を代表するシリア国民連合は3月に暫定首相を選んだが、指名されたのは在米生活の長い無名のビジネスマン。武装闘争をしている国内組からの反目もあり、政治主導の態勢はできていない。

 政権の元幹部らが反体制派を率いたリビアと違い、シリアの武装組織には統一した指揮がない。一部の地域では、アルカイダ系のイスラム過激派と共闘しているところもある。

 内戦が長引くほど、武装組織が独り歩きし、過激派が浸透する恐れが高まる。それに対抗しようとサウジアラビアやカタールなどが自国の思惑でばらばらに支援していることも、国内の分裂ぶりを複雑にしている。

 米欧はむずかしい選択を迫られている。英国とフランスは反体制派へ武器を渡すことを考えているが、過激派の手に落ちる恐れもあり、踏み切れない。

 米政府は本格支援を何度も検討したが、長い戦争に疲れた世論を背景に、ホワイトハウスがブレーキをかけてきた。おもに食糧や薬などの人道支援にとどめている。

 だが、いまや隣のレバノン、トルコ、イスラエルにまで戦闘の余波が広がる。難民はすでに100万を超えた。

 これほど問題が広がっても腰を上げないようでは、米国は中東和平の仲介役としての信頼性にも疑問符がつきかねない。

 米欧は現場の情報を集め、穏健な勢力を選んで支援を強めることで、民族や宗教、宗派をつつみこむ国へと政治プロセスづくりを急がねばならない。

 周辺国とシリア国内各派の利害が複雑にからむパズルを解くには、地元のアラブ連盟とトルコの協力も欠かせない。

 米欧・アラブ・トルコが結束を示せば、やがては、渋るロシアを「アサド後」構想に引きよせることにもなるだろう。

 遠い国の荒廃が、やがては地球をめぐって自国の安全に影を落とす。9・11テロ以来、世界が学んだ教訓がいま、シリアで問われている。

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