虚構の環:第2部・政策誘導/4 「宿敵」海水ウラン阻止
毎日新聞 2013年04月20日 東京朝刊
同6月の内閣府原子力委員会。玉田氏がウラン1キロあたりの採取コストを「(陸上のウラン価格と同じ)約1万3000円を目標としていきたい」と説明すると、委員の一人が「原子力委としてもぜひ応援していきたい」と応じた。「助成金が獲得できるのではないか」。期待は高まったが、結局落選。玉田氏は今、取材に「理由はまったく分からなかった」と語る。
取材班は文部科学省原子力課が04年2月、関係者だけに配布した内部文書を入手した。そこには「海水ウランの実用化にはさらなる研究開発が必要。(しかし)今後は(国ではなく)産業サイドで実施すべきだ」と記載されている。「国の予算はつけない」という意味だ。須郷氏の共同研究者、斎藤恭一・千葉大教授(高分子材料化学)は「サイクルにとって海水ウランは宿敵なんでしょう」と話した。=つづく