「日本政府は『経済復興』のため、福島県は『観光誘致』のために、放射線被害の危険性を隠蔽(いんぺい)している」
23日午後、韓国YWCA連合会館(ソウル市中区)で、福島県で放射線被害の監視を行っている市民団体「会津放射能情報センター」の片岡輝美代表(52)は「日本政府も地方自治体も、子どもたちの将来のことを考えていない」と訴えた。片岡氏は福島第一原子力発電所事故の実情について説明するため来韓した。
主婦の片岡氏が原発事故の究明やモニタリング活動に乗り出したのは、福島の子どもたちを守るためだった。東日本巨大地震が発生した2011年3月11日、片岡氏は福島第一原発から100キロ離れた会津若松市に住んでいた。息子とおいの2人を連れて親戚の家に避難した片岡氏は「安全だから心配する必要はない」という当局の説明を信じ、15日後に地元に戻った。だが、片岡氏は「近所の子どもたちが突然鼻血を出したり、卒倒したりするなど、おかしな症状を見せている。当局は放射性物質についての情報を持っていない住民たちを愚弄(ぐろう)している」と話した。
被害をこのまま見過ごすわけにはいかないと考え、放射線被害を監視するための市民団体を立ち上げた。片岡氏と同じ主婦や、そのほかの多くの女性たちが賛同した。「2011年12月、野田佳彦首相(当時)は『福島原発事故は収束した』と宣言したが、18歳以下の児童や未成年者を対象に行った甲状腺検査では、嚢胞(のうほう=体内の組織に形成された球状の物質)や結節(発疹〈ほっしん〉の一種)が見つかった人の割合が、11年には35.3%だったが、昨年は43.1%にまで急増した。また、検査を受けた人のうち3人からはがんが見つかった」と主張した。その上で片岡氏は「安全性をアピールするため、児童や青少年のスポーツ大会をわざわざ福島に誘致している」と語った。
片岡氏は「韓国も原発を増設しているが、原発は安全だと自信を持って言うことはできない。子どもたちが健康を害した後に後悔しても遅い。母親たちが立ち上がるべきだ」と主張した。