中部電力は26日、内閣府の有識者会議が想定した南海トラフ巨大地震の震度分布を基に浜岡原発(静岡県御前崎市)の揺れを分析した結果、最も揺れが大きい5号機周辺の地震動が最大1900ガル(ガルは加速度の単位)に達するとの推計を発表した。現在耐えられる1000ガルの2倍弱で、中電は現在進めている防潮堤など一連の津波対策も見直しが必要になるとして、対策の完了時期を1年3カ月遅らせ、2015年3月に変更した。
浜岡原発の再稼働は一連の対策工事を終えることが必要で、少なくとも15年3月までは運転停止が続くことになる。
名古屋市の本店で会見した増田博武執行役員原子力部長は、5号機について「配管やケーブルなどの補強をすれば、1900ガルの揺れに対しても安全性は確保できる」と述べ、廃炉の可能性を否定。3〜5号機の施設全般を対象にした具体的な対策の内容を14年3月までにまとめ、早期に工事に入ると説明した。
中電の推計では、南海トラフ巨大地震で新たに推計した3、4号機と廃炉作業中の2号機の揺れは最大1000ガル。1号機は使用済み燃料を撤去済みのため、対象外とした。
5号機は09年8月の駿河湾地震(マグニチュード=M6・5、最大震度6弱)で、426ガルと1〜4号機の2倍以上の揺れを記録。中電の調査で、5号機の地下300〜500メートルに周囲より砂岩の比率が高い「低速度層」が局所的に分布しているため、揺れが増幅したことが分かった。
内閣府の推計では、南海トラフ巨大地震による浜岡原発周辺の震度予測は最大で震度7。中電によると、駿河湾地震と同様に原発の北東で発生した場合、5号機で1900ガルになる。中電がこれまで東海、東南海、南海の3連動地震(M8・7)で想定していた敷地内の揺れは800ガル。
中電は3〜5号機の地震対策として05年から08年にかけ、1000ガルの揺れに耐えられるよう補強工事を実施した。
(中日新聞)