全日本柔道連盟(全柔連)の上村春樹会長(62)は26日、東京都文京区の講道館で記者会見し、初めて辞任を示唆した。1月に発覚した女子強化選手への暴力問題や日本スポーツ振興センター(JSC)からの助成金流用の責任をとり、「6月の理事会までに進退を決める」としたが、辞任は濃厚となった。講道館の会長職は続ける意向。
上村会長の緊急会見は、助成金問題に関する第三者委員会の中間報告で「組織として順法精神を欠いていた」「ガバナンスに問題があった」などと指摘を受けてから数時間後に開かれた。冒頭で「報告内容は大変重く、真摯(しんし)に受け止めている。精査して、近いうちに進退を明らかにしたいと思う」と、1月下旬の暴力問題発覚以来初めて進退に言及した。
全柔連は3月下旬の臨時理事会で、暴力根絶や組織改革を目指すための改革・改善実行プロジェクトを発足させた。上村会長はプロジェクト長として6つの分科会を統括する立場にあり、「もし辞任をするとなれば、6月の定例理事会になる」と語った。
この日、第三者委員会はA4紙41ページに及ぶ中間報告書を公表。助成金問題について「全柔連は組織として、公金である助成金を適切に受給しようとする順法精神を欠いていた」と断定した。また、連盟内の強化委員会の主導により指導者の一部への助成金を「強化留保金」として1人あたり年間40万円吸い上げていた問題についても、強化委員長当時(2000年9月〜06年3月)の上村会長の関与を認定。第三者委は「目的外は明らか。社会通念に照らし、明らかに不適切で、組織のガバナンスとして大きな問題」と断定した。理事会の互選で決める会長の後任については、山下泰裕全柔連理事(55)=東海大副学長=が最有力とみられる。 (武藤康弘)
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