政治【主張】天皇と国民の憲法 「元首」と定め地位明確に2013.4.27 03:09

  • [PR]

政治

  • メッセ
  • 印刷

【主張】
天皇と国民の憲法 「元首」と定め地位明確に

2013.4.27 03:09 主張

 ■宮中祭祀は重要な公的行為だ

 「国民の憲法」要綱は天皇の章の第1条で、日本の国柄を「天皇を国の永続性および国民統合の象徴とする立憲君主国である」と明記した。現行憲法は国家像があまりにも希薄だ。国の根本法規である憲法は本来、歴史を踏まえた国家像を最初に示すべきである。

 日本は古代から天皇をいただいてきた固有の歴史を持つ。これは紛れもない事実だ。明治以降、立憲国家としてアジアで最初に近代化を達成した。戦後も、日本が立憲君主国であることは、政府答弁で明らかにされている。

 ≪皇位は「男系」で継承を≫

 「象徴天皇」という言葉も、当初はなじみが薄かったが、今では国民の間に定着している。それは、連綿と引き継がれた皇統の歴史があったからだ。現行憲法と同じ首章とし、新たに「国の永続性の象徴」という意味を加えた。

 「天皇は象徴にすぎない」とする解釈が一部にあるが、それは歴史を無視した考え方である。

 第2条で、天皇が「元首」であることを明記した。現行憲法にはないが、「君臨すれども統治せず」という趣旨を明示した。

 元首は「国家を代表する者」という意味だ。君主国では君主、共和国では大統領を指す。

 天皇は、国賓として来日した外国の元首や王族と会見し、外国の大使、公使と接見される。現行憲法下でも、立憲君主国の天皇が外国に対して日本を代表する元首であることは明白である。

 しかし、これまでの政府見解は「元首といってもいい」「元首であるというふうにいっても差し支えない」などとあいまいだった。このような混乱を解消するためにも、「天皇=元首」の明記が必要だと考えられた。

 本紙は、憲法改正を求めた昭和56年5月3日付主張で、「天皇は国民の代表であり、元首であるという法的地位を明確にしてもよいのではないか」と書いている。

 第3条で、皇位は「皇統に属する男系の子孫」が継承するとし、現行憲法の「世襲」(2条)という表現より踏み込んだ。

 自民党の小泉純一郎政権の平成17年、「皇室典範に関する有識者会議」は皇位継承について、たった1年で「女性・女系天皇容認」「男女を問わず長子優先」との報告書を出した。これに先立ち、内閣官房が女系天皇を認める極秘文書を作成していた。「初めに結論ありき」の拙速な議論だった。

 民主党の野田佳彦政権下でも、女性皇族が結婚後も皇室にとどまれる「女性宮家」の創設をめぐる議論が行われた。女性宮家の創設を必要とする論点整理が発表されたが、女系天皇につながる懸念は消えていない。

 ≪国民のために祈られる≫

 本紙は一貫して、安易な女系天皇容認に反対し、旧皇族の皇籍復帰などを含め男系継承に知恵を絞ることを主張してきた。

 男系が維持されてきた皇統の歴史を軽々に変えてはならない。

 現行憲法にはない天皇の「公的行為」を明記したことも、要綱の大きな特徴である。

 天皇の行為は大別して、国事行為、公的行為、私的行為の3つに分類される。

 国事行為は、憲法に定められた内閣総理大臣の任命、国会召集、衆院解散などだ。公的行為は、全国戦没者追悼式や全国植樹祭への出席、被災地訪問などだ。

 天皇はこれらの公務のほか、年間約25回の宮中祭祀(さいし)を執り行われている。元日の四方拝に始まり、1月3日の元始祭、10月17日の神嘗祭(かんなめさい)、11月23日の新嘗祭(にいなめさい)などだ。多くの憲法学者は、これらを天皇の私的行為としている。

 しかし、宮中祭祀は、天皇が国民のために、皇室の祖先である天照大神をはじめ、八百万(やおよろず)の神々に国の安寧と豊穣(ほうじょう)を祈願する行事だ。決して私的行為ではない。

 新たに設けた公的行為に関する規定で、最初に「伝統に基づく皇室祭祀」と明記した。

 2年前の東日本大震災の後、天皇、皇后両陛下は被災地や避難所を訪問し、被災者一人一人に声をかけて励まされた。自らも節電するなどして苦難を分かち合われた。当時の菅直人政権の指導力不足が指摘される中、陛下をはじめ皇族方の励ましが、復興を目指す被災者や国民にどれだけ勇気と力を与えたか計り知れない。

 天皇が「私的」にでなく、常に国家と国民のために祈られていることを忘れてはならない。

  • [PR]
  • [PR]

[PR] お役立ち情報

PR
PR

編集部リコメンド

このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。
© 2013 The Sankei Shimbun & Sankei Digital